管理料1を算定済みでも、転院先次第で管理料2が一切算定できません。
FLS(Fracture Liaison Service:骨折リエゾンサービス)とは、骨粗鬆症の早期発見・治療継続を目的に多職種が連携して行う支援システムのことです。医師・看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師など多様な職種がチームを組み、大腿骨近位部骨折を発症した患者の「骨折の連鎖」を断ち切ることを目指します。
このFLSの普及を後押しするために、2022年度の診療報酬改定で新設されたのが「二次性骨折予防継続管理料」です。つまり、FLSに取り組むことで医療機関が診療報酬を算定できるようになった、という構造です。これは使えそうです。
FLS関連の加算は大きく2つに分かれます。一つ目は「二次性骨折予防継続管理料(1・2・3)」で、骨粗鬆症の評価と治療継続を評価するもの。二つ目は「緊急整復固定加算」および「緊急挿入加算」で、骨折後48時間以内の早期手術を評価するものです。
| 加算・管理料の種別 | 点数 | 算定タイミング |
|---|---|---|
| 二次性骨折予防継続管理料1 | 1,000点 | 入院中1回(急性期病棟) |
| 二次性骨折予防継続管理料2 | 750点 | 入院中1回(回復期・地域包括ケア病棟) |
| 二次性骨折予防継続管理料3 | 500点 | 月1回・1年限度(外来) |
| 緊急整復固定加算・緊急挿入加算 | 各4,000点 | 骨折後48時間以内の手術時 |
管理料3については、外来で月1回・最長12か月にわたり算定できるため、1か月あたり500点×12回=合計6,000点の累積算定も可能です。長期的な患者フォローをきちんと記録・管理する体制が、収益面でも重要です。
参考:日本骨粗鬆症学会が提供する診療報酬算定の詳細解説ページ(施設基準・算定要件・疑義解釈を網羅)
二次性骨折予防継続管理料|日本骨粗鬆症学会 医療従事者向けページ
算定要件の起点となるのは「管理料1」です。管理料2・3はいずれも「他の医療機関で管理料1を算定した患者」が対象となっています。管理料1が算定されていなければ、2も3も算定できない、という連鎖構造です。管理料1が条件です。
管理料1の対象患者は、「大腿骨近位部骨折に対する手術を行った入院患者」です。算定にあたっては、次の3要素を満たす必要があります。
実際の現場で問題になりやすいのが、「検査漏れ」「処方漏れ」「コスト入力漏れ」の3点です。島根県立中央病院が2022年4月〜9月の100例を調査した報告では、初期の算定率は79%にとどまり、対策実施後の同年9月に初めて100%を達成しました。非算定8例のうち、条件を満たしているのに入力が漏れていたケースが3例もあったことは注目に値します。
対策として有効とされているのは、手術チェックリストへのコスト入力欄の追加と、電子カルテの伝言板を活用した算定対象患者の明示です。さらに月末のレセプトチェック時にレセプト担当職員が骨粗鬆症薬の処方・骨密度検査・血液検査の有無を確認し、漏れがあれば担当医に連絡する体制が最も効果的だったと報告されています。
| 算定漏れの原因 | 件数(100例中) | 対策 |
|---|---|---|
| コスト入力漏れ(条件は満たす) | 3件 | 手術チェックリストへの入力欄追加・電子カルテ伝言板の活用 |
| 検査漏れ | 2件 | レセプト担当職員による適時点検・担当医への連絡 |
| 処方漏れ | 1件 | 同上 |
| 年齢要件未達(50歳未満) | 2件 | 対象患者リストの事前確認 |
管理料1と2をしっかり算定できる体制を整えることで、後続の管理料3の外来算定にもスムーズにつながります。管理料3の算定には別途届出が必要な点も見落とさないようにしましょう。
参考:算定できなかった原因と対策を実例から解説した医学論文
二次性骨折予防継続管理料が算定できなかった原因と対策(島根県中病医誌)
施設基準を満たさなければ、どれだけ治療を行っても算定はできません。厳しいところですね。三区分それぞれで必要な基準が設定されているため、自施設がどの区分を算定できるのかを明確に確認しておくことが重要です。
【人員配置】の基本要件として、3職種の専任・常勤配置が必要です。
なお、「専任」と「専従」は似て非なる言葉です。専任は他業務との兼務が可能ですが、専従は当該業務に原則8割以上の時間を充てることが求められ、兼務不可です。たとえば、管理料2の施設基準で求められる「専任の常勤医師」は、回復期リハビリテーション病棟入院料の体制強化加算1における「専従の常勤医師」と兼任することは認められません。専任・専従の区別が条件です。
【研修会の実施】についても要件があります。「骨粗鬆症に対する知識の共有とFLSの意義について」をテーマとした院内職員向け研修会を、年1回以上開催することが義務づけられています。
ただし新規届出を行う医療機関については、届出日から起算して1年以内に研修会の開催が予定されていれば、届出時点での実施は不要です。開催予定日がわかる書類を添付することで届出が認められます。これは使えそうです。
【入院料の種別】も算定区分ごとに異なります。
なお、2024年度の診療報酬改定では、管理料1を算定できる対象に「有床診療所入院基本料」と「地域包括医療病棟入院料」が新たに追加されました。これは意外ですね。これにより、これまで管理料1を算定できなかった有床診療所でも、要件を満たせば算定が可能になっています。
参考:2024年度診療報酬改定対応のFLS施設基準・算定要件詳細資料
二次性骨折予防継続管理料1 改定ポイント(アステラス 医業経営情報)
FLS関連の加算は構造が複雑なため、「こういう場合は算定できない」というケースを把握しておくことが非常に重要です。知らないと損します。代表的な注意点を整理します。
❌ 管理料2が算定できないケース
管理料1を算定した患者が以下に該当する場合、管理料2は算定できません。
つまり、急性期病棟と回復期病棟が同一の病院内にある場合、急性期で管理料1を算定した患者が回復期病棟へ転棟しても管理料2は算定できない、ということです。これは多くの医療従事者が見落としやすい点です。同一病院内の転棟はダメが原則です。
❌ 管理料3が算定できないケース
退院後に以下の外来を受診した場合、管理料1または2を算定した同一月には管理料3は算定できません。
また、患者が急性期病院から介護老人保健施設へ移った場合、介護老人保健施設では管理料3を算定できません。一方、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・介護老人福祉施設(特養)からの外来受診であれば算定可能です。行き先によって算定可否が変わる点に注意が必要です。
❌ 管理料3を算定するには別途届出が必要
管理料1または2の届出を行っている医療機関が管理料3を算定しようとする場合、改めて別の届出を行わなければなりません。「すでに届出済みだから管理料3も算定できる」と誤解しているケースが散見されます。別途届出が必須です。
| 算定不可のシチュエーション | 対象管理料 |
|---|---|
| 同一病院内での転棟(急性期→回復期) | 管理料2 ❌ |
| 特別関係にあるグループ病院へ転院 | 管理料2 ❌ |
| 退院後に同一病院の外来受診(同月) | 管理料3 ❌(同月) |
| 介護老人保健施設(老健)への移行後 | 管理料3 ❌ |
| 管理料1・2届出済みで管理料3を算定 | 管理料3 ❌(別途届出が必要) |
参考:算定できないケースの詳細や疑義解釈を網羅した点数表解説ページ
B001 34 二次性骨折予防継続管理料(ClinicalSup 点数表)
FLS関連のもう一つの柱が、大腿骨近位部骨折に対する早期手術を評価する「緊急整復固定加算(4,000点)」と「緊急挿入加算(4,000点)」です。どちらも非常に高い点数ですが、算定のハードルも相応に高く設定されています。
算定要件の核心は「骨折後48時間以内の手術」です。75歳以上の大腿骨近位部骨折患者に対して、適切な周術期管理を行い、骨折後48時間以内に整復固定または人工骨頭挿入術を実施した場合に限り算定できます。ちなみに、48時間とは約2日間です。骨折確認から入院・評価・手術準備・執刀まで、チーム一丸で迅速に動く必要があります。
施設基準も厳しいです。主な要件は以下の通りです。
年間60件という基準は、地方の小規模な整形外科病院には高いハードルとなります。仮にこの基準をクリアし、48時間以内手術を年間60件実施した場合、緊急整復固定加算または緊急挿入加算だけで4,000点×60件=240,000点(約240万円相当)の算定が見込めます。高いハードルに見合うリターンがあるということですね。
また、「関係学会との連携」とは何を指すのかという点で疑義が生じることがあります。現時点での答えは、「日本脆弱性骨折ネットワーク(FFN)のレジストリへの症例登録」です。FFNのホームページ(https://ffn.or.jp/)から登録手続きを確認することができます。
レジストリ登録が条件です。症例登録は医療の質向上のためのデータ収集でもあり、骨折予防の研究にも活用されています。
参考:緊急整復固定加算・緊急挿入加算の算定要件・施設基準の詳細解説
脆弱性骨折を救う!骨折リエゾンサービス(FLS)(マジックシールズ コラム)
FLSの目的は「骨折の連鎖を断ち切ること」ですが、最大の課題は外来への引き継ぎ後の治療継続率の低さです。2020年の受療行動調査(厚生労働省)によると、外来患者の67%が診察時間10分未満と回答しており、医師だけで骨粗鬆症の管理・説明・フォローを行うことには現実的な限界があります。
こうした課題に対して、FLSが特に有効なのが「医師以外の職種によるフォローアップ」の仕組みです。具体的には次のような役割分担が効果的とされています。
実際に現場でよく起きる問題の一つが、「急性期病棟でFLSが機能していても、外来フォローで患者が来なくなる」というものです。管理料3は最大1年間・月1回算定できますが、患者が通院を中断してしまうとその点数は生かせません。管理料3の継続算定が収益面でも重要なのに、これは痛いですね。
通院継続率を高めるための工夫として有効なのは、退院前から外来予約を確定させること、患者本人だけでなく家族に骨粗鬆症治療の必要性を説明すること、そして次回外来前に電話・郵便などでリマインドをかけることです。
独自の視点として注目したいのが、「橈骨遠位端骨折」や「上腕骨近位部骨折」の患者もFLS介入の対象として積極的に見ていくアプローチです。大腿骨近位部骨折はFLS加算の算定対象となる骨折ですが、骨粗鬆症の早期発見という観点では、50代以降に起こる橈骨遠位端骨折や60代以降の上腕骨骨折の時点でFLSが介入できれば、大腿骨骨折そのものを予防できる可能性があります。骨折の連鎖には順序があることが基本です。
参考:多職種によるFLS活動の実態と医師だけでは難しい骨粗鬆症管理の現状
骨折リエゾンサービスって何それ美味しいの?(Medicco Lab)

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