甘草(カンゾウ)は、漢方製剤や一部の一般用医薬品で広く使われ、主成分としてグリチルリチン(グリチルリチン酸)が関与します。厚生労働省の重篤副作用マニュアルでは、甘草あるいはグリチルリチンを含む医薬品の服用が、偽アルドステロン症の主因として繰り返し強調されています。特に重要なのは「処方単剤の用量」ではなく、患者が摂取している“甘草・グリチルリチンの総量(総和)”を把握することです。複数科受診やOTC併用があると、想定より簡単に積み上がります。
現場で扱いやすい考え方として、まず「甘草量(g/日)」と「グリチルリチン量(mg/日)」の二系統で整理します。製剤によって表示が異なり、添付文書や製品情報に甘草gが書かれている場合もあれば、グリチルリチン配合量として書かれている場合もあります。厚労省マニュアルには、過去にはグリチルリチン500mg/日以上の大量例が中心だった一方、その後は150mg/日あるいはそれ以下の比較的少量でも発症報告が多数になってきた、という記載があり、少量なら安全と決めつけない姿勢が必要です(「少量の甘草抽出物を含有するに過ぎない抗潰瘍剤などで発症」も含む)。
参考)https://www.mdpi.com/1422-0067/25/13/7454
また、医療用漢方でも甘草含量は幅が大きい点が実務上の落とし穴です。厚労省マニュアルの表では、1日服用量中の甘草含量として、たとえば葛根湯が2.0g、芍薬甘草湯が6.0g、甘草湯が8.0gといった具体例が列挙されています。この「甘草6g/日」「甘草8g/日」という数字は、併用があれば一気に上限域へ近づくため、処方設計・服薬指導の双方で極めて強い注意喚起ポイントになります。
患者への説明では、数字を並べるだけでは伝わりにくいため、次のように言い換えると会話が進みます。
さらに、意外に見落とされるのが“注射用グリチルリチン製剤は内服と比べて本症を発現しにくいとされる”という点です。厚労省マニュアルでは、経静脈投与ではGLからGAが生じにくいことなどが背景として述べられています。つまり、同じ「グリチルリチン」という名称でも投与経路や製剤でリスク感が変わり得るため、患者側の「昔点滴でやったから今の内服も大丈夫」という誤解を丁寧にほどく必要があります。
偽アルドステロン症は、「アルドステロンが増えていないのに、アルドステロン過剰のような症状(高血圧、むくみ、低カリウムなど)を示す病態」と整理されます。臨床像としては、低カリウム血症を伴う高血圧、代謝性アルカローシス、低カリウム血性ミオパチーなどが典型で、進行すると転倒、致死性不整脈、横紋筋融解に至りうる点が怖いところです。この「転倒」「不整脈」「横紋筋融解」は、処方医よりもむしろ病棟・薬局・外来フォローの現場が先に気づけることが多く、情報共有が予後を左右します。
機序の要点は、甘草(またはその代謝産物)がミネラルコルチコイド受容体(MR)周辺の防御機構を崩すことです。腎尿細管などの標的臓器では、通常11β-HSD2がコルチゾールをコルチゾンに変換し、MRがコルチゾールに占拠されないようにしています。しかし、甘草あるいはグリチルリチンに由来する代謝産物(GAなど)によって11β-HSD2活性が抑制され、結果としてコルチゾールがMRを介してミネラルコルチコイド様作用を発揮し、Na・水貯留とK喪失が進む、という説明が厚労省マニュアルで示されています。この説明は、医療者間の共通言語として使えるだけでなく、患者説明にも「ホルモンが増えたわけではないのに、似た状態になる」と翻訳しやすいメリットがあります。
症状面では、患者向けパートに「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばり」から始まり、「力が抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」がだんだんきつくなる、といった初期像が提示されています。医療者向けパートでも、四肢脱力・筋力低下と高血圧が発見契機として多いこと、全身倦怠感や浮腫も一定割合でみられることが述べられています。つまり「足がつる=整形外科的な問題」「だるい=年齢のせい」などに寄せてしまうと取り逃がしやすく、甘草一日量が多い患者では“電解質由来の筋症状”として優先的に拾い上げる姿勢が必要です。
甘草一日量が問題になる典型パターンは、単一処方の過量よりも「複数の甘草含有製剤の併用」による総量の増加です。厚労省マニュアルでも、複数の医薬品の飲み合わせで起こる場合があること、またOTCを含む服用歴の把握が大切であることが明記されています。現場では、同一医療機関内での併用だけでなく、他院処方+ドラッグストア購入+健康食品的な甘草摂取(甘草エキス配合食品など)の組み合わせが起点になりやすいです(食品も含まれうる点はマニュアル内で例示)。
次に、同じ甘草一日量でも「低カリウム血症を起こしやすい条件」が重なると、一気に臨床的に問題化します。厚労省マニュアルでは、サイアザイド系降圧利尿薬やループ利尿薬の投与、糖尿病に対するインスリン投与などが、低Kを生じやすく重篤化しやすいので注意が必要とされています。さらにヒドロコルチゾンやプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド、甲状腺ホルモン薬なども低Kを惹起しうるため、併用時の注意が必要とも記載されています。
医療者がやりがちなミスは、甘草含有製剤を追加するときに「既存薬に甘草(またはグリチルリチン)がない前提」で判断してしまうことです。たとえば、こむら返りに芍薬甘草湯を開始する際、既に感冒で葛根湯が処方されていた、あるいは患者がOTCのかぜ薬を数日飲んでいた、という状況は現実的に起こります。厚労省マニュアルの例示だけでも、葛根湯2.0g/日+芍薬甘草湯6.0g/日で、甘草は合計8.0g/日相当まで到達し得ます。この時点で「むくみ+血圧上昇+K低下」の方向に傾く条件がそろいやすく、特に高齢・小柄な患者では“同じg数でも体表面積あたりの負荷が大きい”という観点が効いてきます(体表面積が小さい者や高齢者に生じやすい旨の記載)。
ここで、服薬指導の具体策を、入れ子にしない箇条書きでまとめます。
甘草一日量の管理は、理想論として「高用量を避ける」だけでは不十分で、実務は“モニタリング設計”がセットになります。厚労省マニュアルでは、使用開始後10日以内の早期発症から数年以上の使用後の発症まで幅があり、3か月以内に発症したものが約40%を占める一方で、長期使用でも突然症状が出る可能性があることが示されています。つまり、開始直後だけ注意して安心するのではなく、維持期にも一定の監視が必要です。
検査について、医療者向けパートに「維持期でも3~6か月に1回の定期的な血清カリウム値のチェックや心電図測定が重要」と明確に書かれています。また、自覚症状がないまま血液検査で低Kが見つかり診断に至った例が少なくない、心室性不整脈を来した症例も稀ではない、という注意喚起もあります。この記載は、外来で「症状がないから検査不要」となりがちな場面の説得材料として非常に使えます。
モニタリングの現場運用では、次のような“最小限のプロトコル”が組みやすいです。
検査値の読み方としては、「低カリウム血症(例:3.5mEq/L以下)」が明示されています。ただし、現場では“絶対値だけ”でなく「服用前に比べて低下」も拾うべき、と同じ箇所で述べられている点が重要です。境界域でも、筋症状や血圧上昇、むくみが同時に出ていれば、薬剤性の方向で検討する価値が上がります。
治療対応の原則も、現場の共通認識として押さえておくと迷いが減ります。厚労省マニュアルでは、薬剤性の偽アルドステロン症は「推定原因医薬品の中止が第一」とされ、K製剤は尿中排泄を増すばかりで効果が乏しいことがある、抗アルドステロン薬スピロノラクトンが有効、原因中止後は数週間で症状とKが改善することが多い、と記載されています。ここは医師の判断領域ですが、薬剤師としては「中止判断を促すための情報整理(総甘草量、併用、症状、K推移)」を迅速に提供することが実務的価値になります。
検索上位の解説は「何gで危険」「症状はこれ」という話に寄りがちですが、実臨床で差がつくのは“情報の取り方”です。厚労省マニュアルでも、他の医療機関処方や一般用医薬品を含めて、種類と量、期間を医師・薬剤師に知らせることが大切だと、患者向けに具体的に書かれています。裏を返すと、患者がそれを自発的に整えてくれるケースは多くないため、医療者側の質問設計が結果を左右します。
ここでの独自視点として、甘草一日量の管理を「足し算の技術」として標準化する提案をします。ポイントは“製剤名が分からなくても拾える質問”にすることです。
さらに、患者教育の“言い方”も工夫すると、自己申告率が上がります。たとえば「甘草という生薬名は覚えにくいので、“カンゾウ”と書いてある漢方があったら教えてください」よりも、「漢方はだいたい“2つ以上”重なると副作用のリスクが上がることがあるので、全部の袋を持ってきてください」の方が行動を引き出しやすいです。厚労省マニュアルの患者向け文章も、「症状があれば放置せず連絡」「いったん中止して連絡」「種類と量、期間を知らせる」と、行動に落ちる表現で構成されています。この“行動を促す文章構造”は、院内掲示や服薬説明書を作る際のテンプレとして転用できます。
意外性のある補足として、偽アルドステロン症では「糖尿病が悪くなることもある」という記載があります。低カリウム血症によるインスリン分泌不全が背景になり得ると医療者向けにも述べられています。つまり、糖尿病患者で血糖が不安定化したとき、食事や感染だけでなく「甘草一日量の増加→低K→糖代謝悪化」という連鎖も、鑑別の片隅に置く価値があります。血糖悪化を主訴に来た患者でも、筋症状・血圧・むくみ・K低下がセットでないかを見に行くと、拾えるケースが出ます。
【機序・症状・検査の権威性ある一次資料(医療者向けにも患者向けにも使える)】
厚労省「偽アルドステロン症」:初期症状、発生機序(11β-HSD2)、リスク因子、検査頻度(K・心電図)、治療(原因中止等)がまとまっています

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