イソプロテレノールは強力なβ受容体刺激作用を持つため、心血管系に顕著な影響を及ぼします。主な副作用として、動悸(高頻度)、頻脈(中等度)、不整脈(低頻度)が報告されており、特に心疾患を有する患者では注意が必要です。
心室性期外収縮や心室性頻拍、さらに致死的不整脈を生ずることがあり、過量投与時には逆説的気道抵抗上昇および心停止に関する警告が添付文書に記載されています。1963年から1968年にかけて、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドで喘息治療を目的にイソプロテレノールを使用した患者の死亡が増加し、その原因の多くは過量投与であったことが報告されています。
重大な副作用として、重篤な血清カリウム値の低下が添付文書に記載されています。β受容体を介して代謝にも影響を与え、血糖値の上昇やカリウム値の低下などの電解質異常を引き起こす可能性があり、糖尿病患者や腎機能障害患者では特に注意を要します。
利尿薬との併用では低カリウム血症のリスクが高まり、これにより不整脈発生の危険性が増大します。2019年のJournal of Clinical Pharmacologyに掲載された研究では、イソプロテレノールと利尿薬の併用患群では非併用群と比較して低カリウム血症の発生率が2.5倍高かったと報告されています。キサンチン誘導体(テオフィリン、アミノフィリン)との併用でも相加的な作用により副作用リスクが増大し、心血管系への負担が増加します。
注射剤では心筋虚血(異型狭心症、非Q波梗塞等)が重大な副作用として記載されています。β受容体刺激作用により心筋の酸素需要が増大する一方で、冠血流量が不十分な場合には心筋虚血を誘発する可能性があります。イソプロテレノール負荷時の心筋虚血の評価には、負荷中および負荷後の心電図、心プールシンチグラフィーや心臓超音波検査による心室壁運動の異常の検出、タリウム心筋シンチグラフィー等が用いられます。投与中は心拍数、血圧を測定し、維持量は適宜増減することが推奨されています。イソプロテレノール静注による心筋虚血発現時の血行動態や左心機能の変化を適切にモニタリングすることが重要です。
参考)https://medical.kowa.co.jp/asset/item/38/1-pi_098.pdf
イソプロテレノールは心室性期外収縮や心室性頻拍などの不整脈を誘発する可能性があるため、投与時には十分な観察が必要です。投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うことが推奨されています。
徐脈となったときおよび低血圧を起こした場合には、ショックに至る例も報告されているので、観察を十分に行い減量または中止する必要があります。必要に応じてアトロピン硫酸塩、ドブタミン塩酸塩、アドレナリン等を使用することで対応します。イソプロテレノール等のカテコールアミン製剤との併用により不整脈、場合により心停止があらわれることがあるため注意が必要です。不整脈の治療においては、β遮断薬であるメトプロロールの静注投与が有効であることが報告されています。
イソプロテレノールの継続的な使用はβ受容体の脱感作や下方制御を引き起こし、薬剤効果の減弱につながる可能性があります。この現象は治療効果の低下だけでなく、症状コントロールの悪化や増悪リスクの上昇をもたらします。慢性投与によりβ1アドレナリン受容体シグナリングの下方制御が進行し、心不全モデルマウスでは興奮収縮連関に重要なT管の変化が観察されています。マグネシウムは、イソプロテレノールによる心機能低下とβ受容体脱感作に対する抑制効果を示すことが報告されており、長期使用時の対策として注目されています。耐性形成を回避するためには、長期管理薬との適切な併用や間欠的使用法の採用が重要です。β受容体-アデニレートサイクレース系の変化を理解し、適切な投与計画を立てることが求められます。
参考)国立国会図書館デジタルコレクション
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