フェニレフリン副作用と昇圧剤使用時注意点

医療現場で使用されるフェニレフリンには、循環器系や神経系など様々な副作用があります。血圧異常上昇や心室性不整脈、ショックなどの重大な有害事象も報告されており、適切な投与管理が求められます。医療従事者として、フェニレフリンの副作用とその対策について、正しい知識を持つ必要があるのではないでしょうか?

フェニレフリン副作用とその発現頻度

フェニレフリンの主な副作用
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循環器系の副作用

血圧異常上昇、徐脈、心悸亢進、胸内苦悶などが出現する可能性があります

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神経系の副作用

頭痛、手足のしびれ感・ふるえ感が報告されています

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重大な副作用

ショック、アナフィラキシー、脳出血、肺水腫などの重篤な反応が起こることがあります

フェニレフリン副作用の全体像と発現頻度

 

フェニレフリン塩酸塩は、選択的α1受容体刺激薬として医療現場で広く使用されていますが、様々な副作用が報告されています。総症例384例中、副作用が報告されたのは26例(6.77%)で、主な症状は頭痛12件(3.13%)、手足のしびれ感・ふるえ感5件(1.30%)、紅疹3件(0.78%)などとなっています。
参考)https://medical.kowa.co.jp/asset/item/30/4-pt_082.pdf

副作用の発現頻度については、0.1~5%未満と頻度不明に分類されており、重篤度や臓器別に詳細な報告がなされています。医療従事者は、これらの副作用発現頻度を理解した上で、患者の状態を注意深く観察する必要があります。
参考)医療用医薬品 : ネオシネジン (ネオシネジンコーワ注1mg…

使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査は実施されていないため、文献等を参考にした集計データに基づいて副作用情報が整理されています。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000230547.pdf

フェニレフリン循環器系副作用の特徴

循環器系の副作用として、血圧異常上昇、心悸亢進、徐脈、胸内苦悶、呼吸困難などが報告されています。特に徐脈はアトロピンにより容易に回復するという特徴があります。​
フェニレフリンの血管収縮作用により、急激な血圧上昇が発現するリスクが高く、高血圧患者では特に注意が必要です。また、動脈硬化症のある患者では閉塞性血管障害が促進される可能性があります。
参考)ネオシネジンコーワ5%点眼液の効能・副作用|ケアネット医療用…

過度の昇圧反応により、急性肺水腫不整脈心停止などの重篤な症状が出現することもあるため、過量投与にならないよう慎重な管理が求められます。血圧測定を行いながら滴数を調整するなど、投与中の厳格なモニタリングが不可欠です。​

フェニレフリン神経系副作用と消化器系反応

精神神経系の副作用として、頭痛が最も高頻度(3.13%)で報告されています。その他、手足のしびれ感やふるえ感(1.30%)も特徴的な症状です。​
消化器系では悪心・嘔吐などの症状が出現することがあります。これらの症状は投与量や投与速度に関連して発現することが多く、適切な用量調整により軽減できる可能性があります。​
また、過敏症として発疹が報告されており、症状があらわれた場合には投与を中止する必要があります。その他の副作用として発汗、紅疹なども報告されています。​

フェニレフリン過量投与による重篤な副作用

過量投与時には、心室性期外収縮、一過性の心室性頻拍、頭重感、手足の疼痛、脳出血、頭痛、肺水腫などの重篤な症状があらわれることがあります。これらは生命に関わる危険な状態であり、直ちに投与を中止して救急処置を行う必要があります。​
異常な血圧上昇や末梢血管収縮に対しては、拮抗剤であるα遮断薬フェントラミン等)の投与が推奨されています。重症の心室性頻拍性不整脈にはプロプラノロール塩酸塩あるいはリドカインの投与を考慮します。​
特に感受性の高い患者では、脳内出血や肺水腫などが発生するリスクが高いため、投与前の患者評価と投与中の厳重な監視が重要です。​

フェニレフリン副作用発現時の対応と医療安全管理

副作用が認められた場合には、直ちに投与を中止し、症状に応じて適切な処置を行うことが基本となります。ショックやアナフィラキシーに対しては、紅斑、発疹、呼吸困難、血圧低下、眼瞼浮腫等の症状を注意深く観察し、早期発見・早期対応が求められます。
参考)http://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=1319810Q1029

点滴静注で大量の注射液が血管外に漏出した場合、局所の虚血性壊死があらわれることがあるため、投与部位の観察も重要です。本剤により過度の血圧上昇が生じた場合には、速やかにα遮断薬を使用する必要があります。​
医療機関では、フェニレフリン投与時のインシデント・アクシデント事例を共有し、過量投与によるショックなどの重大事象を予防する体制整備が重要です。投与設定の確認、血圧モニタリングの徹底、緊急時対応プロトコルの整備など、多層的な安全対策が必要とされています。
参考)https://www.med.or.jp/anzen/manual/pdf/jirei_02_02.pdf

医薬品医療機器総合機構(PMDA)のフェニレフリン塩酸塩製剤に関する安全対策資料
興和株式会社のネオシネジンコーワ注添付文書(副作用と使用上の注意に関する詳細情報)