アセタゾラミドの副作用発現頻度は34.3%(23/67例)と報告されており、臨床検査値異常は25.5%(13/51例)に認められます。最も頻度が高い副作用は手足のしびれで26.8%(18/67例)に発現し、次いで頻尿が9.0%(6/67例)、胃部不快感が3.0%に認められます。炭酸脱水酵素阻害作用という本剤の作用機序に起因する副作用が多く、特に知覚異常は比較的多くの患者で経験される症状です。
参考)https://med.skk-net.com/information/item/DMX2505.pdf
国内の使用成績調査において、副作用の詳細な頻度調査が実施されていないため、重篤な副作用の正確な発現頻度は不明とされています。しかし、医薬品副作用データベース(JADER)や添付文書の情報から、臨床現場で注意すべき副作用プロファイルが明らかになっています。
メニエール病患者を対象とした後方視的研究では、アセタゾラミド投与により高率に有害事象が発生し、知覚障害、電解質異常、肝機能障害などが観察されました。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11486632/
アセタゾラミドは主として近位尿細管で作用し、炭酸脱水酵素を阻害することでHCO₃⁻の再吸収を抑制します。この作用機序により、代謝性アシドーシスが発生し、血中のH⁺が増加します。増加したH⁺により呼吸中枢が刺激され、換気量が増大する一方で、体内のpHバランスが変化することで様々な副作用が引き起こされます。
参考)薬学からのメッセージ|武庫川女子大学 薬学部
炭酸脱水酵素阻害により尿細管での水素イオン排泄が阻害されるため、尿はアルカリ性に傾き、反対に血液pHは低下してアシドーシスとなります。この代謝性アシドーシスが、電解質異常、特に低カリウム血症や低ナトリウム血症を引き起こす主要な機序です。
参考)https://med.skk-net.com/information/item/DMXI2505.pdf
中枢神経組織内の炭酸脱水酵素抑制により、脳のCO₂濃度が局所的に増大し、これがてんかん発作抑制効果をもたらす一方で、精神錯乱や痙攣などの中枢神経症状を引き起こす可能性もあります。
参考)医療用医薬品 : ダイアモックス (ダイアモックス注射用50…
アセタゾラミドの重大な副作用として、再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、血小板減少性紫斑病などの重篤な血液障害が報告されています。これらの血液障害は頻度不明ですが、発現した場合には致死的な経過をたどる可能性があります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/37/4/37_281/_pdf
71歳女性において、脊髄小脳失調症6型に対するアセタゾラミドの10年間の長期内服後に重症再生不良性貧血を発症した症例が報告されています。この症例では汎血球減少が認められ、骨髄所見から重症再生不良性貧血と診断され、初診から11か月後に肺炎で死亡しました。長期投与による血液障害のリスクを示唆する重要な報告です。
参考)アセタゾラミドの長期内服により発症した重症再生不良性貧血の1…
血液透析患者においてもアセタゾラミド服用後に重篤な再生不良性貧血を発症した症例が報告されており、腎機能低下患者では特に注意が必要です。血液障害の早期発見のため、定期的な血液検査によるモニタリングが推奨されます。
参考)Acetazolamide服用後に重篤な再生不良性貧血を発症…
代謝性アシドーシスと電解質異常は、アセタゾラミドの重大な副作用として添付文書に明記されています。代謝性アシドーシス、低カリウム血症、低ナトリウム血症などの電解質異常があらわれることがあり、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置が必要です。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000143188.pdf
高齢者では特に注意が必要で、腎機能の低下により代謝性アシドーシスに伴う低ナトリウム血症、低カリウム血症があらわれやすくなります。急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがあるため、低用量から投与を開始し、患者の状態を観察しながら慎重に投与することが求められます。
参考)https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/jyunkan/DI-1840-01.pdf
臨床症状としては、息苦しさ、吐き気、脱力、筋肉痛、動悸、口渇などが認められることがあります。これらの症状が出現した場合には、速やかに血液ガス分析や電解質測定を行い、アシドーシスや電解質異常の有無を確認する必要があります。
参考)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se21/se2134002.html
アセタゾラミドによる重篤な皮膚障害として、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)と中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)が報告されています。これらは頻度不明ですが、発現した場合には生命を脅かす重篤な病態であり、早期発見と迅速な対応が極めて重要です。
参考)https://www.jsts.gr.jp/img/diamox.pdf
Stevens-Johnson症候群は、発熱を伴い、皮疹は全身に非典型的ターゲット状多形紅斑やびらん、水疱が多発し、眼病変として角膜障害や偽膜形成を伴う両眼性の非特異的結膜炎がみられます。角膜病変は後遺症を残す恐れのある病変として重要であり、眼科との連携が不可欠です。
参考)https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/02903/029030273.pdf
スルホンアミド系薬剤に対する過敏症の既往歴がある患者には本剤の投与が禁忌とされており、投与前の問診が重要です。発疹、発熱などの過敏症状が出現した場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。
参考)医療用医薬品 : ダイアモックス (ダイアモックス末 他)
脳循環予備能検査を目的としたアセタゾラミド静脈内投与時に、急性肺水腫、脳梗塞、心不全などの重篤な副作用が報告されており、国内では8例中6例が死亡するという極めて重篤な転帰となっています。これらの副作用は投与後10分から約1時間後より症状が発現し、初期症状として喘鳴、呼吸苦、努力様呼吸、呻吟、泡沫様痰などが認められます。
参考)https://www.jsts.gr.jp/img/acetazolamide.pdf
副作用の発生機序は不明ですが、可能性としてアナフィラキシーと急性肺水腫の2つが重要視されています。肺水腫の発生には、心原性あるいは代謝性アシドーシスなどによる非心原性機序が関与している可能性が考えられています。
2023年の症例報告では、白内障術後の患者に対する経口アセタゾラミド投与1週間後に両側性脈絡膜滲出が発生し、急激な視力低下をきたした事例が報告されています。注射投与だけでなく経口投与においても、重篤な眼科的合併症のリスクが存在することを示しています。
参考)https://www.mdpi.com/2075-1729/15/5/811
投与経路は静脈内注射を原則とし、他剤との混注は避けるべきです。緊急時や経口投与で効果が不十分な場合にのみ注射投与を行い、経口投与が可能で効果が十分であれば速やかに経口投与に切り替えることが推奨されます。
参考)ダイアモックス|よくあるご質問|医薬品|三和化学研究所
アセタゾラミド投与中は、定期的な臨床検査によるモニタリングが重要です。血液検査では血球数、肝機能(AST、ALT、Al-P)、腎機能(血清クレアチニン、BUN)、電解質(ナトリウム、カリウム)、血液ガス分析を定期的に測定する必要があります。
抗てんかん薬としての使用時には、治療薬物モニタリング(TDM)が推奨される場合があります。血中濃度測定の適応には、副作用を示唆する症状や徴候の診断が不確実なとき、適切な量にもかかわらず発作が存続する場合、薬理動態の変化が疑われる場合などが含まれます。
参考)https://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/tenkan_2018_12.pdf
手足のしびれは多くの患者が経験する副作用ですが、通常は服用を中止すれば改善します。しかし、我慢できない症状や、いつもと違う気になる症状が出た場合は、自己判断せず、すぐに処方した医師や薬剤師に相談することが重要です。
参考)ダイアモックスの効果や副作用について医師が解説!高山病に効く…
高齢者では低用量から投与を開始し、患者の状態を注意深くモニターしながら慎重に投与することが求められます。腎機能低下患者では本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがあり、無尿の患者には投与禁忌です。
参考)https://med.skk-net.com/information/item/DMX2405.pdf
日本脳卒中の外科学会によるアセタゾラミド適正使用指針では、脳循環予備能検査時の重篤な副作用とその対策について詳細に記載されています
医療用医薬品情報データベースでは、アセタゾラミドの最新の添付文書情報と副作用プロファイルを確認できます