カバーを閉じたまま薬をセットすると、その1吸入分は二度と使えません。
テリルジーエリプタはドライパウダー吸入器(DPI)であり、カバーを開ける動作そのものが薬剤充填のトリガーになっています。 カバーを矢印方向に「カチッ」と音がするまで完全に開けないと、1吸入分の薬がセットされません。 中途半端に開けた状態では薬が充填されないため、吸入しても体内には何も入らないことになります。city.toyonaka.osaka+1
つまり、「カチッ」まで開け切ることが大前提です。
さらに注意が必要なのは、一度開けたカバーを吸入せずに閉じてしまった場合です。 薬は内部に安全に格納されますが、そのカウントは消費され、再使用はできません。 指導の場でよく見られる「何度もカバーを開け閉めしてしまう」行動は、薬剤のムダ遣いに直結します。katoiin+1
これは患者への指導で優先的に伝えるべき内容です。
吸入前には、カウンターの数を確認することも重要です。 カバーを開けた後にカウンターが1つ減ったことを確認してから吸入に進むよう、患者に伝える習慣をつけると指導の精度が上がります。カウンター全体が赤くなっている場合は薬剤がなくなったサインです。kusurigsk+1
吸入動作で最も失敗が多いのは、「弱い吸入力」と「短い吸入時間」です。 エリプタはパウダータイプのため吸っている感触が薄く、正しく吸えていないまま使い続けているケースが临床現場では少なくありません。
正しい吸入手順は以下の5ステップです。uchikara-clinic+1
息止めは必須です。
この「5秒の息止め」は、薬剤を気管支の奥まで到達させるために不可欠なステップです。 指導なしに自己流で使い続けた患者の多くが、このステップを省略しているか、2〜3秒で終わらせています。
治療効果が十分に出ない原因の多くは、吸入手技の問題に由来します。 患者が「ちゃんと吸っている」と思っていても、実際の診察室でのデモンストレーションで手技不良が明らかになるケースが報告されており、定期的なデバイス確認が推奨されます。
テリルジーエリプタには「100」と「200」の2規格があります。 数字はICS成分であるフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)の用量(μg)を指し、LAMA・LABA成分の用量は両規格とも共通です。
参考)テリルジーの効果・副作用・正しい使い方・効果が出るまでの期間…
具体的な規格別の適応は以下のとおりです。gskpro+1
| 規格 | 適応疾患 | 備考 |
|---|---|---|
| テリルジー100エリプタ | 気管支喘息・COPD(慢性気管支炎・肺気腫) | 喘息・COPDいずれも適応あり |
| テリルジー200エリプタ | 気管支喘息のみ | COPDへの適応はない |
注意が必要なのは、テリルジー200エリプタにはCOPDの適応がない点です。 COPDの患者に200規格を誤って処方・指導することは添付文書上で認められておらず、処方内容の確認は不可欠です。
規格の選択は患者の病態・重症度・他剤との組み合わせを考慮して医師が判断します。 薬剤師・看護師の立場でも、手元のデバイスが100か200かを患者とともに確認することが、誤吸入防止に有効です。
承認の経緯としては、テリルジー100エリプタは2019年3月にCOPD適応で先行承認、2020年11月に喘息適応を追加取得しています。 テリルジー200エリプタは喘息適応のみで2020年11月に承認されました。
参考)1日1回投与、単一吸入器による3成分配合治療薬「テリルジー1…
ICSを含む吸入薬を使用した後は、口腔内に残ったステロイド成分を洗い流すためのうがいが必須です。 吸入後は必ずガラガラうがいとブクブクうがいをそれぞれ2回以上行う必要があります。
これを怠ると、口腔カンジダ症や嗄声(声のかすれ)のリスクが上昇します。
注意すべき副作用・リスクとして、医療従事者が把握しておくべき項目は以下のとおりです。hokuto+2
過量投与は絶対に避けるべきです。
「効果が弱い」と感じた患者が自己判断で吸入回数を増やすケースは報告されており、その結果として不整脈や場合によっては心停止に至るリスクがあります。 1日1回を厳守するよう患者指導の中で繰り返し伝えることが重要です。
参考)テリルジー200エリプタ14吸入用の効果・効能・副作用
副作用情報の一次情報として、添付文書と医薬品インタビューフォームの確認を推奨します。
以下のリンクに最新の添付文書情報が掲載されています(医療関係者向け)。
GSKpro:テリルジー COPD よくあるご質問(医療関係者向け)
医療現場で見過ごされがちなのが、患者自身が「正しく吸えている」と思い込んでいるケースです。 エリプタは粉末タイプのため吸入の「手ごたえ」が少なく、弱い力で短時間しか吸っていなくても患者が気づきにくい構造になっています。
意外ですね。
実際に診察室でエリプタを使わせると、吸入力が非常に弱かったり吸入持続時間が1〜2秒しかなかったりするケースが少なくありません。 男性では3〜4秒、女性では2〜3秒、胸がしっかり膨らむまで吸い続けることが目安です。 この基準を伝えないまま処方するだけでは、薬効が十分に発揮されません。
吸入指導は1回で終わらせないことが条件です。
こうした「手技の劣化」は時間経過とともに起こります。 一度正しく指導しても、数ヶ月後には吸入が雑になっている患者が多く、定期的な手技確認(リアセスメント)が治療継続の鍵になります。吸入指導チェックリストを活用することで、確認漏れを防ぎやすくなります。
吸入指導チェックリストはこちらで公開されています(医療機関での患者指導に活用できます)。
福岡病院 薬剤部:吸入指導チェックリスト エリプタ製剤(PDF)
また、GSKが提供するデバイストレーナー(練習用吸入器)を活用することで、実薬を消費せずに吸入手技のトレーニングが可能です。 患者の吸気流速がエリプタの作動に適しているかを事前に確認する手段として、吸気流速測定ツールの活用も有用です。
参考)テリルジー 吸気流速
GSKpro:COPD患者の吸気流速とエリプタデバイスについて