レニン活性なんの検査 血圧調節機能評価法

レニン活性検査は血圧調節に重要なレニン-アンジオテンシン系の機能を評価する検査です。原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧症の診断に欠かせない検査ですが、どのような目的で実施されるのでしょうか?

レニン活性なんの検査

レニン活性検査の概要
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血圧調節系の評価

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の機能を測定し、高血圧の原因を特定

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二次性高血圧の診断

原発性アルドステロン症や腎血管性高血圧症のスクリーニングに使用

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活性度の測定

血漿中でアンジオテンシンⅠを産生する能力を定量的に評価

レニン活性検査の基本原理と測定方法

レニン活性(PRA:Plasma Renin Activity)検査は、血漿中のレニンがアンジオテンシノーゲンに作用してアンジオテンシンⅠを産生する能力を測定する検査です。
レニンは腎臓の傍糸球体細胞で産生されるプロテアーゼであり、血中では活性型または不活性型(プロレニン)として存在します。測定原理は、血漿中のレニンとレニン基質(アンジオテンシノーゲン)を一定時間反応させて、産生されるアンジオテンシンⅠの量を測定することです。
検査の特徴:

  • EIA法(酵素免疫測定法)を使用
  • 血漿中のレニン基質の影響を受ける
  • 産生されたアンジオテンシンⅠの量からレニンの動態を把握

レニン活性検査の臨床的意義と診断価値

レニン活性検査は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を介して電解質の恒常性、循環血液量、血圧の維持に重要な役割を評価する検査です。
主な診断用途:

特に原発性アルドステロン症のスクリーニングでは、アルドステロン濃度とレニン活性比(ARR)を計算し、ARR≥200かつアルドステロン濃度≥60pg/mLで陽性判定されます。
基準値(ng/mL/hr):

  • 臥位:0.2~2.3
  • 座位:0.2~3.9
  • 立位:0.2~4.1

レニン活性検査の異常値と対応疾患

レニン活性の異常値は、特定の疾患群を示唆する重要な指標となります。
高値を示す主な疾患:

  • 高レニン性本態性高血圧症
  • 腎血管性高血圧症
  • 悪性高血圧症
  • 腎実質性高血圧症
  • 褐色細胞腫
  • レニン産生腫瘍
  • Bartter症候群・Gitelman症候群
  • 脱水、低食塩食
  • 肝硬変、ネフローゼ症候群
  • 慢性心不全、Addison病

低値を示す主な疾患:

  • 低レニン性本態性高血圧症
  • 原発性アルドステロン症
  • 特発性アルドステロン症
  • 糖質コルチコイド反応性アルドステロン症
  • 低レニン性選択的低アルドステロン症
  • 高食塩食、Liddle症候群
  • 偽性アルドステロン症

レニン活性検査実施時の注意点と制限事項

レニン活性検査を正確に実施するためには、採血条件や薬剤の影響を十分に考慮する必要があります。
採血時の注意事項:

  • 早朝15分以上座位にて安静後採血
  • 速やかに4℃で冷却遠心し血漿分離
  • 溶血により低値傾向を示すため注意
  • 負荷試験の場合は検査依頼書に負荷時間を明記

薬剤の影響:
高値を示す薬剤:

低値を示す薬剤:

  • β遮断薬
  • 交感神経抑制薬
  • NSAIDS
  • ビタミンD

検査前の薬剤調整が困難な場合は、服薬状況を詳細に記録し、結果解釈時に考慮することが重要です。

 

レニン活性検査とレニン定量検査の違いと使い分け

レニン活性検査(PRA)とレニン定量検査(ARC:Active Renin Concentration)は、同じレニンを測定対象としながらも、測定原理と臨床的特徴が異なります。
レニン活性検査(PRA)の特徴:

  • 血漿中のレニンとレニン基質を反応させて産生されるアンジオテンシンⅠを測定
  • レニン基質の増減により影響を受ける
  • EIA法で測定
  • 保険点数:100点

レニン定量検査(ARC)の特徴:

  • 活性型レニンを特異的に認識するモノクローナル抗体を使用
  • 免疫学的手法で活性型レニンの濃度を直接測定
  • レニン基質の影響を受けない
  • CLEIA法で測定
  • 保険点数:102点
  • 基準値:2.21~39.49 pg/mL

保険請求の注意点:
レニン活性とレニン定量を併せて行った場合は、一方の所定点数のみ算定となります。そのため、臨床目的に応じてどちらか一方を選択することが推奨されます。
レニン定量検査は、より正確にレニン分泌動態を反映するため、精密検査や詳細な病態把握が必要な場合に選択されることが多く、スクリーニング目的ではレニン活性検査が一般的に使用されています。