チロシン効果と脳機能改善への作用機序

チロシン効果とその作用機序

チロシンの基本的な性質と生理作用

 

 

 

チロシンは芳香族アミノ酸に属する非必須アミノ酸の一種で、必須アミノ酸であるフェニルアラニンから体内で合成されます。チロシンは神経伝達物質、甲状腺ホルモン、メラニン色素の材料となる重要な栄養素です。
参考）https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/20771
​
生体内では、チロシンがヒドロキシル化（酸化）されることで、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのカテコールアミンが生成されます。脳内ドーパミン作動性神経の細胞内で、チロシンを原料として酵素による2段階の反応を経てドーパミンが合成され、分泌小胞に蓄積されます。

 

参考）「幸せホルモン（幸福物質）4つ」ドーパミン・セロトニン・オキ…
​
チロシンから合成されるこれらの神経伝達物質は、集中力の向上や意欲を向上させる効果があるとされています。また、甲状腺ではチロシンから甲状腺ホルモンが合成され、チロシナーゼによる酸化反応によって最終的にメラニンが生成されます。

 

参考）チロシンが含まれている5つの食品！効果・摂取量・過不足につい…
​

チロシン効果による集中力と認知機能への影響

チロシンは脳を興奮状態にしてやる気を起こさせるドーパミンや、脳を緊張状態にし集中力を高めるノルアドレナリンの材料となるため、認知機能の向上に寄与します。厚生労働省の報告では、チロシンを摂取することで睡眠不足の状態でも集中力や認知機能が改善されることが示されています。

 

参考）チロシン
​
睡眠不足患者において、覚醒後約3時間後の精神運動検査で能力の持続時間がチロシン150mg/kg摂取により延長したことが確認されています。ナルコレプシー（睡眠障害）に対しても、チロシンの経口摂取で軽度の覚醒効果の傾向が認められました。​
地域在住中高年者の研究では、チロシンおよびその前駆体であるフェニルアラニンが産生するノルアドレナリンが記憶の形成を促進するため、チロシンの経口摂取は記憶能力を改善する可能性が報告されています。脳内のノルアドレナリンは血漿中のチロシンを原料として合成されるため、神経伝達物質の生成が活発になることで脳の働きが活性化し、疲労の緩和にもつながります。

 

参考）Metabolite of the Week｜チロシン
​

チロシン効果とストレス耐性・うつ症状改善

チロシンはドーパミンやノルアドレナリンの前駆物質となるため、うつ状態の治療に効果があります。ドーパミンやノルアドレナリンが脳内で不足すると、無気力や無関心を引き起こし、うつ病となります。うつ状態のときに脳内のチロシン濃度が低下していることも明らかとなっており、チロシンにはうつ症状を改善する効果があります。​
ストレスを感じると、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌量が増加します。チロシンを摂取することにより、これらの神経伝達物質が合成されるため、ストレスを軽減する効果が期待できます。​
チロシンサプリメントによる補充は、長期に渡る肉体的または精神的なストレス下において、精神集中、明晰さ、スタミナを増強させ、ストレスによる血圧上昇を抑えることが報告されています。チロシン補充は、脳のドーパミンおよびノルアドレナリンを増やすことで、これらの欠乏症状を改善します。

 

参考）オーソモレキュラー医学会
​

チロシン効果における甲状腺ホルモンとメラニン合成

チロシンは甲状腺ホルモンのチロキシンや神経伝達物質のアドレナリン、皮膚のメラニンなどの合成原料になっています。甲状腺ホルモンの合成では、サイログロブリンというタンパク質が母体となり、甲状腺ペルオキシダーゼと過酸化水素の働きにより、サイログロブリン分子内のチロシン残基にヨウ素が結合します。

 

参考）甲状腺の解剖生理とその機能
​
ヨウ素が1個結合したものがモノヨードチロシン（MIT）、2個結合したものがジヨードチロシン（DIT）となり、この過程をヨウ素の有機化と呼びます。甲状腺ホルモン（T3、T4）は代謝を調整する働きがあり、チロシンはその原料として不可欠です。​
チロシンから合成されるメラニンは、髪や皮膚の色素を形成する働きがあります。そのため、栄養不足が原因の白髪を改善する効果があるとされています。チロシンがチロシナーゼにより酸化すると最終的にはメラニンが生成され、肌や髪の色を守る成分として機能します。

 

参考）【チロシンについて】／鎌倉のパーソナルジムが解説いたします！…
​

チロシン摂取における適切な用量と注意点

チロシンサプリメントは必ず空腹時に服用する必要があります。起床時に1500～2000mgを服用し、服用後30分間は食事を摂らないようにします。午後の中頃に追加服用（1000～1500mg）しても良いですが、食後2時間経過していることが必要です。​
効果を実感するには毎日一定期間の摂取が必要で、体内で神経伝達物質が合成されるまで時間がかかるため、1～2週間は継続することが推奨されます。1日あたり500mg～2000mg程度が目安とされており、1日に体重1kgあたり150mgを3か月間摂取しても安全とされています。

 

参考）チロシンサプリメントおすすめ人気ランキング｜効果と安い商品を…
​
過剰摂取は頭痛や消化不良を引き起こす場合があるため、1日2000mgを上限とすることが推奨されます。サプリメントなどでチロシンを過剰摂取した場合は吐き気、頭痛、疲労、胸焼け、関節痛などが報告されています。
摂取量が過剰になると肝臓に負担をかけるなど副作用が生じる可能性があるため、適切な摂取量を守ることが重要です。

 

参考）チロシンの効果と副作用 成分の詳細や不足した際の問題点を解説…
​
甲状腺ホルモン補充療法中には甲状腺機能の検査を定期的に行う必要があり、メラノーマの既往がある患者には使用しないことが推奨されています。過剰摂取が長期化すると循環器系の負担が増加する可能性もあります。

 

参考）寿楽鍼灸整骨院 甲状腺機能低下症とチロシン（L-チロシン）
​

チロシンを豊富に含む食品と食事からの摂取

チロシンは大豆に多く含まれる栄養素で、大豆を原料とする凍り豆腐や湯葉、きな粉にも豊富に含まれます。具体的な含有量として、乾燥大豆（日本産、全粒）100gあたり520mg、高野豆腐100gあたり418mg、湯葉（干し）100gあたり88mg、きな粉（脱皮大豆）100gあたり130mgが含まれています。

 

参考）チロシンの含有量（豆類）
​
豆類以外では、油揚げ100gあたり560mg、納豆（糸引き納豆）100gあたり340mgが含まれています。大豆の必須アミノ酸は非常にバランスよく含まれており、100gあたりチロシンは1300mg含有されています。これに対して豚肉（ヒレ）は780mg、卵は550mg、ほうれん草は77mgです。

 

参考）必須アミノ酸が豊富な大豆はあなたの健康を支えます！ - 日本…
​
その他の食品では、かつお（削り節）、脱脂粉乳、しらす干しなどにもチロシンが含まれています。きな粉はヨーグルトや牛乳と混ぜて食べると効率よく摂取できます。日常の食事だけでは必要量を十分に摂取できないケースがあるため、仕事や勉強、スポーツで集中力が求められる方はサプリメントでの補給が推奨されます。

 

参考）チロシンの含有量（食品）
​
チロシンが含まれている食品と効果・摂取量について詳しく解説されています
チロシンの効果や研究情報について医学的根拠に基づいた情報が掲載されています
慢性疲労のための食事療法とサプリメントの使い方について医療専門家向けの詳細な情報があります

L-Tyrosine ナウフーズ L-チロシン 500mg 120カプセル 2本 [並行輸入品]