病院内で働くあなた自身が、実はビタミンD欠乏で骨折リスクが2倍以上高まっています。

ビタミンD欠乏の症状は、初期段階ではほとんど自覚症状が出ません。それが見落としを生む最大の落とし穴です。
進行すると次のような多様な症状が現れます。
つまり全身に影響が出るということです。
特に見落としやすいのが、疲労感・抑うつ・筋力低下といった「なんとなく調子が悪い」系の症状です。これらは他の疾患と混同されやすく、ビタミンD欠乏が原因と気づかれにくい傾向があります。
MSDマニュアル(プロフェッショナル版)では、筋肉痛・筋力低下・骨痛が主要症状とされており、重度の場合はテタニーや痙攣発作まで進展すると記載されています。
MSDマニュアル プロフェッショナル版:ビタミンD欠乏症および依存症の症状と徴候(筋肉痛・テタニー・痙攣発作まで詳述)
ビタミンDが欠乏すると、感染症への抵抗力が目に見えて落ちます。これは基本です。
コロラド大学救急医療科の研究では、ビタミンD濃度が低い群は正常な群に比べて呼吸器感染症になる確率が36%高いと報告されています。 これは医療従事者にとって特に重大なデータです。毎日患者と接する現場で感染リスクが3割以上高まるというのは、職業上の危険と直結します。 kamimutsukawa(https://www.kamimutsukawa.com/blog2/counseling/596/)
さらに国立成育医療研究センターの調査では、コロナ禍の医療従事者361人を対象にした検査で約90%がビタミンD欠乏または不足と判定されました。 「室内で働いているから仕方ない」では済まされない数字です。 ncchd.go(https://www.ncchd.go.jp/press/2022/220311.pdf)
ビタミンDは免疫調整に直接関与しており、自然免疫系の維持に不可欠です。 感染症リスクと日常業務が重なる医療従事者こそ、優先的に血中濃度を確認する必要があります。 seikatsusyukanbyo(https://seikatsusyukanbyo.com/main/opinion/009.php)
| ビタミンD血中濃度(25(OH)D) | 判定 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 30 ng/mL以上 | ✅ 充足 | 通常リスク |
| 20〜30 ng/mL未満 | ⚠️ 不足 | 免疫低下・骨密度低下 |
| 20 ng/mL未満 | ❌ 欠乏 | 感染症リスク増・筋力低下・うつ傾向 |
充足していれば問題ありません。まず自分の値を知ることが第一歩です。
医療従事者の9割超がビタミンD不足・欠乏という研究結果の詳細(COVID-19対策との関連も解説)
「骨の栄養素」というイメージが強いですが、ビタミンDは脳にも作用します。意外ですね。
2025年にFrontiers in Nutrition誌で発表された研究では、ビタミンD摂取量が最も多いグループ(1日4.9mcg以上)は、最も少ないグループと比べて認知機能低下リスクが23〜37%低く、うつ症状リスクが32%低いことが示されました。 これは数値として非常に明確です。 academia.carenet(https://academia.carenet.com/share/news/4adaa917-0ae5-4f99-b377-207b0f9b3b0a)
日本神経学会のガイドラインでも、ビタミンD欠乏と記憶障害・遂行機能のリスクとの関連が報告されています。 疲れやすい、集中できないといった症状を「仕事のせい」と片付ける前に、ビタミンD値を疑う視点が必要です。 neurology-jp(https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_16.pdf)
つまり精神症状もビタミンD欠乏の重要なシグナルです。
これらが続く場合、血液検査で25(OH)D濃度を確認することを検討してください。
CareNet:ビタミンD摂取と認知機能・うつ症状改善の関連研究(Front Nutr 2025年発表)
診断は血液検査一本で確認できます。これは使えそうです。
血中25(OH)D濃度(25水酸化ビタミンD)が標準的な指標で、現在の判定基準は以下のとおりです。 ito-pain(https://ito-pain.com/blog/post-181/)
日本人全体では98%がビタミンD不足に該当するという調査結果もあります(島津製作所、2023年)。 医療従事者に限定した国立成育医療研究センターの調査でも、不足44.9%・欠乏45.9%で充足はわずか9.3%でした。 これは深刻な数字です。 sndj-web(https://sndj-web.jp/news/002635.php)
見落とされやすい理由のひとつは、症状のない人を積極的にスクリーニングすることが推奨されていない点です。Wikipediaの整理によると、利点が不明確なため無症状患者への検査は推奨されていません。 しかし医療従事者のような高リスク職種では、症状がなくても年1回程度の確認が現実的な予防策といえます。 ja.wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3D%E6%AC%A0%E4%B9%8F%E7%97%87)
また副甲状腺ホルモン(PTH)の上昇も欠乏の間接的サインです。長期の欠乏では、PTHが骨を溶かして血中カルシウムを補おうとするため、骨量が減少し続けます。 骨代謝マーカーと合わせて評価することで、より精度の高い診断が可能です。 toranyc(https://toranyc.com/disease/082.html)
国立環境研究所:最近の日本人のビタミンD欠乏の実態と判定基準(年代別データあり)
知っているだけでは不十分です。行動に落とし込むことが大切です。
ビタミンDを増やす方法は主に3つあります。
日光浴は最も自然な補充方法です。ただし問題があります。病院内で長時間勤務する医療従事者は、季節や勤務体制によって1日の日照時間がほぼゼロになることも珍しくありません。これがビタミンD欠乏が高率になる構造的要因です。 japanhealth(https://www.japanhealth.jp/information/docs/220311press.pdf.pdf)
補充量の目安として、日本人の食事摂取基準(2020年版)ではビタミンDの推奨量は8.5μg(340 IU)/日ですが、研究によっては1,000〜2,000 IU/日の摂取が推奨されるケースもあります。過剰摂取は高カルシウム血症のリスクがあるため、サプリ使用時は血中濃度を確認しながら調整するのが原則です。
まず血液検査で現状を把握する、が条件です。自覚症状がないまま欠乏が進行するケースが多いため、定期的なモニタリングが最も効率的な対策になります。
たがやクリニック:ビタミンD不足の症状・検査・補充の考え方を専門医が詳説(実践的な内容)