OTC医薬品の種類と一覧完全ガイド

OTC医薬品の分類から具体的な商品まで網羅的に解説。要指導医薬品と一般用医薬品の違いを理解できていますか?

OTC医薬品種類と分類

OTC医薬品の基本分類
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要指導医薬品

薬剤師による対面販売が必須で、書面での情報提供が義務化

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第1類医薬品

薬剤師による書面での情報提供が義務、インターネット販売可能

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第2類・第3類医薬品

登録販売者でも販売可能、リスクの程度により分類

OTC医薬品(Over The Counter医薬品)は、医師の処方箋なしに薬局やドラッグストアで購入できる医薬品の総称です。これらの医薬品は、含有成分の使用方法の難しさ、相互作用、副作用などの項目で評価され、リスクが大きい順に「要指導医薬品」「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」に分類されています。

 

OTC医薬品要指導医薬品特徴と販売規制

要指導医薬品は、OTC医薬品として初めて市場に登場したもので、慎重な販売が必要とされる医薬品です。最も厳格な販売規制が設けられており、薬剤師による対面での書面情報提供が義務付けられています。

 

要指導医薬品の主な特徴:

  • 薬剤師による対面販売が必須
  • 書面での情報提供が義務
  • インターネット・郵便等での販売は不可
  • 購入希望者の情報聴取が必要

主な要指導医薬品一覧(令和7年5月28日更新):
消化器系:

  • アライ(オルリスタット)- 大正製薬、肥満治療薬
  • イラクナ(イトプリド塩酸塩)- 小林製薬、胃腸薬
  • ギュラック(ポリカルボフィルカルシウム)- 小林製薬、便秘薬
  • コルペルミン(セイヨウハッカ油)- ゼリア新薬工業、過敏性腸症候群治療薬

鎮痛・抗炎症薬:

  • メロキシン(メロキシカム)- エスエス製薬
  • パリエットS・パリエット10(ラベプラゾールナトリウム)- エーザイ
  • ヤクバン・ヤクバンL・ヤクバンXL(フルルビプロフェン)- トクホン

総合感冒薬:

  • パブロンLX錠・パブロンBiz錠(ロキソプロフェンナトリウム水和物等)- 大正製薬
  • コルゲンコーワLX錠(ロキソプロフェンナトリウム水和物等)- 興和
  • ルルアタックLX・ロキソニン総合かぜ薬(ロキソプロフェンナトリウム水和物等)- 第一三共ヘルスケア

アレルギー・点鼻薬:

  • アレグラFXプレミアム(フェキソフェナジン塩酸塩等)- サノフィ
  • ナゾネックス点鼻薬・ナザールNX(モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物)- 佐藤製薬

泌尿器・婦人科系:

  • バップフォーレディ・ユリレス(プロピベリン塩酸塩)- 大鵬薬品工業、過活動膀胱治療薬
  • オキナゾールL600(オキシコナゾール硝酸塩)- 田辺三菱製薬、膣カンジダ治療薬

OTC医薬品第1類医薬品一覧と薬剤師対応

第1類医薬品は、要指導医薬品に次いでリスクが高いとされる医薬品で、薬剤師による書面での情報提供が義務付けられています。インターネット販売は可能ですが、薬剤師の適切な関与が必要です。

 

第1類医薬品の販売要件:

  • 薬剤師のみが販売可能
  • 書面での情報提供が義務
  • 相談への対応が義務
  • インターネット・郵便等での販売可能

主な第1類医薬品カテゴリ別一覧:
解熱鎮痛薬:

  • ハリー解熱鎮痛薬L(小林薬品工業)
  • ピタリノールLX(ワキ製薬)

抗ヘルペス薬:

  • アラセナS・クリーム(佐藤製薬)- 口唇ヘルペス再発治療薬
  • ヒーフルAC(日邦薬品工業)- 口唇ヘルペス再発治療薬

腟カンジダ治療薬:

  • エンペシドL・エンペシドLクリーム(佐藤製薬)
  • オキナゾールL100(田辺三菱製薬)

男性ホルモン剤:

  • オットピン(大和製薬)
  • 強力バロネス(日邦薬品工業)
  • 金蛇精(摩耶堂製薬)
  • グローミン(大東製薬工業)

殺虫剤:

  • クイックロンプレート(バイロン)- ゴキブリ・トコジラミ駆除
  • パナノック(国際衛生)- トコジラミ・ゴキブリ駆除
  • パナプレート(国際衛生)- ハエ・蚊・ゴキブリ駆除
  • バポナ殺虫プレート(アース製薬)

その他注目の第1類医薬品:
H2ブロッカー(胃酸分泌抑制薬)やミノキシジル含有製剤(リアップ等の発毛剤)は、すべて第1類医薬品に分類されています。これらは効果が高い反面、副作用のリスクも相応にあるため、薬剤師による適切な情報提供が不可欠です。

 

OTC医薬品第2類医薬品分類と登録販売者

第2類医薬品は、薬剤師または登録販売者が販売できる医薬品で、OTC医薬品の中で最も流通量が多いカテゴリです。第2類医薬品はさらに「指定第2類医薬品」と「第2類医薬品」に細分されます。

 

第2類医薬品の販売要件:

  • 薬剤師または登録販売者が販売可能
  • 情報提供は努力義務
  • 相談への対応は義務
  • インターネット・郵便等での販売可能

指定第2類医薬品の特徴:
指定第2類医薬品は、第2類医薬品の中でも特に注意を要するもので、情報提供を行うための設備から7メートル以内の範囲に陳列することが義務付けられています。小児への影響が懸念される成分や、乱用の可能性がある成分が含まれている医薬品が指定されています。

 

主な第2類医薬品の例:

  • 総合感冒薬(パブロン、ルル、コルゲンコーワなど)
  • 解熱鎮痛薬(バファリン、ロキソニンSなど)
  • 鎮咳去痰薬(浅田飴、龍角散など)
  • 胃腸薬(大正漢方胃腸薬、太田胃散など)
  • 下痢止め・整腸薬(正露丸、ビオフェルミンなど)
  • 便秘薬(コーラック、スルーラックなど)
  • 皮膚薬(オロナイン軟膏、メンソレータムなど)

登録販売者の役割:
登録販売者は、第2類・第3類医薬品の販売において重要な役割を担っています。医薬品に関する専門知識を持ち、適切な情報提供や相談対応を行うことで、消費者の安全な医薬品使用をサポートしています。

 

OTC医薬品第3類医薬品種類と購入方法

第3類医薬品は、OTC医薬品の中で最もリスクが低いとされる医薬品です。販売に関する法的規定は最も緩やかですが、薬剤師や登録販売者による適切な対応が求められます。

 

第3類医薬品の特徴:

  • 薬剤師または登録販売者が販売可能
  • 情報提供や相談対応に法律上の規定なし
  • インターネット・郵便等での販売可能
  • セルフメディケーションに適している

主な第3類医薬品カテゴリ:
ビタミン・ミネラル剤:

  • アスパライト系製剤(アスパライトD、アスパライトE40など)
  • ビタミンC製剤
  • カルシウム剤(アストカル系製剤など)

整腸・消化薬:

  • 乳酸菌製剤
  • 消化酵素製剤
  • 健胃薬

外用薬:

  • 保湿剤
  • 軽度の皮膚炎用薬
  • 目薬(一部)

漢方薬:
多くの漢方薬が第3類医薬品に分類されており、比較的安全性が高いとされています。

 

購入時の注意点:
第3類医薬品であっても、医薬品である以上、用法・用量を守ることが重要です。長期間症状が改善しない場合や、予期しない症状が現れた場合は、医療機関への受診を検討する必要があります。

 

OTC医薬品購入時の注意点と医療従事者の役割

医療従事者として、患者や一般消費者のOTC医薬品使用に関して、適切な指導と助言を行うことが重要です。特に、処方薬との相互作用や重複投与の回避について、専門的な知識を活用した支援が求められます。

 

OTC医薬品使用における重要なポイント:
相互作用の確認:
処方薬とOTC医薬品の併用による相互作用は、しばしば見落とされがちな問題です。特に、抗凝血薬服用患者のNSAIDs系OTC医薬品使用や、降圧薬服用患者の感冒薬使用などは、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。

 

重複投与の回避:
同一成分を含む処方薬とOTC医薬品の同時使用は、意図しない過量投与につながる可能性があります。アセトアミノフェンイブプロフェンなど、複数の製剤に含まれる成分については特に注意が必要です。

 

患者背景の考慮:

  • 妊娠・授乳期の女性
  • 小児・高齢者
  • 慢性疾患患者
  • アレルギー体質の患者

これらの患者群では、OTC医薬品の選択により慎重な配慮が必要です。

 

医療従事者に求められる対応:
情報提供と教育:
患者に対してOTC医薬品の適切な選択方法、使用方法について教育することは、医療従事者の重要な責務です。特に、症状に応じた医薬品分類の理解や、薬剤師・登録販売者への相談の重要性について伝えることが大切です。

 

薬歴管理の重要性:
処方薬だけでなく、患者が使用しているOTC医薬品についても把握し、総合的な薬物療法管理を行うことが求められます。定期的な薬歴確認により、不適切な薬剤使用を早期に発見し、適切な指導を行うことができます。

 

連携体制の構築:
薬局・ドラッグストアの薬剤師や登録販売者との連携を通じて、患者の安全なOTC医薬品使用をサポートする体制の構築が重要です。特に、要指導医薬品や第1類医薬品の使用に際しては、医療機関との情報共有が効果的な治療につながります。

 

セルフメディケーションの推進:
適切なOTC医薬品の使用は、医療費削減と患者のQOL向上に寄与します。医療従事者として、患者の症状や状況に応じて、適切なセルフメディケーションを推奨し、必要に応じて医療機関受診のタイミングについても指導することが大切です。

 

厚生労働省要指導医薬品一覧
上記リンクでは、最新の要指導医薬品一覧と承認状況が確認できます。医療従事者として、常に最新の情報を把握しておくことが重要です。

 

OTC医薬品の適切な分類理解と使用指導は、患者の安全確保と効果的な薬物療法の実現に不可欠です。医療従事者として、これらの知識を活用し、患者一人ひとりに最適な医療サービスを提供していくことが求められています。