レニン活性(PRA:Plasma Renin Activity)検査は、血漿中のレニンがアンジオテンシノーゲンに作用してアンジオテンシンⅠを産生する能力を測定する検査です。
レニンは腎臓の傍糸球体細胞で産生されるプロテアーゼであり、血中では活性型または不活性型(プロレニン)として存在します。測定原理は、血漿中のレニンとレニン基質(アンジオテンシノーゲン)を一定時間反応させて、産生されるアンジオテンシンⅠの量を測定することです。
検査の特徴:
レニン活性検査は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を介して電解質の恒常性、循環血液量、血圧の維持に重要な役割を評価する検査です。
主な診断用途:
特に原発性アルドステロン症のスクリーニングでは、アルドステロン濃度とレニン活性比(ARR)を計算し、ARR≥200かつアルドステロン濃度≥60pg/mLで陽性判定されます。
基準値(ng/mL/hr):
レニン活性の異常値は、特定の疾患群を示唆する重要な指標となります。
高値を示す主な疾患:
低値を示す主な疾患:
レニン活性検査を正確に実施するためには、採血条件や薬剤の影響を十分に考慮する必要があります。
採血時の注意事項:
薬剤の影響:
高値を示す薬剤:
低値を示す薬剤:
検査前の薬剤調整が困難な場合は、服薬状況を詳細に記録し、結果解釈時に考慮することが重要です。
レニン活性検査(PRA)とレニン定量検査(ARC:Active Renin Concentration)は、同じレニンを測定対象としながらも、測定原理と臨床的特徴が異なります。
レニン活性検査(PRA)の特徴:
レニン定量検査(ARC)の特徴:
保険請求の注意点:
レニン活性とレニン定量を併せて行った場合は、一方の所定点数のみ算定となります。そのため、臨床目的に応じてどちらか一方を選択することが推奨されます。
レニン定量検査は、より正確にレニン分泌動態を反映するため、精密検査や詳細な病態把握が必要な場合に選択されることが多く、スクリーニング目的ではレニン活性検査が一般的に使用されています。