75歳以上の高齢者でも130/80未満への厳格コントロールで脳卒中リスクが約30%低下します。
日本高血圧学会が2025年8月に発表した「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、6年ぶりの改訂として最も大きな変更が降圧目標の統一です。従来のJSH2019では75歳未満が130/80mmHg未満、75歳以上が140/90mmHg未満と年齢によって異なる目標値が設定されていました。 dietitian.or(https://www.dietitian.or.jp/trends/2025/447.html)
今回の改訂により、年齢や合併疾患の有無を問わず、すべての成人高血圧患者において診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満が原則的な降圧目標となりました。つまり統一されたということですね。 jpnsh(https://www.jpnsh.jp/10_facts.html)
この変更の背景には、JSH2025作成のために実施されたシステマティック・レビューおよびメタ解析の結果があります。成人、脳卒中既往者、糖尿病患者、慢性腎臓病(CKD)患者、75歳以上の高齢者など幅広い集団において、130/80mmHg未満を目指す利益が不利益(ふらつき、腎機能への影響など)を上回ると判断されました。 carenet(https://www.carenet.com/news/general/carenet/61350)
特に75歳以上の高齢者では、降圧目標値が10mmHg引き下げられたことになります。最新の大規模研究では、より厳格な血圧管理が脳卒中や心筋梗塞のリスクを明確に下げることが示されています。 tsuneda-clinic(https://tsuneda-clinic.com/blog/targetbloodpressure/)
ただし、この目標値はあくまで原則です。個々の病状、生活状況、人生における価値観を考慮して、患者ごとに目標を設定する柔軟性も認められています。 wellbeingnaika(https://wellbeingnaika.com/target_bp/)
日本高血圧学会の公式サイトでは、降圧目標の根拠となる「高血圧の10のファクト」が詳しく解説されています。
JSH2025では、降圧目標達成に向けた治療戦略も簡素化・明確化されました。治療の基本は、減塩を中心とした食事療法、運動、体重管理などの生活習慣改善です。 tanno-naika(https://tanno-naika.jp/blog/post-1296/)
血圧レベルや脳心血管病発症の危険因子に応じて、患者は複数のグループに分けられます。高リスク患者(診察室血圧140/90mmHg以上、または130〜139/80〜89mmHgで高リスク因子あり)では、生活習慣改善と同時に降圧薬治療を開始することが推奨されています。 med.or(https://www.med.or.jp/dl-med/jma/nichii/zaitaku/2024kakari/2024kakari_06.pdf)
治療開始時から2剤併用療法が基本となるケースも増えています。これにより早期に目標血圧へ到達し、心血管イベントを予防する効果が期待されます。早期介入が鍵ということです。 takashio-hc(https://takashio-hc.com/blog/1716)
生活習慣改善については、未治療で診察室血圧130〜139/80〜89mmHgの場合、低・中等リスク患者ではまず生活習慣の修正を開始または強化し、高リスク患者ではおおむね1カ月以上の観察を経て降圧薬導入を検討します。 med.or(https://www.med.or.jp/dl-med/jma/nichii/zaitaku/2024kakari/2024kakari_06.pdf)
JSH2025における降圧薬選択の重要な変更として、β遮断薬が主要降圧薬として復活したことが挙げられます。従来はARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、ACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬が中心でしたが、新たにβ遮断薬が加わりました。 tanno-naika(https://tanno-naika.jp/blog/post-1296/)
カルシウム拮抗薬とARBは、現在でも最も多く処方される降圧薬です。ARBは降圧効果に加えて臓器保護作用を期待できるため、心疾患や腎疾患がある場合の第一選択薬となることが多くなっています。 doctor-vision(https://www.doctor-vision.com/dv-plus/column/knowledge/antihypertensive-01.php)
配合剤の使用も推進されており、ARBとカルシウム拮抗薬の併用は、ARB+利尿薬と比較して高尿酸血症の副作用出現率が低いことが示されています。比較的安全に使用できる組み合わせです。 motoyawata(https://motoyawata.clinic/blog/antihypertensive-compounding/)
最近の研究では、血圧が良好にコントロールされている高齢高血圧患者において、ARBおよびカルシウム拮抗薬の長期使用が、サイアザイド系利尿薬やβ遮断薬と比較して心血管イベントに対してより大きなベネフィットをもたらす可能性が示唆されています。ただし、臓器障害や糖尿病、CKDなどの合併症に応じて薬剤選択を最適化することが求められます。 carenet(https://www.carenet.com/news/general/carenet/61157)
降圧薬の種類と使い分けについての医師向け解説では、各薬剤の特徴と副作用が詳細に紹介されています。
JSH2025では原則として全年齢で130/80mmHg未満を目標としていますが、高齢者、特に要介護高齢者に対しては個別化アプローチが必要とされています。75歳以上の高齢者では、健康・機能状態に応じたカテゴリー分類に基づいた対応が推奨されます。 jpn-geriat-soc.or(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/ahtn_proporsal.pdf?20251125)
要介護高齢者(JSH2025カテゴリー3〜4)の降圧療法では、基本的な降圧目標として収縮期150mmHg未満を目安とし、120mmHg未満への降圧は避けることが推奨されています。過度な降圧による転倒、意識障害、腎機能悪化などのリスクを考慮した対応です。 jpn-geriat-soc.or(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/ahtn_proporsal.pdf?20251125)
外来通院に介助が必要な方では収縮期血圧140mmHg未満、外来受診が困難となった方では収縮期血圧150mmHg未満を基本的な降圧目標とすることが示されています。患者のQOLと臓器保護のバランスが重要ということです。 nakashima-naika(https://nakashima-naika.com/blog/101208)
高齢者やフレイル患者では、降圧に伴うふらつき、転倒リスク、腎機能への影響などの不利益と、脳心血管病予防という利益を天秤にかけながら、個別に目標を調整する柔軟性が認められています。 wellbeingnaika(https://wellbeingnaika.com/target_bp/)
JSH2025では、家庭血圧の重要性がさらに強調されています。診察室血圧だけでなく、家庭血圧125/75mmHg未満という明確な目標値が設定されたことで、患者自身が治療目標を理解しやすくなりました。 soujinkai.or(https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/hypertension-criteria/)
家庭血圧は診察室血圧よりも5mmHg低い値が目標とされています。これは白衣高血圧の影響を排除し、より正確な血圧管理を可能にするためです。家庭血圧での高血圧診断基準は135/85mmHg以上となっており、この基準自体は据え置かれています。 kida-clinic(https://kida-clinic.jp/blog/%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B32025%EF%BC%88jsh2025%EF%BC%89%E3%81%A7%E4%BD%95%E3%81%8C%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%9F%E7%9B%AE%E6%A8%99)
家庭血圧測定により、診察室では把握できない早朝高血圧や夜間高血圧などのパターンを検出できます。これらは脳卒中や心筋梗塞のリスクと密接に関連しているため、早期発見・早期介入が可能になります。毎日の記録が大切です。
患者が自宅で測定した血圧データは、治療効果の評価や降圧薬の調整にも活用されます。スマートフォンアプリなどのデジタルツールを活用した血圧管理も推奨されており、治療アプリの活用がガイドラインにも明記されています。 carenet(https://www.carenet.com/news/general/carenet/61350)
家庭血圧計の正しい使用方法としては、朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、降圧薬服用前に測定し、夜は就寝前に測定することが推奨されています。座位で1〜2分安静後、2回測定してその平均値を記録します。
JSH2025の改訂は、非専門医を含む現場の医師が積極的に治療に介入しやすくするための「実践的ガイドライン」への進化を目指しています。降圧目標が明確に統一されたことで、患者への説明がシンプルになり、治療方針の共有が容易になりました。 note(https://note.com/quirky_tucan9136/n/nb3108be25917)
心血管リスク評価も精緻化され、血圧だけでなく年齢・性別・糖尿病・腎機能・喫煙歴などを加味した層別心血管リスク評価が推奨されています。リスクの高い患者には、より積極的な治療開始が提案されることで、安全かつ最適な対応が可能になります。これが個別化医療です。 sera-clinic(https://sera-clinic.com/%E9%AB%98%E8%A1%80%E5%9C%A7%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B32025%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE/)
治療ステップの簡素化により、降圧薬の選択や増量のタイミングが明確化されました。十分な降圧が得られない場合は早期に薬物治療を開始し、段階的に強化していくアプローチが基本となります。 note(https://note.com/quirky_tucan9136/n/nb3108be25917)
ただし、ガイドラインで示されている降圧目標はあくまで目標であり、個々の病状、生活状況、人生における価値観を考慮して目標を設定することが重要です。患者との対話を通じて、納得できる治療目標を共有することが、長期的な治療継続とアドヒアランス向上につながります。 wellbeingnaika(https://wellbeingnaika.com/target_bp/)
全年齢で130/80mmHg未満を目標に、高血圧管理・治療ガイドライン2025では、改訂の詳細が専門家の視点から解説されています。
| 診察室血圧 | 家庭血圧 | 診断 | 治療 |
| ------------ | ------------ | ------ | ---- |
| 140/90mmHg以上 | 135/85mmHg以上 | 持続性高血圧 | 必要 |
| 140/90mmHg以上 | 135/85mmHg未満 | 白衣高血圧 | 定期観察 |
| 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg以上 | 仮面高血圧 | 必要 |
| 140/90mmHg未満 | 135/85mmHg未満 | 非高血圧 | 不要 |