γ-GTP上昇は投与患者の約16%に起こるので、あなたが肝機能の定期チェックを怠ると見逃すリスクがあります。
ラブコナゾール(Ravuconazole)の製品名はネイリンカプセル100mg(佐藤製薬)です。 正確には、市販されている有効成分は「ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物」というプロドラッグであり、体内で活性本体であるラブコナゾールに変換されます。kegg+3
製品名の「ネイリン」は「爪(ネイル)」に由来し、適応症が爪白癬に特化していることを端的に示しています。 2018年1月に承認を取得し、同年7月に発売されました。 現在、日本国内のみで承認されている薬剤です。sugamo-sengoku-hifu+1
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名(販売名) | ネイリンカプセル100mg |
| 一般名 | ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物 |
| 活性代謝物 | ラブコナゾール |
| 薬効分類 | 経口抗真菌剤(第4世代アゾール系) |
| 製造・販売会社 | 佐藤製薬 |
| 承認年 | 2018年1月 |
「製品名=ネイリン、一般名=ホスラブコナゾール」が基本です。
処方箋や電子カルテには一般名処方と販売名処方の両方が使われますが、薬局への疑義照会を減らすためにも、一般名と販売名の対応関係を正確に把握しておくことが重要です。
ラブコナゾール自体は水溶性が低いため、そのまま経口投与しても吸収が不安定でした。 そこで、水溶性の高いプロドラッグ「ホスラブコナゾール」として製剤化することで、経口投与後の生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)は約100%に達しました。jstage.jst.go+2
これは意外な数字ですね。
その結果、血漿中ラブコナゾール濃度は、既存の経口爪白癬治療薬(テルビナフィン、イトラコナゾールなど)と比べて10〜35倍という高い水準を実現しています。 この高い血中濃度が、難治性の爪白癬に対する高い有効性につながっています。
ラブコナゾールはトリコフィトン属などの皮膚糸状菌の細胞膜成分(エルゴステロール)の生合成を阻害することで抗真菌作用を発揮します。 既存薬と作用点は同じアゾール系ですが、第4世代として薬物相互作用や肝機能障害の懸念が既存薬より少ないことが特徴とされています。 つまり、プロドラッグ設計と第4世代の薬理特性が組み合わさった製剤です。sugamo-sengoku-hifu+1
用法用量は「通常、成人に1日1回1カプセル(ラブコナゾールとして100mg)を12週間経口投与」です。 パルス療法を行うイトラコナゾールとは異なり、12週間の連続投与です。これが原則です。clinicalsup+1
国内第3相試験では、投与開始48週後の完全治癒率(爪甲混濁部の消失かつ直接鏡検での皮膚糸状菌陰性)はホスラブコナゾール群59.4%(60/101例)、プラセボ群5.8%(3/52例)でした。 約6割の患者が48週後に完全治癒に達するというデータです。webview.isho+1
48週とは12週投与+36週の経過観察を合算した期間です。爪が完全に生え変わるまでに時間がかかるため、服薬を終えた後も半年以上経過を観察する必要があります。 患者さんへの服薬アドヒアランス指導の際、「薬を飲み終わっても経過観察が続く」と事前に伝えておくと、受診中断を防ぎやすくなります。
参考)https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=6290007M1022
副作用として最も頻度が高いのはγ-GTP増加(15.8%、16/101例)です。 続いてALT増加8.9%、AST増加7.9%と、肝機能に関連する副作用が上位を占めます。
参考)ネイリンカプセル100mgの効能・副作用|ケアネット医療用医…
これは厳しいところですね。
γ-GTP増加が約16%という数字を「サッカーチームのレギュラー11人中2人弱が異常値になる」イメージで捉えると、決して稀ではないことがわかります。 投与前の肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP・Al-P)に加え、投与中の定期的なモニタリングが添付文書でも求められています。
参考)https://medinfo-sato.com/products/nailin/rmp/nailin_rmp_material.pdf
肝障害または既往歴のある患者では、事前確認と十分な観察が必須です。 異常値が確認された場合は投与中止を検討し、患者に「だるさ・食欲不振・黄疸」などの自覚症状があればすぐに報告するよう指導しておくと、重篤化を防ぎやすくなります。
妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌です。 動物実験で臨床曝露量を下回る曝露量においても生殖発生毒性が認められているためです。 可能性のある女性への処方時は、必ず妊娠の有無を確認してから処方するのが条件です。
ラブコナゾールはCYP3Aを阻害します。 これにより、CYP3Aで主に代謝される薬剤の血中濃度が上昇するリスクがあります。
代表的な併用注意薬は以下の通りです。kegg+1
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs/2018/P20180117001/300089000_23000AMX00012000_B100_1.pdf
ワルファリンとの併用によるINR著明上昇は症例として報告されており、見逃すと出血リスクに直結する重大な相互作用です。 患者が持参薬としてスタチン系薬剤や抗凝固薬を服用していないか、処方時に必ず持参薬確認を行う行動が一点の対策になります。
爪白癬は高齢者に多く、多剤服用(ポリファーマシー)の患者層と重なります。 高齢患者では特に、内服薬一覧を薬局と連携して確認してから処方することが、相互作用によるインシデントを防ぐ実践的な対応です。
参考)https://medimarkeplus.jp/scoop/2019/06/11/1081/
ネイリン(ホスラブコナゾール)は現在、日本国内のみで承認されている爪白癬治療薬です。 ラブコナゾールはもともとブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)が創製し、その後エーザイが関与して開発が進められ、国内ではエーザイが創製・佐藤製薬が販売する形で承認を取得しました。eisai+1
なぜ日本だけなのか、気になるところですね。
海外では別の爪白癬治療薬(エフィナコナゾール外用液など)が主流となっており、ホスラブコナゾールの開発が優先されなかった経緯があります。逆に言えば、日本の医療従事者にとっては、世界でここだけで使える薬剤であり、それだけ日本の爪白癬診療が国際的に先進的な選択肢を持っているとも言えます。
また、ラブコナゾールはカンジダ属やアスペルギルス属など多様な病原真菌に対しても試験管内での高い活性が報告されていますが、現在の国内承認適応は爪白癬(トリコフィトン属による)のみです。 適応外使用を避けるためにも、「皮膚糸状菌(トリコフィトン属)」という適応菌種の限定を正確に把握しておくことが求められます。jstage.jst.go+1
参考:佐藤製薬によるネイリンカプセル100mgの医療関係者向けRMP資材(副作用と対策)
ネイリン®カプセル100mg の注意を要する副作用とその対策(佐藤製薬)
参考:J-STAGEによるホスラブコナゾールの非臨床・臨床試験データの詳細(薬物動態・治癒率・安全性)
参考:PMDAによるネイリンカプセルの医薬品リスク管理計画書(安全性・副作用管理の公式資料)
ネイリンカプセル100mgに係る医薬品リスク管理計画書(PMDA)
以下が記事です。

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