褥瘡治療薬一覧と外用薬と基剤とガイドライン

褥瘡治療薬一覧を、外用薬の分類と基剤の選び方、感染や滲出液など状態別の使い分けまで医療従事者向けに整理します。現場で「なぜその薬か」を説明できる視点も入れて、選択の迷いを減らせるでしょうか?

褥瘡治療薬一覧と外用薬

褥瘡治療薬一覧の見取り図
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まず「主薬」と「基剤」を分けて考える

外用薬は主薬の作用だけでなく、基剤が「保湿・補水・吸水」を決めるため、創の状態(滲出液量など)に直結します。

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感染・壊死・肉芽・上皮化で役割が変わる

壊死除去、抗菌、肉芽形成、上皮化といった狙いを整理すると、薬の「使い分け」が説明しやすくなります。

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ガイドラインのCQを現場判断に落とす

推奨薬の並びを暗記するより、CQ(Clinical Question)が置いている前提=創の状態を読み取ることが重要です。

褥瘡治療薬一覧の外用薬の分類

褥瘡の「治療薬」として現場で扱う中心は外用薬で、選択の軸は大きく「主薬の作用」と「基剤の性質」に分かれます。外用薬は主薬と基剤から成り、基剤は薬効がない一方で、創面の湿潤環境を左右する“治療の一部”として働くため、薬の選び方は実質的に基剤の選び方でもあります。参考として、褥瘡に用いられる外用薬は、抗菌、壊死組織除去、肉芽形成・上皮形成など作用別に整理され、代表例としてユーパスタ(精製白糖・ポビドンヨード)、カデックス(カデキソマー・ヨウ素)、ゲーベン(スルファジアジン銀)、ブロメライン軟膏、デブリサン(デキストラノマー)、フィブラスト(トラフェルミン)、オルセノン(トレチノイントコフェリル)、アクトシン(ブクラデシンNa)、プロスタンディン(アルプロスタジル)などが挙げられています。これらは「薬効」だけでなく、吸水(滲出液の多い創に合いやすい)・補水(乾燥側に合いやすい)・保湿(創面保護、上皮化寄り)といった基剤の方向性で、適応が現場感覚に近づきます。
一方、ガイドライン側の整理は「創の深さ・時期(急性期/慢性期、黒色期〜白色期)」や「感染」「滲出液量」など臨床所見に沿って薬剤を位置づけています。例えば急性期で外用薬を使う場合、創面保護として白色ワセリン・酸化亜鉛・ジメチルイソプロピルアズレンなど油脂性基剤軟膏、感染予防としてスルファジアジン銀が推奨に挙げられています。深い褥瘡の壊死除去にはカデキソマー・ヨウ素、デキストラノマー、ヨードホルム、ブロメラインなどが推奨として示され、感染制御ではカデキソマー・ヨウ素、スルファジアジン銀、ポビドンヨード・シュガーなどが推奨されます。
この「一覧」を作るときの落とし穴は、薬剤名だけを羅列して“いつ使うか”が抜けることです。医療者向けの記事では、薬効分類(抗菌/壊死除去/肉芽・上皮化)と、基剤分類(疎水性=油脂性、親水性=乳剤性/水溶性)をセットで説明した方が、読者が患者・創ごとに当てはめられます。
外用薬の「主薬・基剤」分類と作用別一覧の根拠(表が有用)
アルメディア:褥瘡外用薬は主薬と基剤から成り、基剤分類(油脂性/乳剤性/水溶性)と作用別一覧表が掲載
褥瘡診療ガイドラインのCQで、感染・滲出液量・時期別の推奨薬が確認できる
日本皮膚科学会:褥瘡診療ガイドライン(CQ20〜29などに外用薬の推奨が整理)

褥瘡治療薬一覧の基剤と滲出液

褥瘡外用薬の実務で“効き”に直結しやすいのが基剤です。基剤は大別して疎水性(油脂性)と親水性に分かれ、親水性はさらに乳剤性(O/W型・W/O型)と水溶性に分かれます。疎水性(油脂性)は水となじまず、少量の滲出液を創面にとどめて保湿・保護に寄与するため、上皮化寄りの局面や創面保護の目的で選ばれやすいと整理されています。親水性では、水溶性基剤が滲出液を吸収して溶解するため滲出液が多い創に向き、乳剤性基剤のO/W型は乾燥した創への補水の位置づけで説明されています。
ここで重要なのは、「主薬が同じ方向でも、基剤が違うと狙える創環境が変わる」点です。例えば“壊死があるから壊死除去薬”と短絡せず、壊死の乾湿(乾燥壊死か、湿った壊死か)、滲出液が過剰か少ないかで、吸水・補水・保湿のどれを優先するかが変わります。ガイドラインでも、黒色期〜黄色期で滲出液が過剰ならカデキソマー・ヨウ素やデキストラノマー、ポビドンヨード・シュガーなどが推奨され、滲出液が少ない場合はスルファジアジン銀や油脂性軟膏(白色ワセリン等)が推奨されています。
「基剤の選択=滲出液マネジメントの一部」と捉えると、ドレッシング材との役割分担も説明しやすくなります。たとえば、外用薬を厚め(目安として約3mm)に塗布し、滲出液の状況を踏まえて1日1回以上の塗布を行う、という実務的な注意も示されており、これは“薬効”というより“創面環境の維持”の話です。
意外と見落とされるのが、同じ薬剤でも「交換頻度」や「塗布量」の差で、浸軟やマセレーション、臭気や滲出液の見え方が変わり、評価がぶれやすい点です。医療従事者向けには、一覧に「基剤」「滲出液量の目安」「交換の考え方」を併記し、評価指標(浸軟、周囲皮膚、臭気、疼痛、熱感など)を添えると、治療チーム内の共通言語になります。

褥瘡治療薬一覧の感染と抗菌

褥瘡の感染は「細菌がいる/いない」だけで割り切れず、局所所見(疼痛、発赤、腫脹、熱感)や発熱などの全身所見、細菌学的検査、血液検査を総合して判断することが推奨されています。局所の感染制御を目的とした外用薬として、カデキソマー・ヨウ素、スルファジアジン銀、ポビドンヨード・シュガー、ポビドンヨードゲル、ヨウ素軟膏、ヨードホルムなどが推奨として提示されています。さらに、感染が局所にとどまる場合のドレッシング材として銀含有ハイドロファイバーや銀含有フォーム等も推奨されており、外用薬とドレッシング材は“どちらか一方”ではなく組み合わせで語る方が臨床に近いです。
一方で注意点として、ガイドラインでは抗生物質(抗菌薬)含有軟膏の使用は根拠が十分でないとして「現時点では使用しないことを提案」とされる場面があり、漫然使用は避けるべき、というメッセージが読み取れます。慢性期の深い褥瘡で抗菌薬含有軟膏を長期使用すると耐性菌の出現リスクがあるため、原則として用いない方がよいが、急性期や慢性期の浅い褥瘡で創面保護作用を期待して使うなら例外になり得る、という整理も示されています。
ここを記事に落とすなら、「抗菌=強い薬を塗る」ではなく、(1)感染の評価、(2)局所にとどまるのか(蜂窩織炎や骨髄炎疑い等は別問題)、(3)外用薬で狙うのか、ドレッシング材でバイオバーデンを下げるのか、(4)滲出液量の多寡で基剤をどうするか、の順に書くとブレません。
あまり知られていない盲点としては、「感染の見え方」がドレッシングや基剤で変わる点です。例えば閉塞性が高い環境では滲出液が溜まりやすく、臭気が強く感じられて“感染っぽい”と誤認しやすい一方で、乾燥しすぎると壊死が硬く残って“治らない=感染”と短絡しやすいです。感染の評価を局所の炎症所見と全身所見のセットで捉える、と明示するだけでも、現場の判断が整います。

褥瘡治療薬一覧の肉芽と上皮化

褥瘡治療の後半(赤色期〜白色期)では、moist wound healing(湿潤環境下療法)を目指すコンセプトが示され、外用薬も「肉芽形成・上皮化をどう進めるか」に比重が移ります。ガイドラインでは、滲出液が適正〜少ない創面に対してトラフェルミン、トレチノイントコフェリル、プロスタグランジンE1(例:アルプロスタジル)などが推奨され、加えて塩化リゾチームなども選択肢として示されています。また、幼牛血液抽出物、白色ワセリン、酸化亜鉛、ジメチルイソプロピルアズレンなど油脂性軟膏も推奨に含まれています。
このパートで医療者が悩みやすいのは、「肉芽が上がらない」「上皮が伸びない」の原因が薬剤選択だけではない点です。圧迫・ずれ、栄養、末梢循環、感染・炎症、滲出液のバランス、創縁の停滞(edgeの問題)など、TIMEの枠組みで阻害因子を見直してから外用薬の役割を決める方が、結果的に“薬を変え続ける”ループを止めやすいです。
実務上は、肉芽形成促進や血流改善系の薬剤(例:プロスタグランジンE1外用)を選ぶ場面で、併用薬(抗血小板薬抗凝固薬など)や出血傾向、疼痛・刺激感といった局所副反応も観察ポイントに入ります。添付文書・インタビューフォームまで記事内で細かく踏み込みすぎると冗長になりがちですが、「観察項目(発赤、滲出液増加、出血、痛み、接触皮膚炎など)」をチェックリスト化しておくと、医師・看護師・薬剤師の連携が回しやすくなります。
また、“意外な情報”として使えるのは、「ポケットの扱い」です。ガイドラインではポケットがある場合、滲出液が多いならポビドンヨード・シュガー、滲出液が少なければトラフェルミンやトレチノイントコフェリルが推奨され、改善しなければ外科的治療や物理療法も検討すると整理されています。薬の一覧を“創面だけ”で作るとポケットの視点が抜けやすいため、一覧に「ポケット有無」の列を作ると臨床で役立ちます。

褥瘡治療薬一覧の独自視点のチーム

褥瘡治療薬一覧を“現場で使える資料”にする独自視点として、多職種チーム内での説明コストを下げる設計を入れるのが効果的です。具体的には、薬剤名を覚えるより「なぜ今この薬なのか」を一言で共有できるラベル(例:吸水で滲出液を落とす、補水で乾燥壊死を緩める、保湿で創面保護して上皮化を邪魔しない、局所の感染負荷を下げる、肉芽を押し上げる)を、薬剤ごとに固定しておく方法です。外用薬が主薬と基剤からできている、という前提を共有できるだけでも、看護師の処置と医師の処方、薬剤師の監査のズレが減ります。
さらに一段踏み込むなら、チームで共通の「観察→介入→評価」の型を持つことです。ガイドラインが提示するように、感染の診断は局所所見+全身所見+検査の総合判断が推奨され、滲出液が多い/少ないで推奨薬が変わり、治療前半はTIME、後半はmoist wound healingというコンセプトが示されています。これを記事内で“ミニ運用ルール”として提示すると、単なる一覧より価値が出ます。
たとえば現場向けの簡易運用例は次のように書けます(入れ子にせず、あくまで一行ずつのチェック項目にします)。
・まず創の深さと時期(黒色期/黄色期/赤色期/白色期)を合わせる。
・滲出液が「過剰・適正・少ない」を決め、基剤の方向(吸水・補水・保湿)を先に決める。
・感染は疼痛・発赤・腫脹・熱感+発熱の有無で疑い、必要なら培養や血液検査も含めて総合判断する。
・壊死があるなら、乾燥か湿潤かで自己融解(補水)か吸水・除去かを整理し、外科的デブリの適応も検討する。
・ポケットがあるなら、創面だけの“見た目”で判断せず、滲出液量に応じた選択や、切開・陰圧閉鎖療法の検討も視野に入れる。
この独自視点が「検索上位に多い薬剤羅列型の記事」と差が出るポイントです。医療者向けブログ記事としては、薬剤名を並べるより、意思決定の型を言語化した方が“現場で使った感”が出て、監修者の評価も取りやすいはずです。