ウイルス性感染症とは、ウイルスが人体に侵入して発症する疾患の総称です。ウイルス感染症の種類は非常に多岐にわたり、感染部位によって呼吸器感染症、消化器感染症、発疹性感染症、皮膚・粘膜感染症、肝感染症などに分類されます。
参考)https://www.clinicfor.life/lp/online-insurance/treatment/oi-047/
ウイルスは細菌とは異なり、動物細胞内でのみ増殖が可能な微生物です。感染が成立すると、ウイルスは宿主細胞の代謝機能を利用して自己複製を行い、その過程で細胞に損傷を与えて様々な症状を引き起こします。
上気道感染症は最も一般的なウイルス感染症の一つで、咽頭炎、副鼻腔炎、風邪などが含まれます。
ウイルス性感染症の症状は、感染部位やウイルスの種類によって異なりますが、共通して発熱、全身倦怠感、筋肉痛などの全身症状が現れることが多いです。呼吸器系のウイルス感染では、くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛みといった上気道症状が主体となります。
参考)https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_kizi_cold_incubation_period.html
診断においては、症状の特徴や経過、流行状況を総合的に判断することが重要です。インフルエンザやRSウイルス、アデノウイルスなどでは迅速診断キットが利用可能で、咽頭ぬぐい液や鼻腔ぬぐい液を用いて10~15分程度で結果が得られます。
血液検査では白血球数の変化やCRP値の上昇程度から、細菌感染との鑑別を行うことができます。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/ymj/67/1/67_15/_article/-char/ja/
ウイルス性肺炎は、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルスなどが原因で発症する肺の炎症です。細菌性肺炎と比較して、膿性痰の産生が少なく、発熱や乾性咳嗽が主な症状となることが特徴的です。
参考)https://solare-clinic-taishi.com/virus_pneumonia/
治療については、インフルエンザウイルスに対してはオセルタミビルやザナミビルなどの抗インフルエンザ薬、サイトメガロウイルスや水痘ウイルスに対してはガンシクロビルやアシクロビルなどの抗ウイルス薬が使用されます。多くのウイルス性肺炎では特異的な治療薬が存在しないため、解熱薬、鎮咳薬、去痰薬による対症療法が中心となります。重症例では酸素吸入や人工呼吸管理が必要な場合もあります。
ウイルス性胃腸炎は、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが原因で発症する消化器感染症です。主な症状として吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱があり、通常1~2日から1週間程度で回復することが多いです。
参考)https://www.ayako-naika.com/infectious-gastroenteritis/
ノロウイルス感染症では、特にカキなどの二枚貝や汚染された水、感染者の接触物、嘔吐物、便が主な感染源となります。ロタウイルス感染では、特徴的な白く水っぽい下痢が見られ、乳幼児に多く発症する傾向があります。診断は症状と流行状況、必要に応じて便中のウイルス抗原検査により行われます。
参考)https://caps-clinic.jp/ichouen/
治療の基本は脱水予防で、経口補水液や輸液による水分・電解質の補給が重要です。下痢止めは病原体の排出を妨げる可能性があるため、基本的には使用を控えます。
ウイルス性感染症の予防において最も基本的で重要なのは、正しい手洗いの実施です。石鹸と流水を使用した手洗いは、ウイルスを物理的に洗い流す効果があり、特にアルコール耐性のあるノロウイルスやロタウイルスに対して有効です。
参考)https://mymc.jp/clinicblog/253738/
接触感染の予防策として、感染者の嘔吐物や便の適切な処理が重要です。処理時にはビニール手袋を着用し、汚物はビニール袋に密閉して廃棄し、汚染された可能性のある場所は次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を行います。
参考)https://yuencl.com/ichouen.html
食品媒介感染の予防では、カキなどの二枚貝は中心部まで十分に加熱し、野菜や果物は水道水でよく洗浄することが推奨されます。調理器具の熱湯消毒や、調理前後の手洗いも感染リスクを大幅に軽減します。
参考)https://shizuku-naika.com/top/infection/acute-gastroenteritis/
飛沫感染の予防には、マスクの着用や適切な咳エチケット、十分な換気が効果的です。また、共用トイレではウイルスが数時間にわたって空中に漂う可能性があるため、予防的なマスク着用が推奨されます。
慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン2016