THA医療と看護で知っておくべき術後管理の要点

THA(人工股関節全置換術)後の看護は脱臼・DVT・感染など多くのリスク管理が求められます。医療従事者が術後管理で押さえるべき観察ポイントや看護計画の立て方とは?

THA医療と看護の術後管理と合併症予防

DVTの弾性ストッキングだけでは、THA後の約12%に血栓が新たに発生します。 amcor.asahikawa-med.ac(https://amcor.asahikawa-med.ac.jp/modules/xoonips/download.php/2012169588.pdf?file_id=6229)


THA術後看護の3つの重要ポイント
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脱臼リスクの管理

禁忌肢位(股関節屈曲・内転・内旋)を患者・家族に徹底指導することが再手術を防ぐ鍵です。

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DVT・肺塞栓の予防

抗凝固薬の管理と早期離床が深部静脈血栓症の発生率を大きく左右します。

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術後脳卒中の見落とし防止

THA後には脳梗塞が術直後〜術後5日目に発症することがあり、意識・神経症状の継続観察が必要です。


THA医療における人工股関節置換術の基本と適応


THA(Total Hip Arthroplasty:人工股関節全置換術)は、変形性股関節症やリウマチなどによって損傷した股関節を金属・セラミック・ポリエチレン製の人工関節に置き換える手術です。 患者の多くは中高年〜高齢者で、既往歴として糖尿病心房細動動脈硬化を持つ場合が少なくありません。 看護師は術前から「どのような背景を持つ患者か」を把握しておくことが、術後合併症の予測と早期対応につながります。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/word/20758)


適応となる主な疾患は以下のとおりです。


- 変形性股関節症(最多)
- 関節リウマチによる股関節破壊
- 大腿骨頭壊死
- 股関節骨折後の難治症例


手術は通常、後方アプローチまたは前方アプローチで行われます。アプローチの違いによって術後の禁忌肢位の方向が異なるため、看護師はどちらのアプローチで手術が行われたかを術前に確認しておくことが必須です。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/ki/image_1556/)


また、THAの耐用年数には限界があります。一般的に術後20年が経過すると約60%の患者でインプラントの緩みが生じ、そのうち半数程度が再置換術(リビジョン)を受けるとされています。 患者・家族への退院指導では、「永久に使える」という誤解を解くことも看護師の重要な役割です。 kansetsu-itai(https://www.kansetsu-itai.com/about/hip/artificial/kind/kin002.php)


THA看護で最重要の脱臼予防と禁忌肢位の指導

THA後の脱臼は、術後早期に最も注意すべき合併症の一つです。これが基本です。 j-depo(https://j-depo.com/news/tha.html)


脱臼を引き起こしやすい肢位(禁忌肢位)は、手術アプローチによって異なります。


| アプローチ | 脱臼しやすい肢位 |
|---|---|
| 後方アプローチ | 股関節屈曲90°超+内旋+内転 |
| 前方アプローチ | 股関節伸展+外旋 |


具体的に患者がイメージしやすい言葉で伝えると効果的です。たとえば「椅子から立つとき、膝が90度以上曲がる低い椅子は危険です」「靴下を自分でいきなり履こうとしないでください」といった日常生活に即した表現が定着しやすいとされています。


退院後の自宅環境も確認しておきましょう。床に座る生活スタイルの患者は禁忌肢位をとりやすく、特に和式トイレの使用は脱臼リスクが高い行動の一つです。退院前にソーシャルワーカー理学療法士と連携し、生活環境の評価と調整を行うことが再入院を防ぐうえで有効です。


退院支援に特化した看護計画については、以下の参考ページに詳しく掲載されています。


術後退院支援の看護計画(禁忌肢位の指導内容・評価方法など)。
人工股関節置換術の術後の患者さんへの看護計画 |ナース専科


THA医療で見落としやすいDVT・肺塞栓の看護計画

DVT予防の看護介入は以下の3つが柱になります。


- 薬物療法の管理:エドキサバン・エノキサパリンなどの抗凝固薬の投与時間・出血兆候の観察
- 弾性ストッキング・フットポンプの使用:着用状況と皮膚トラブルの確認
- 早期離床の促進:術後翌日からの歩行訓練開始が原則


観察のポイントとして、下腿の発赤・腫脹・ホーマンズ徴候の確認が教科書的には知られています。ただし、ホーマンズ徴候の感度は低く(50%程度)、陰性でもDVTを否定できません。 DVTが疑われる場合は超音波検査血液検査(D-ダイマー)の医師への報告を迅速に行うことが条件です。 j-depo(https://j-depo.com/news/tha.html)


術後の体動に伴って急に呼吸困難・胸痛・SpO₂低下が生じた場合は肺塞栓を疑い、ただちに主治医へ報告します。これは時間との勝負です。DVT予防の看護計画は術前から立案しておくことが推奨されています。


参考:DVT予防のエビデンスや投薬プロトコルについての詳細な記述。


THA術後の感染予防と創部管理で看護師が押さえるポイント

THA後の深部感染(人工関節周囲感染:PJI)は、発生頻度こそ1〜2%程度と低いものの、一度発症すると再手術・長期入院・インプラント抜去という深刻な転帰をたどることがあります。 発生頻度が低いからといって油断してはいけません。感染予防が原則です。 j-depo(https://j-depo.com/news/tha.html)


創部の観察ポイントは以下のとおりです。


- 発赤・熱感・腫脹・滲出液の増加
- 縫合糸・ホチキス周囲の発赤や離開
- 体温の上昇(術後3日以降も38℃以上が続く場合は要注意)
- 白血球・CRPなどの炎症マーカーの推移


術後の創部ドレーンが挿入されている場合、排液の性状変化(膿性・悪臭)を見逃さないことが重要です。また、尿路感染や呼吸器感染が遠隔感染源となり人工関節に血行感染する場合があります。入院中のすべての感染症管理が、THA後の感染予防につながるということですね。


高齢患者では術後の発熱に対して「よくあること」として見過ごされやすい傾向があります。術後72時間を超えて発熱が持続する場合や、創部に異常所見がある場合は、看護師から積極的に医師へ報告する習慣が感染の早期発見につながります。


抜糸・ホチキス除去のタイミングは通常術後2週間前後ですが、患者の免疫状態・糖尿病の有無などによって個別に判断されます。退院後の患者への創部観察方法の指導も、看護師の役割として欠かせません。


THA看護で独自視点:術後認知機能低下(POCD)と高齢患者への配慮

THA後の合併症として脱臼やDVTは広く知られていますが、術後認知機能低下(POCD:Postoperative Cognitive Dysfunction)は整形外科病棟で見落とされやすい問題です。意外ですね。


POCDの主な症状は以下のとおりです。


- 見当識障害(時間・場所がわからなくなる)
- 注意力・集中力の低下
- 術前と比べた記憶力の減退
- 術後せん妄(特に夜間の混乱)


看護師としての対応として重要なのは、「術前の認知機能ベースラインを把握しておくこと」です。MMSE(簡易知能評価)などを術前に行っておくと、術後の変化を客観的に評価できます。術前スクリーニングを行う病棟はまだ少数です。


また、高齢患者では早期離床・昼間の活動促進・睡眠リズムの維持がせん妄・POCDの予防に有効とされています。夜間の照明調整や家族の付き添いによる安心感の提供も、環境面での介入として取り入れる価値があります。


脳卒中後の術後認知機能に関する情報。


THA医療における退院後フォローアップと看護師の継続支援

THA後の看護は、退院で終わりではありません。退院後も継続的なフォローアップが患者のQOL維持と再入院防止に直結します。 これは長期管理の視点が必要ということですね。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/500745)


退院後に特に問題が起きやすい時期と内容は以下のとおりです。


| 時期 | 主なリスク・問題 |
|---|---|
| 退院〜1か月 | 脱臼・創部感染・転倒 |
| 1〜3か月 | リハビリ継続の中断・ADL低下 |
| 半年〜1年 | 禁忌肢位の自己判断による脱臼 |
| 5〜20年後 | インプラントの緩み・再置換の必要性 |


退院指導では、「禁忌肢位の回避」「転倒予防」「感染症の早期受診」の3点を文書で提供し、口頭説明と組み合わせることが効果的です。特に一人暮らしの高齢患者や認知機能低下のある患者は、家族・ケアマネジャーへの情報共有も同時に行います。


外来看護師との連携も重要です。入院中に立案した看護計画のサマリーを外来へ引き継ぎ、経過観察の視点を共有しておくと、患者の変化に気づきやすくなります。


退院後のフォローアップ看護計画の詳細は以下を参照してください。


人工股関節置換術の術後の患者さんへの看護計画(退院支援版)|ナース専科


また、変形性股関節症の進行度や手術時期の判断など医師の視点からの解説は以下が参考になります。


人工股関節置換術(THA)の看護|合併症や5つの術後看護計画






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