ロキソプロフェンの副作用は、臨床試験において16.5%(16/97例)に認められており、主な症状として胃・腹部不快感が5.2%(5/97例)、胃痛が**3.1%(3/97例)**と報告されています。
消化器系の副作用(発生頻度1~5%)
皮膚・アレルギー症状
その他の症状
医療従事者として注意すべきは、これらの症状が軽微に見えても、重篤な合併症への進展リスクがあることです。特に消化管出血や腎機能障害は生命に関わる可能性があります。
消化管出血のリスクファクター
ロキソプロフェンによる消化管障害は、短期使用でも胃・十二指腸潰瘍へ進展する可能性があります。特に危険な症状として以下が挙げられます。
腎機能障害(発生頻度0.1%未満だが高リスク)
ロキソプロフェンは腎血流依存性のため、以下の状況で急性腎不全(AKI)を招くことがあります。
皮膚粘膜眼症候群(SJS/TEN)
稀ながら重篤な皮膚障害として中毒性表皮壊死融解症や皮膚粘膜眼症候群が報告されており、緊急入院が必要な症例もあります。
これらの重篤な副作用は、医療従事者による早期発見と適切な対応が患者の予後を大きく左右します。
2016年に報告された71歳の日本人女性の症例では、ロキソプロフェン使用により間質性肺炎を発症した稀なケースが報告されています。
症例の詳細
診断時の検査所見
この症例は、ロキソプロフェンによる肺合併症の報告がない中で発見された極めて稀な副作用です。医療従事者は、呼吸器症状を呈する患者でロキソプロフェン使用歴がある場合、薬剤性間質性肺炎も鑑別診断に含める必要があります。
投与前のリスク評価
以下の患者背景がある場合は特に注意が必要です。
併用薬による相互作用
副作用リスクを高める併用薬として以下が挙げられます。
安全な使用のための12箇条
これらの予防策の徹底により、ロキソプロフェンの副作用リスクを大幅に軽減できます。
2021年に報告された日本人患者の自己過量服用症例では、ロキソプロフェンの薬物動態について貴重なデータが得られています。
薬物動態の特徴
ロキソプロフェンはプロピオン酸誘導体であり、日本で最も広く処方されているNSAIDです。通常の治療用量では、以下の特徴があります。
過量服用時の注意点
過量服用症例では、通常とは異なる薬物動態を示す可能性があり、以下の点に注意が必要です。
医療従事者は、意図的・非意図的な過量服用患者に対して、症状の重篤度と薬物動態を考慮した適切な管理が求められます。特に腎機能モニタリングと支持的治療が重要となります。
ロキソプロフェン誘発性間質性肺炎症例報告 - 稀な呼吸器副作用の詳細データ
医療用医薬品ロキソプロフェンNa - 添付文書による公式副作用情報