副鼻腔炎の症状と原因から治療法と予防法まで

副鼻腔炎の原因と症状

副鼻腔炎の主な原因

副鼻腔炎の発症には複数の原因が関与していますが、最も多いのがウイルスや細菌による感染です 。風邪をひいた際に鼻腔に侵入したウイルスや細菌が、鼻腔とつながっている副鼻腔まで炎症を広げることで副鼻腔炎が発症します 。
参考）https://www.iwano-jibika.or.jp/sinusitis/

 

アレルギー性鼻炎も重要な原因の一つです。アレルギーによって鼻の粘膜が腫れると、副鼻腔の換気が不十分になり、副鼻腔炎を引き起こすリスクが高まります 。特に気管支喘息をお持ちの方は、副鼻腔炎を起こしやすいことが明らかになっています 。
参考）https://nagatomo-ent.jp/sinusitis

 

環境要因として、喫煙は鼻の粘膜を弱くし、細菌感染を起こしやすくするため副鼻腔炎のリスクを増加させます 。また、虫歯が原因となる場合もあり、特に上顎の奥歯の虫歯は上顎洞炎の原因となることがあります 。

副鼻腔炎の典型的な症状

副鼻腔炎の症状は多岐にわたりますが、黄色や緑色の粘り気のある鼻水が最も特徴的な症状です 。この膿性の鼻汁は、副鼻腔内で細菌やウイルスと戦った白血球の死骸や残骸によるものです 。
参考）https://www.takada-nose.com/empyema/

 

鼻づまりも主要な症状の一つで、副鼻腔の換気不全により鼻呼吸が困難になります 。後鼻漏（鼻汁がのどに下がる症状）により、のどの違和感や痰がからむ咳が生じることもあります 。
顔面の症状として、頬の痛みや眼の下、目と目の間の痛みが現れることがあります 。これは副鼻腔内の圧力上昇や炎症が周囲の組織に影響を及ぼすためです。頭痛や嗅覚異常（においがしない）、鼻出血なども認められる場合があります 。

副鼻腔炎の急性期と慢性期の違い

急性副鼻腔炎は、副鼻腔炎のうち30日未満で完全に消失するものと定義されます 。主にウイルスや細菌が原因で起こり、症状は比較的激しく現れますが、自然に治ることもあり、抗生物質などの投与で比較的簡単に治るのが特徴です 。
参考）https://azabu.saitamajaguar.com/internal/sinusitis/

 

一方、慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎が長引いたり繰り返されたりし、90日以上治らない場合に診断されます 。症状は急性期よりも軽度である場合が多いですが、炎症が長期化することで粘膜の機能が低下し、膿の排出が困難になる悪循環に陥ります 。
参考）https://ebina-kojiro.com/course/c12/

 

近年増加している好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができ、手術をしてもすぐに再発する難治性の慢性副鼻腔炎です 。2015年には指定難病として認定され、公的補助が受けられるようになりました 。
参考）https://www.togashi-ent.com/sinusitis/

 

副鼻腔炎における真菌感染の特殊性

副鼻腔真菌症は、カビの一種である真菌が副鼻腔内に入り込んで強い炎症を起こす特殊な副鼻腔炎です 。アスペルギルス、カンジダ、ムコールなどが原因菌として知られています 。
参考）https://www.hirota-ent.com/fuku-biku/hukubiku_shinkin.html

 

真菌性副鼻腔炎は主に片側の鼻に症状が現れ、悪臭を伴うチーズ様の物質が鼻から出てくることがあります 。高齢者や長期間抗生剤を使用している方、糖尿病患者など免疫機能が低下している場合に発症しやすいとされています 。
重篤な場合には、炎症が目や脳にまで進行し、高熱、頭痛、頬部腫脹、眼球突出、視力障害など命にかかわる状態になることもあるため、早期の診断と治療が重要です 。

子どもの副鼻腔炎の特徴

小児の副鼻腔炎は成人と異なる特徴を持ちます。子どもの場合、ほとんどが急性副鼻腔炎であり、風邪やアレルギーが原因で発症することが多いとされています 。
参考）https://kikuna-clinic.com/pediatrics/sinusitis/

 

子どもの症状として、黄色や緑色の鼻水が1週間以上続く、ひどい鼻づまりによる口呼吸やいびき、夜間に悪化する咳などが挙げられます 。また、集中力の低下やぼーっとしている状態、機嫌の悪さなど、全身症状として現れることもあります 。
参考）https://www.famil-s-wakuwaku.com/sinusitis/

 

子どもは症状を上手に伝えられないため、保護者の観察が重要です 。特に、色のついた鼻水が出ている、しょっちゅう鼻をかんでいる、寝つきが悪く夜中に何度も起きる、痰がからむ咳が出る場合は早期受診が推奨されます 。
参考）https://www.nohanaiin.jp/sinusitis/

 

副鼻腔炎の鼻洗浄による自宅ケア方法

**鼻洗浄（鼻うがい）**は、副鼻腔炎の症状緩和に非常に効果的なセルフケア方法です 。鼻の中にたまった膿や鼻水、ウイルス、細菌を直接洗い流すことができ、鼻の中を清潔に保つことで副鼻腔炎の症状を緩和します 。
参考）https://www.allergy-i.jp/hanadumari/sinusitis/useful/selfcare.html

 

生理食塩水の作り方は、水1Lに対して塩9gを加え、一度沸騰させてから体温より少し高めの40～41℃程度まで冷まします 。作り置きはせず、毎回新しく作ることが重要です 。
鼻洗浄の手順として、鼻洗浄器に生理食塩水を300mL程度入れ、あごを引いて下を向いた状態で鼻の穴に当てます 。「あー」と声を出しながら鼻の中に生理食塩水を入れ、どちらかの鼻の穴または口から生理食塩水を出します 。1日3回以上実施することで、より効果的です 。
参考）https://jibisiru.com/knowledge/1182/

 

副鼻腔炎の手術療法としての内視鏡下鼻副鼻腔手術

薬物療法で改善が見られない慢性副鼻腔炎に対しては、**内視鏡下鼻副鼻腔手術（ESS）**が選択されます 。この手術は鼻の穴から内視鏡を挿入し、モニターを通じて鼻内を確認しながら行う低侵襲な治療法です 。
参考）https://www.takada-nose.com/empyema-surgery/

 

ESSの目的は、「炎症による病的な粘膜の除去」と「副鼻腔の換気と排泄の正常化」です 。副鼻腔の粘膜をすべて除去するのではなく、病的な部分のみを慎重に取り除くことで、副鼻腔本来の機能を可能な限り維持します 。
参考）https://kyoto-ekimae3387.jp/ess/

 

手術時間は片側につき30-45分程度、両側で60-90分程度で終了します 。鼻の外側に切開を加えないため、術後の腫れや痛みが少なく、回復も早いという利点があります 。従来のような大量のガーゼ詰めは行わず、自然に溶ける止血剤を使用するため、患者様の負担を大幅に軽減しています 。

副鼻腔炎の予防と生活習慣の改善

副鼻腔炎の予防には、免疫力の維持と環境整備が重要です 。規則正しい生活、適度な運動、禁煙により体の抵抗力を高めることが基本となります 。
食事面では、抗炎症作用のある青魚、緑黄色野菜、発酵食品の積極的摂取が推奨されます 。一方で、油っこい揚げ物、甘いお菓子、辛いもの、アルコールなど「湿」と「熱」を生じやすい食材は控えめにすることが望ましいです 。
参考）https://note.com/shingetsuin/n/n633df259559b

 

環境対策として、ハウスダスト、花粉、ダニなどのアレルゲン対策と環境整備が必要です 。部屋を清潔に保つ、空気清浄機を使う、外出時にはマスクを着ける、こまめに換気するなどの工夫が効果的です 。手洗いやうがいをしっかり行い、感染症を防ぐことも重要な予防策です 。