レキサルティ(ブレクスピプラゾール)は、セロトニン・ドパミン活性調節薬(SDAM)として知られる新しいタイプの抗精神病薬です。副作用の発現頻度について、国内臨床試験では以下のような結果が報告されています。
主要な副作用の発現頻度
レキサルティの副作用プロファイルは、従来の抗精神病薬と比較してマイルドな特徴を示すことが知られています。しかし、個人差があるため、患者ごとの慎重な観察が必要です。
アカシジアは、レキサルティの服用初期に最も注意すべき副作用の一つです。患者は「じっとしていることができない」感覚を訴え、具体的には以下のような症状が現れます:
アカシジアの典型症状 🚶♂️
アカシジアの対策として、医師の指導のもとでの用量調整が有効です。β遮断薬(プロプラノロール)やベンゾジアゼピン系薬剤の併用も考慮されることがあります。患者には症状について詳しく説明し、我慢せずに報告するよう指導することが重要です。
体重増加は、レキサルティの副作用として特に注意が必要な項目です。統合失調症承認時の臨床試験では47/1,520例(3.1%)に体重増加が報告されています。
体重増加に伴う合併症リスク ⚖️
体重増加への対策では、定期的な体重測定と食事指導が重要です。栄養士による食事療法の指導や、可能な範囲での運動療法の導入を検討します。また、血液検査による脂質代謝の定期的なモニタリングも必須です。
悪性症候群は、レキサルティ服用中に発生する可能性がある生命に関わる重大な副作用です。発現頻度は0.1%未満と低いものの、早期発見と迅速な対応が生死を分けます。
悪性症候群の診断基準 🌡️
悪性症候群が疑われた場合は、直ちにレキサルティの投与を中止し、集中治療が必要です。ダントロレンナトリウムやブロモクリプチンなどの薬物療法、冷却療法、電解質補正などの支持療法を行います。
レキサルティの使用により、衝動制御障害が報告されており、特に賭博に対する激しい衝動が外国の製造販売後報告で示唆されています。これは一般的にはあまり知られていない副作用ですが、重要な注意点です。
報告される衝動制御障害の種類 🎰
患者自身がこれらの行動を異常と認識しない場合が多いため、処方医は定期的に患者や介護者に対して、新たな衝動的行動の有無について質問することが重要です。衝動制御障害が認められた場合は、レキサルティの減量または中止を考慮します。
レキサルティの適正使用ガイドでは、衝動制御障害についての詳細な対応方法が記載されています
肝機能障害と黄疸は、レキサルティの重大な副作用として挙げられています。これらの副作用は、薬剤の肝代謝過程で肝細胞に負担をかけることが原因と考えられています。
肝機能障害の症状 🏥
定期的な血液検査による肝機能のモニタリングが推奨されます。特に投与開始後1-3ヶ月は月1回、その後は3ヶ月ごとの検査が望ましいとされています。肝機能異常が認められた場合は、投与中止を含めた適切な処置を検討します。
高齢者におけるレキサルティの副作用は、特別な注意が必要です。年齢に伴う薬物代謝能力の低下や、併存疾患の影響により、副作用のリスクが高まる傾向があります。
高齢者に特に注意すべき副作用 👴
抗精神病薬による錐体外路症状は、食道運動障害を引き起こし、特に高齢者では嚥下障害から誤嚥性肺炎へと進行するリスクがあります。アルツハイマー型認知症患者では、「ものが飲み込みにくい、むせる、咳き込む」といった症状に特に注意が必要です。
レキサルティの副作用は、併用薬との相互作用により増強される可能性があります。特に以下の薬物群との併用時は注意が必要です。
注意すべき併用薬 💊
CYP3A4やCYP2D6の阻害薬と併用する場合は、レキサルティの血中濃度上昇により副作用リスクが高まるため、用量調整が必要です。また、アルコールとの併用は中枢神経系への作用を増強させるため避けるべきです。
患者には、市販薬やサプリメントを含めたすべての服用薬について医師・薬剤師に相談するよう指導することが重要です。特にセント・ジョーンズ・ワート(西洋オトギリソウ)などのハーブ系サプリメントは、薬物代謝酵素に影響を与える可能性があります。