アルタット(ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩)とガスター(ファモチジン)は、いずれもヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)に分類されますが、その化学構造には明確な違いがあります。アルタットは6員環(ベンゼン環)を基本骨格とし、側鎖に単純なアミド結合[-NHCO-]を有する独自の構造を持っています。従来のH2ブロッカーとは異なり、シメチジンのグアニジノ基やラニチジンのエテンジアミノ基に示される2個以上のN-H基を必要とせず、生体内に多く存在する安定なアミド結合によってH2受容体への高い親和性を実現しています。一方、ガスターのファモチジンは、胃粘膜壁細胞のH2受容体を選択的に遮断する構造を持ち、健康成人において20mgの服用で胃酸分泌を71.6%から99.6%抑制し、その効果は12時間以上持続することが報告されています。
両薬剤とも胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を競合的に阻害することで胃酸分泌を抑制しますが、その作用パターンには若干の違いがあります。アルタットは適度な血中濃度を維持し、持続的な作用を発揮する徐放性製剤として開発されており、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の疼痛をはじめとする自覚症状を速やかに消失させる特徴があります。ガスターは夜間の胃酸分泌を抑制する力が強く、H2ブロッカーの登場により消化性潰瘍の死亡率が劇的に改善されました。しかし、H2ブロッカー全般において長期投与により薬の効きが悪くなる耐性(タキフィラキシー)が生じやすいという課題が報告されています。
参考)https://www.gifu-upharm.jp/di/mdoc/iform/2g/i1058172411.pdf
H2ブロッカーの胃酸抑制力は、現在主流となっているPPI(プロトンポンプ阻害薬)やP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)と比較すると弱い傾向にあります。ガスター10mgを1日2回投与は医療機関での標準的な処方ですが、専門医の間ではより強力な胃酸抑制効果を持つネキシウムやタケキャブが第一選択とされることが多くなっています。
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アルタットの効能・効果は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、麻酔前投薬に加え、急性胃炎や慢性胃炎の急性増悪期における胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善が承認されています。通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前または夕食後)、または1回150mgを1日1回就寝前に投与します。ガスターは胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群などの治療に用いられ、急性胃炎や慢性胃炎が悪化した際の胃粘膜症状を改善する効果も期待できます。
H2ブロッカーは胃酸の分泌を強力に抑え、胃炎や潰瘍の治癒を促進し、痛みを和らげる作用があります。
鎮痛薬など他の薬による胃の荒れを防ぐ目的でも使用されます。適応疾患の範囲は成分ごとに異なり、同じ成分でも内服薬と注射薬で適応が違う点には注意が必要です。
参考)https://midori-hp.or.jp/pharmacy-blog/web20220819
アルタットの副作用発現率は3.44%(4,533例中156例)で、主なものはAST(GOT)・ALT(GPT)上昇、白血球減少、好酸球増多などです。重大な副作用として、ショック、再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、肝機能障害、黄疸、横紋筋融解症が報告されています。ガスターの主な副作用は便秘などで、重い副作用としてショック、汎血球減少などの血液成分の減少、肝機能障害などがあります。
参考)https://www.ps.toyaku.ac.jp/~kosugi/zemi2011/iform/Roxatidine_Acetate_Hydrochloride.pdf
H2ブロッカーの特徴的な副作用として、特に高齢者や腎機能低下患者においてせん妄が問題となります。H2ブロッカーは基本的に腎排泄型のものが多いため、腎機能が低下した患者では薬の血中濃度が上昇し、せん妄リスクが高まります。ガスターでは腎機能に応じて投与量を調整する必要があり、クレアチニンクリアランス値に基づいた用量調整が推奨されています。
参考)胃の痛み/ムカムカの薬一覧
医療現場における両薬剤の使い分けは、投与回数や患者の生活スタイル、腎機能の状態などを考慮して行われます。アルタットは徐放性製剤として1日1回投与が可能な場合があり、服薬アドヒアランスの向上に寄与します。ガスターは1日2回投与が標準ですが、効果の持続時間が比較的長く、夜間の胃酸分泌抑制に優れています。
参考)くすりのしおり : 患者向け情報
PPI登場前はH2ブロッカーが第一選択薬でしたが、現在は第二選択という位置づけになっています。H2ブロッカーの主なメリットは即効性であり、PPIが効き始めるまでの3日間を待つ余裕がない場合にH2ブロッカーが選択されます。
ガスター10として市販されている製剤は、過剰に分泌した胃酸をコントロールして胃痛、もたれ、胸やけ、むかつきに優れた効果を発揮し、約8時間効果が持続します。
参考)胃痛・胃酸逆流などによる胸やけに H2ブロッカー胃腸薬 ガス…
PPIとH2ブロッカーの併用投与は、原則として認められておらず、両者の作用機序を理解した上で適切な薬剤選択を行うことが重要です。
参考)https://midori-hp.or.jp/pharmacy-blog/web20230719
医療従事者として押さえておくべき処方上の重要なポイントとして、腎機能に応じた用量調整があります。ラフチジン以外のH2ブロッカーは腎排泄型であり、腎機能低下患者では血中濃度上昇によるせん妄などの副作用リスクが高まるため、クレアチニンクリアランス値に基づく投与量調整が必須です。
参考)https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/6312
相互作用についても注意が必要で、他の医薬品と同時に服用すると薬物相互作用により副作用を起こしたり、期待される効果が得られない可能性があります。特に複数の薬剤を服用している高齢者では、ポリファーマシーの観点から慎重な薬剤選択と定期的な見直しが求められます。
アルタットとガスターは共にH2ブロッカーとして胃酸分泌抑制作用を持ちますが、化学構造、投与回数、徐放性の有無などに違いがあり、患者の病態や生活背景に応じた使い分けが重要です。現在の消化器診療ではPPIやP-CABが主流となっていますが、即効性を求める場面や軽症例、PPI減量時の橋渡しなど、H2ブロッカーが有用な場面は今なお存在します。
参考)胃薬は飲み続けても大丈夫?PPI・H2ブロッカー長期使用のリ…
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