抗SS-A抗体が陽性でも、抗核抗体(ANA)が陰性になることがあり、シェーグレン症候群を見逃す原因になります。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/160.html)
抗SS-A抗体は名称の通り、シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome)のスクリーニングに用いられる代表的な自己抗体です。 「SS」はシェーグレン症候群(Sjögren's Syndrome)の略であり、この疾患との関連で命名されました。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
シェーグレン症候群は、唾液腺・涙腺などの外分泌腺に慢性炎症が起こる自己免疫疾患です。 主な症状はドライマウスとドライアイですが、微熱・筋痛・関節痛などの腺外症状や、他の膠原病を合併するケースも少なくありません。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/160.html)
一次性シェーグレン症候群において、抗SS-A抗体は約80%で検出されます。 感度が高い一方で疾患特異性は低く、この点が臨床での解釈をむずかしくしています。つまり「陽性=シェーグレン症候群」とは言い切れないということです。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
難病情報センターによるシェーグレン症候群の診断基準・治療方針の最新情報は以下で確認できます。
疾患特異性が低いというのが、抗SS-A抗体の臨床上の最大の特徴です。 複数の膠原病で陽性となるため、一つの病名に絞った解釈は危険です。 yodosha.co(https://www.yodosha.co.jp/webg/series/book/9784758123617/9784758123617_37.html)
各疾患における抗SS-A抗体陽性率を以下にまとめます。 yodosha.co(https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758123617/37.html)
| 疾患名 | 抗SS-A抗体陽性率 |
|---|---|
| 一次性シェーグレン症候群(SS) | 60〜80% |
| 全身性エリテマトーデス(SLE) | 32% |
| 混合性結合組織病(MCTD) | 29% |
| 強皮症 | 21% |
| 炎症性筋疾患 | 19% |
| 関節リウマチ(RA) | 15% |
SLEでは全患者の約32%で陽性となります。 強皮症や混合性結合組織病(MCTD)、炎症性筋疾患でも陽性が報告されており、原発性胆汁性胆管炎(PBC)や間質性肺炎、未分類膠原病でも陽性が認められます。 yodosha.co(https://www.yodosha.co.jp/webg/series/book/9784758123617/9784758123617_37.html)
これが重要です。抗SS-A抗体が陽性であっても、それだけで病名を決定せず、他の自己抗体・臨床症状・組織所見を組み合わせた総合判断が原則です。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
膠原病における自己抗体の読み方の詳細については以下のPDF資料が参考になります(日本皮膚科学会関連資料)。
「抗核抗体が陰性ならシェーグレン症候群は否定できる」と考える医療従事者は少なくないかもしれません。これは誤りです。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/160.html)
抗SS-A抗体の対応抗原(Roタンパク)は、核内ではなく細胞質に多く存在します。 そのため、通常の蛍光抗体法(FAB法)による抗核抗体スクリーニングでは検出されないケースがあります。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/160.html)
つまり、ANA陰性でも抗SS-A抗体陽性という状況が実際に起こります。 これを見逃すと、シェーグレン症候群の診断が大幅に遅れる可能性があります。 primary-care.sysmex.co(https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/disease/index.cgi?c=disease-2&pk=327)
この場合の対応は明確です。 ANA陰性であっても、口腔乾燥・眼球乾燥など臨床的にシェーグレン症候群が疑われる場合は、抗SS-A抗体を独立して単独追加検査することが必要です。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
ここが医療従事者にとって最も知らないと損をする情報の一つです。抗SS-A抗体陽性の妊婦が出産する児において、約2.0%に先天性房室ブロック(CHB: Congenital Heart Block)が発症します。 ra-ibd-sle-pregnancy(https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/doctor_toward/d-005.html)
先天性房室ブロックは不可逆性の心臓伝導障害で、重症例ではペースメーカー植込みが必要になります。 発症頻度は2%とやや低く聞こえるかもしれませんが、これは50人に1人という確率です。見逃したときのリスクを考えると、管理は欠かせません。 jspccs(https://jspccs.jp/wp-content/uploads/j2401_023.pdf)
また、新生児ループス(Neonatal Lupus Erythematosus: NLE)については、抗SS-A抗体陽性妊婦の約10%で発症が報告されています。 皮疹・血球減少・肝機能障害などが主な症状で、多くは生後6か月以内に自然消退しますが、CHBは消退しない点が問題です。 ra-ibd-sle-pregnancy(https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/doctor_toward/d-005.html)
先天性房室ブロックの機序と心電図所見の詳細は以下の専門誌論文が参考になります。
「母体の自己抗体による先天性房室ブロック発生の機序と心電図所見」(日本小児循環器学会)
抗SS-A抗体陽性の妊婦への対応として、以下の管理が推奨されています。 ra-ibd-sle-pregnancy(https://ra-ibd-sle-pregnancy.org/doctor_toward/d-008.html)
厚生労働省の研究班による抗SS-A抗体陽性女性の妊娠管理指針も参照価値があります。
「抗SS-A抗体陽性女性の妊娠に関する診療の手引き」(国立成育医療研究センター)
厚生労働省が定めた1999年改訂のシェーグレン症候群診断基準において、抗SS-A抗体または抗SS-B抗体の陽性は診断項目の一つに組み込まれています。 両抗体の組み合わせによる感度は83.7%、特異度は91.5%と報告されています。 これは診断補助として非常に有力な数値です。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
ただし、抗SS-A抗体陽性だけで確定診断はできません。 眼科的検査(シルマー試験など)、唾液腺検査(唾液分泌量測定、腺造影)、さらには口唇小唾液腺の病理組織検査が診断確定に必要です。 yodosha.co(https://www.yodosha.co.jp/webg/series/book/9784758123617/9784758123617_37.html)
一方、シェーグレン症候群が確定した場合でも、他の膠原病を合併する二次性シェーグレン症候群の可能性を常に念頭に置く必要があります。 二次性ではRAへの合併が30%以上に及ぶという報告もあります。二次性への見逃しは治療方針を大きく左右します。 crc-group.co(https://www.crc-group.co.jp/crc/q_and_a/194.html)
検査を進める際の基本的な流れを整理します。
SLEにおける詳細な病態・診断については、専門医療機関の情報が役立ちます。
順天堂医院 膠原病・リウマチ内科「全身性エリテマトーデス(SLE)」
抗SS-A抗体の測定法については、現在CLEIAなどの高感度定量法が普及しています。 従来のDID法と比較して再現性・感度が向上しており、定量値の変動を疾患活動性のモニタリングに活用できる場面もあります。 検査値の解釈は、使用した測定系の基準値と照合することが基本です。 test-directory.srl(https://test-directory.srl.info/akiruno/test/detail/065450200)