プラバスタチンは水溶性スタチンとして筋障害のリスクが比較的低いとされますが、重大な副作用として横紋筋融解症の発現が報告されています。横紋筋融解症は筋細胞の破壊により筋肉成分が血中に漏出する病態で、初期症状として筋肉痛、脱力感、赤褐色尿が特徴的です。
この副作用の発現機序は、HMG-CoA還元酵素阻害によるコエンザイムQ10の減少、筋細胞膜の不安定化、ミトコンドリア機能障害が関与しています。臨床現場では血清CK値(CPK)の上昇が診断の指標となり、正常値の10倍以上の上昇を認める場合は横紋筋融解症を疑います。
肝機能障害は頻度不明ながら重要な副作用で、黄疸、著しいAST・ALT上昇を特徴とします。プラバスタチンは主に肝臓で代謝されるため、肝機能検査値のモニタリングが必要です。
血小板減少はプラバスタチンの重大な副作用として位置づけられており、紫斑、皮下出血、鼻血、歯ぐきの出血などの出血傾向として現れます。発現頻度は不明とされていますが、重篤な症例の報告があるため注意深い観察が必要です。
血液系副作用としては、血小板減少のほかに貧血、白血球減少も報告されています。これらの副作用は通常投与開始から数週間から数ヶ月以内に現れることが多く、定期的な血液検査による早期発見が重要です。
貧血の発現機序については、骨髄での造血機能への影響や、まれに溶血性貧血の可能性も考慮する必要があります。臨床現場では、倦怠感、めまい、動悸などの症状に注意を払い、血液検査で血色素量、血球数の推移を監視します。
間質性肺炎は頻度不明の重大な副作用として添付文書に記載されており、初期症状として息切れ、息苦しさ、発熱、空咳が特徴的です。プラバスタチン投与中に呼吸器症状が現れた場合は、間質性肺炎の可能性を考慮し、胸部CT検査などの精密検査が必要です。
間質性肺炎の発現機序は完全に解明されていませんが、薬剤による免疫学的機序や直接的な肺胞上皮細胞への影響が考えられています。臨床経過は急性から慢性まで様々で、重篤な場合は呼吸不全に至る可能性があります。
診断には高分解能CT(HRCT)が有用で、すりガラス様陰影や網状影などの特徴的な画像所見を認めます。治療は薬剤中止が基本で、重症例ではステロイド治療を検討します。
皮膚症状は比較的頻度の高い副作用で、発疹、かゆみ、蕁麻疹、湿疹、紅斑が主な症状です。発疹の発現頻度は2.1%との報告があり、プラバスタチンの副作用の中でも比較的多く見られます。
皮膚症状の特徴として、光線過敏症や脱毛も報告されており、日光露出部位に現れる皮疹には特に注意が必要です。これらの症状は通常投与開始から1-3週間以内に現れることが多く、軽度から中等度の症状がほとんどです。
消化器症状では、胃不快感、下痢、腹痛、便秘、嘔気・嘔吐が主な症状として報告されています。胃不快感と下痢は特に頻度が高く、日常診療でよく遭遇する副作用です。消化器症状の多くは軽度で、服薬継続とともに改善する場合が多いですが、症状が持続する場合は減量や他剤への変更を検討します。
神経系副作用として、めまい、頭痛、不眠、末梢神経障害が報告されています。末梢神経障害は手足のしびれ、感覚鈍麻、物がつかみづらいなどの症状として現れ、重大な副作用の一つとして位置づけられています。
プラバスタチンは水溶性スタチンという特性により、脂溶性スタチン(シンバスタチン、アトルバスタチンなど)と比較して筋障害のリスクが低いとされています。この理由として、血液脳関門を通過しにくいこと、CYP3A4による代謝を受けにくいため薬物相互作用が少ないことが挙げられます。
重症筋無力症様症状も稀な副作用として報告されており、上まぶたの下垂、複視、運動時の筋肉疲労感などが特徴的です。免疫介在性壊死性ミオパチーは、スタチン中止後も筋力低下が進行する特殊な病態で、抗HMGCR抗体陽性例では長期間の治療が必要となります。
臨床現場では、プラバスタチンの水溶性という特性を活かし、併用薬が多い高齢者や腎機能低下患者でも比較的安全に使用できる利点があります。ただし、定期的な血液検査、肝機能検査、筋症状の確認は必須であり、患者への副作用説明と自覚症状の報告を促すことが重要です。