セレスタミン配合錠の副作用は、含有される抗ヒスタミン薬(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)とステロイド(ベタメタゾン)の両方の作用に起因します。
頻度の高い副作用
中等度の副作用
抗ヒスタミン薬による眠気は、この薬剤の最も特徴的な副作用です。特に高齢者では転倒リスクが増加するため注意が必要です。一方で、この眠気を逆手に取り、夜間の皮膚掻痒感がある患者に夜間服用として処方される場合もあります。
セレスタミンに含まれるベタメタゾンは、1日2錠服用でプレドニゾロン5mg相当のステロイド量となります。長期投与(通常2週間以上の継続投与)により、以下の重篤な副作用が発現する可能性があります。
内分泌系副作用
骨・筋肉系副作用
外見的変化
研究によると、ステロイドの長期使用により骨形成マーカーであるオステオカルシンが低下し、骨密度が減少することが確認されています。
ステロイド成分による免疫抑制作用は、セレスタミンの重要な副作用の一つです。この影響により以下のリスクが増大します。
感染症リスクの増加
特にB型肝炎ウイルスキャリア患者では、ステロイド投与によりウイルス増殖が促進され、劇症肝炎を発症するリスクがあります。投与前のHBs抗原、HBc抗体検査は必須です。
ワクチン効果の減弱
生ワクチン接種は禁忌となり、不活化ワクチンでも抗体産生が不十分となる可能性があります。
創傷治癒遅延
手術創の治癒が遅延し、感染リスクが増加します。外科手術前後の使用には特に注意が必要です。
ステロイド成分は眼圧上昇を引き起こし、長期使用により以下の眼科的合併症が発現する可能性があります。
緑内障
白内障
定期的な眼科検診(眼圧測定、眼底検査)が推奨されます。特に高齢者や糖尿病患者では注意深い観察が必要です。
セレスタミンの長期投与後の急激な中止は、急性副腎不全を引き起こす危険性があります。これは医療従事者として特に注意すべき重要な副作用です。
二次性副腎不全の病態
外部からのステロイド供給により、視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)が抑制され、内因性コルチゾール産生が低下します。急激な中止により相対的副腎不全状態となります。
副腎不全の症状
適切な減量方法
実際の症例報告では、セレスタミン長期内服後の休薬により重症自己免疫性肝炎が顕在化した例も報告されており、慎重な管理が求められます。
患者への指導では、自己判断での中止は絶対に避け、必ず医師の指示に従って段階的に減量することを徹底する必要があります。また、ストレス時には一時的な増量が必要となる場合があることも説明しておくべきです。
医療従事者としては、セレスタミンの処方時には3-4日程度の短期間に留め、やむを得ず長期投与が必要な場合は定期的な副腎機能検査と適切な減量計画の立案が重要です。