フルカリックを1,000mlで長期投与すると、ビタミン必要量の半分以下しか補えていません。
中心静脈栄養(TPN)に使用する輸液は、大きく「TPN基本液」と「TPNキット製剤」に分類されます。基本液は電解質と糖質のみを含む製剤で、別途アミノ酸製剤を混注して使用します。代表的な製品にハイカリック(1号・2号・3号)、ハイカリックNC(L・N・H)、カロナリー(L・M・H)などがあります。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
糖質の配合量によって製品が分かれており、カロリー密度が異なります。ここが選択の基準です。たとえばハイカリック1号は1容器700mlで480kcal、3号は同じ700mlで1,000kcalと、2倍以上のカロリー差があります。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
重要な注意点として、ビタミンB₁を含まない基本液には、必ずビタミンB₁製剤を併用する必要があります。不足するとウェルニッケ脳症や乳酸アシドーシスを来すリスクがあるため、この点は現場で確実に押さえておく必要があります。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
キット製剤は、基本液にアミノ酸・脂質・ビタミン・微量元素を組み合わせた製品です。成分の組み合わせによって以下のように分類されます。
| 分類 | 代表製品 | 特徴 |
|------|----------|------|
| 電解質+糖+アミノ酸 | ピーエヌツイン1〜3号 | ビタミン未含有。B₁補充必須 |
| 電解質+糖+アミノ酸+脂肪 | ミキシッドL・H | 除菌フィルター使用不可 |
| 電解質+糖+アミノ酸+ビタミン | ネオパレン、フルカリック1〜3号 | ビタミンを1日量配合 |
| 電解質+糖+アミノ酸+ビタミン+微量元素 | エルネオパNF、ワンパル | 4室構造、最も成分が揃っている |
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キット製剤を選んだからといって、ビタミンや微量元素が必ず1日分補えるとは限りません。これは見落とされがちなポイントです。
フルカリック(1〜3号)は、1,806〜2,206mlを投与して初めて1日のビタミン必要量が充足されます。つまり、1,000mlや1,500mlで運用し続けると、慢性的なビタミン不足が生じます。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
同様にエルネオパNFも、2,000ml製剤で1日量の微量元素とビタミンが補えますが、1,000ml製剤ではそれぞれ1/2量しか含まれていません。長期投与時は補充量の不足に気をつけましょう。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
また、脂肪を含むミキシッドL・Hでは、脂肪乳剤の性質上、除菌フィルター(0.22μmフィルター)を使用できないという制約があります。他のキット製剤とはルート管理の考え方が変わるため、現場での手技確認が必要です。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
ネオパレンについては、カリウムが上下室に均等配分されるよう設計が変更されています。これは、隔壁を開通せずに投与された際の安全対策として行われた仕様変更です。現場で古い情報のまま運用していると、隔壁開通の重要性を見逃すリスクがあります。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-08.html)
中心静脈栄養では、患者の病態に応じて適切なアミノ酸製剤を選択することが治療成績に直結します。本邦で使用できるアミノ酸製剤は以下の5種類に分類されます。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html)
peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html)
病態別の選択を誤った場合、たとえば肝性脳症患者に総合アミノ酸輸液を投与すると、芳香族アミノ酸が過剰となり意識障害を悪化させるリスクがあります。腎不全患者にも同様のことが言えます。原則は病態です。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html)
NPC/N比(非蛋白カロリー/窒素比)も重要な指標です。侵襲がない状態では150〜200、異化亢進状態(熱傷・感染症など)では100〜150、腎不全では300〜500を目安に設定します。製剤の糖質・アミノ酸配合量を確認しながら、この比率が適切になるよう調整するのが基本です。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html)
アミノ酸製剤の参考情報はこちらも有用です。
PDNレクチャー(NPO法人PDN)による詳細な解説。
Chapter3 静脈栄養 2.9 アミノ酸製剤の種類と特徴 - NPO法人PDN
中心静脈栄養の投与には、中心静脈カテーテル(CVカテーテル)の留置が必要です。留置部位と方式によって複数の種類があり、それぞれに適応と特性があります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/word/12127)
almediaweb(https://www.almediaweb.jp/expert/feature/2506/index01.html)
PICCは近年、特に長期TPN患者や在宅移行を見据えた患者に活用が広がっています。上腕に挿入するためカテーテル関連血流感染(CRBSI)のリスクが通常のCVカテーテルより低いとされており、管理しやすい点がメリットです。これは使えそうです。 almediaweb(https://www.almediaweb.jp/expert/feature/2506/index01.html)
カテーテル選択には、予想される投与期間・患者の活動性・感染管理環境を総合的に考慮します。短期入院患者と在宅療養患者では適切な選択肢が異なるのが原則です。
カテーテルの種類に関する詳細は公益社団法人日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)のガイドラインも参照してください。
日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)公式サイト
TPNの合併症には「カテーテル関連合併症」と「代謝性合併症」の2つの大きな柱があります。現場では感染管理に注目が集まりますが、代謝面のリスクも無視できません。 kango.mynavi(https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20251208-2182904/)
代謝性合併症で特に注意が必要なのは以下の通りです。
kango.mynavi(https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20251208-2182904/)
リフィーディング症候群は、ICUや消化器外科での長期絶食患者に特に注意が必要です。発症すると低リン血症(正常値2.5〜4.5mg/dL)が急激に進行し、横紋筋融解や心不全につながることがあります。厳しいところですね。 kango.mynavi(https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20251208-2182904/)
腸管粘膜萎縮については、「わずか数日のTPN継続でも腸絨毛が萎縮し始める」という研究報告があり、腸機能が残っている患者では少量でも経腸栄養を併用する"gut protection"の考え方が重要視されています。 peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/02-09.html)
合併症の実践的な管理については以下のページも参考にしてください。
中心静脈栄養とは|適応・禁忌やメリット・デメリットを解説 - ナースプラス