片頭痛治し方|原因と症状から予防法と対処法まで

片頭痛の治し方について、医療従事者向けに原因・症状・急性期治療から予防療法まで詳しく解説します。薬物療法とセルフケアの両面から、患者指導に役立つ実践的な情報をお届けしますが、あなたの患者さんに最適な治療法は何でしょうか?

片頭痛治し方

片頭痛の治し方の基本
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急性期治療

発作時にトリプタン系薬剤や鎮痛薬で痛みを速やかに抑制し、日常生活への支障を最小限にします

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予防療法

月2回以上の発作がある場合、予防薬の定期服用で発作頻度と重症度を軽減します

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生活習慣改善

睡眠・食事・ストレス管理などのセルフケアで誘発因子を避け、発作を予防します

片頭痛の急性期治療薬による対処法

 

片頭痛発作が起きた際の治し方として、急性期治療薬の適切な使用が最も重要です。軽度から中等度の頭痛にはアセトアミノフェンロキソプロフェンイブプロフェンなどの鎮痛薬が用いられます。中等度以上の片頭痛や通常の鎮痛薬で効果が不十分な場合は、トリプタン系製剤が第一選択となります。
参考)片頭痛(偏頭痛)を和らげるための対処法はありますか? |片頭…

トリプタン系薬剤は脳血管の過度な拡張を抑制し、三叉神経末端からのCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)放出を抑える作用により、片頭痛特有の拍動性疼痛を改善します。効果を最大化するには発作直後の早期投与が重要であり、前兆や予兆の段階で服用することで20〜30分以内に効果が現れます。
参考)新たな片頭痛治療(CGRP標的療法)|つぐ脳神経外科・頭痛ク…

しかし注意すべきは薬物乱用頭痛のリスクです。急性期治療薬を月に10日以上使用すると、かえって頭痛が慢性化し悪化する可能性があります。このような患者には予防療法への切り替えが必要となります。
参考)片頭痛の予防薬:内服薬と注射薬 - 脳神経まちだクリニックブ…

片頭痛の予防薬を用いた治し方

月に2回以上の片頭痛発作がある場合、または生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある患者には予防療法が推奨されます。予防治療の目的は、頭痛の頻度・重症度・持続時間の軽減、急性期治療薬の効果向上、そして日常生活への支障の改善です。
参考)https://www.henzutsu.info/treatment/preventive-treatment

従来の予防薬としては、カルシウム拮抗薬(ロメリジン)、抗てんかん薬バルプロ酸、トピラマート)、β遮断薬三環系抗うつ薬などが使用されてきました。特にロメリジンは脳血管に選択的に作用し、血圧低下などの副作用が少ないため、日本では片頭痛予防のファーストチョイスとして広く用いられています。
参考)大阪で片頭痛の治療なら『天王寺だい脳神経外科』

近年注目されているのがCGRP関連抗体薬です。ガルカネズマブ、フレマネズマブ、エレヌマブなどの抗CGRP抗体薬は、月1回または3ヶ月に1回の皮下注射により、片頭痛の根本的なメカニズムに作用して高い予防効果を示します。特にトリプタン系薬剤に反応する典型的な片頭痛や、中等度〜重度で頻発するタイプに効果的です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10795407/

予防療法の効果判定には少なくとも2ヶ月程度の継続が必要であり、医師との相談のもと治療を継続することが重要です。
参考)予防療法(頭痛を起こしにくくするお薬による治療)|頭痛の悩み…

片頭痛の生活習慣改善による治し方

薬物療法と並行して、生活習慣の改善は片頭痛の治し方として非常に重要です。睡眠は特に重要な要素であり、寝不足も寝過ぎも片頭痛の誘発因子となるため、毎日規則正しい睡眠パターンを維持することが推奨されます。休日の寝過ぎによる片頭痛を防ぐには、平日と同じ起床時間を保つことが効果的です。
参考)頭痛のセルフケア|頭痛の悩み.jp|大塚製薬

食事面では、空腹が片頭痛を誘発するため、3食きちんと摂取し規則正しい食生活を心がけることが重要です。マグネシウムやビタミンB2を含む食品(ひじき、大豆、ほうれん草、ブロッコリー、うなぎ、豚肉など)は片頭痛予防に有効とされています。一方、赤ワインなどのアルコール、チョコレートやチーズなどのチラミンを含む食品、ハムやソーセージなどの亜硝酸塩を含む加工食品は片頭痛の誘発因子となるため注意が必要です。
参考)日常生活でできる「片頭痛」の予防

ストレス管理も重要な治し方の一つです。適度な運動や1日30分のリラックスタイム(音楽鑑賞、読書、入浴など)を設けることで、心身の緊張を緩和できます。首から肩にかけてのストレッチは片頭痛予防に特に効果的とされています。
参考)片頭痛との付き合いかた|片頭痛コントロール

片頭痛発作時の即効性のある治し方

片頭痛発作が起きた際の即座の対処法として、暗く静かな場所での安静が最も基本的かつ効果的です。光や音、においなどの刺激は片頭痛を悪化させるため、これらを避けることが重要です。可能であれば短時間でも睡眠をとることで、拡張した血管が元に戻り痛みが軽減されます。
参考)片頭痛(偏頭痛)とは?原因や症状、発作時の対処法を解説

片頭痛は冷やすことで症状が改善します。保冷パックや氷枕をタオルで巻いて患部に当てる、または濡れタオルを額やこめかみに当てることで血管収縮が促され痛みが和らぎます。一方、入浴やマッサージなど体を温める行為は血管をさらに拡張させ痛みを悪化させるため避けるべきです。
参考)片頭痛は冷やす?それとも温める? 症状緩和や予防に役立つ対策…

カフェインの摂取も片頭痛の治し方として有効な場合があります。コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物を痛み始めに飲むことで、血管収縮作用により痛みが多少和らぐことがあります。ただし習慣的な過剰摂取は逆効果となるため注意が必要です。​
これらの非薬物的対処法を実施しても改善しない場合は、速やかに急性期治療薬を使用することが推奨されます。
参考)片頭痛の治療(薬物療法)|片頭痛コントロール

片頭痛の漢方薬を活用した治し方

西洋医学的治療に加えて、漢方薬は片頭痛の治し方の選択肢として注目されています。特に低気圧による片頭痛に対して五苓散が効果を示すことが報告されており、7〜8割程度の有効性があるとする研究もあります。低気圧接近時に手足のこわばりや体のだるさを感じる患者では、五苓散を2〜3日服用することで体のむくみを抑制し、頭痛薬の使用頻度を減らせる可能性があります。
参考)https://journals.lww.com/10.1097/MD.0000000000039072

月経に関連する片頭痛には桂枝茯苓丸が有効な場合があります。月経痛が強い女性患者で片頭痛も併発している場合、このお薬が両方の症状改善に寄与することがあります。また、抑肝散は片頭痛予防薬として効果が報告されたケースもあり、抗CGRP抗体薬が使用できない、または効果不十分な症例における代替治療として検討できます。
参考)片頭痛(偏頭痛)の治し方5選

漢方薬による治し方の特徴は、個人の体質や症状に合わせた処方が可能な点です。ただし体に合わない場合もあるため、漢方に詳しい医師と相談しながら試すことが重要です。片頭痛は単一の方法だけで治ることは珍しく、複数の戦略を組み合わせることが効果的な治し方となります。​
片頭痛の漢方治療について詳しく解説されています(あまがだいファミリークリニック)
参考情報:五苓散や桂枝茯苓丸などの具体的な処方例と効果が紹介されています。