コルヒチンを1日1.5mgを超えて投与すると、死亡に至る可能性があります。
痛風関節炎(痛風発作)は、関節内に沈着した尿酸一ナトリウム(MSU)結晶が白血球を活性化させることで引き起こされる急性炎症です。足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に好発しますが、足首・膝・手関節などにも生じます。疼痛の強さは非常に激烈で、「風が当たるだけで痛い」という表現が病名の由来とされるほどです。
急性期治療の鉄則は「できるだけ早く開始すること」です。これが基本です。
日本のガイドライン(高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版)でも、NSAIDs・コルヒチン(低用量)・経口グルココルチコイドの3剤に優先順位の差はないと明記されています。従来は「NSAIDsが第一選択」とする考え方が主流でしたが、現在のエビデンスではどの薬剤も無投薬より優れており、3剤間に有意な優劣はないとされています。
薬剤選択は患者背景に応じて行います。以下が実臨床での大まかな指針となります。
- NSAIDs(ナプロキセン・インドメタシン等):禁忌・副作用がない場合に最も使用頻度が高く、「NSAIDsパルス投与法」として発作の極期に短期間・比較的大量に投与する。ナプロキセンであれば300mgを3時間ごとに3回・1日のみ投与する方法が代表的です。慢性腎臓病(CKD)・胃潰瘍・心血管イベント既往・抗凝固薬投与中の患者では使用を避けます。
- コルヒチン:発作の前兆期(予感時)に0.5〜1mgを速やかに服用すると高い抑制効果を発揮します。一方、発作が極期(ピーク)に達してからは効果が大きく落ちる点に注意が必要です。腎機能低下例(eGFR 60mL/分未満)への連続投与は推奨されておらず、eGFR 30mL/分未満では安全性が確立していないため慎重な判断を要します。
- 経口グルココルチコイド(ステロイド):プレドニゾロン換算で20〜30mg/日を投与し、NSAIDsの禁忌・無効例での代替選択肢となります。糖尿病患者や足白癬などの感染症を合併している患者では使用に注意が必要です。投与期間が2週間を超える場合、急な中止で副腎不全のリスクがあるため、漸減中止が原則です。
⚠️ 複数の薬剤が使用しにくい場面は、実臨床で珍しくありません。それぞれの禁忌を把握したうえで、受診当日から治療を開始することが疼痛の早期鎮静につながります。
参考:高尿酸血症特設サイト(富士薬品)「急性痛風関節炎の治療ABC」
https://kounyousan.jp/abc/006.html
2026年2月24日、厚生労働省はコルヒチン(商品名:コルヒチン錠0.5mg「タカタ」)の添付文書について、「警告」の項を新設するなど大幅な改訂指示を発出しました。医療従事者として、この改訂内容は必須の知識です。
改訂の背景は、2026年1月31日までにコルヒチン1日量1.8mgを超える高用量投与後に死亡に至った事例が計18例報告されており、そのうち8例で薬剤との因果関係が否定できなかったことです。これは深刻な数字ですね。
改訂された主な内容は次のとおりです。
- 🚨 「警告」新設:1日量1.5mgを超える高用量投与・重度腎機能障害患者において、重篤な中毒症状(胃腸障害・血液障害・腎障害・肝障害等)を発現し死亡に至った症例を報告。臨床上やむを得ない場合を除き、これらの状況での投与は「避けること」と明記されました。
- 📋 用法及び用量に関連する注意:痛風発作の緩解目的では「1日量1.5mgを超える高用量投与は臨床上やむを得ない場合を除き避けること」「1回量・1日量・投与期間は国内の最新のガイドラインを参考にすること」と追記されました。
- ⚠️ 重要な基本的注意(新設):中毒症状(悪心・嘔吐・腹部痛・下痢・咽頭部や皮膚の灼熱感・血尿・乏尿・筋脱力等)があらわれた場合は速やかに医療機関を受診するよう患者指導が義務化されました。
- 🔬 重大な副作用(新設):「コルヒチンによる中毒症状」として、承認された用法・用量範囲内であっても腎機能障害患者等では血中濃度が上昇し重篤な中毒症状を発現する可能性があること、また本剤は強制利尿や血液透析では除去できない点が明記されました。
低用量投与法が推奨されます。具体的には「発症12時間以内に1mg、その1時間後に0.5mgを投与する低用量投与法」が国際的にも標準とされており、かつ胃腸障害などの副作用を大幅に減らせることが示されています。
改訂前は「1日1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい」という表現でしたが、2026年改訂後は「1.5mg超は原則回避」へとより厳格に変更されました。この変更は、現場での実態と乖離していた用量管理に対する実質的な警鐘といえます。
参考:ケアネット「コルヒチン中毒の報告受け、添文の警告や副作用など改訂/厚労省」
https://www.carenet.com/news/general/carenet/62388
痛風関節炎の治療で最もよく混乱が生じる臨床判断の一つが、「尿酸降下薬をいつ開始・中止するか」という問題です。正確な理解が患者指導の質に直結します。
発作中に新規で尿酸降下薬を開始してはいけません。これが原則です。
急性発作中に新たに尿酸降下薬を開始すると、血中尿酸値が急激に変動し、関節内で安定していたMSU結晶が移動・崩壊を始めます。これが炎症をさらに強める引き金となり、発作の遷延や悪化を招きます。ガイドラインでも「痛風発作中に尿酸降下薬は新規開始しない」と明記されています。
一方、すでに尿酸降下薬を投与中の患者が発作を起こした場合は、中止は禁物です。この場合は、尿酸降下薬の投与はそのまま継続し、NSAIDs・コルヒチン・ステロイドなどの抗炎症薬を上乗せして治療します。発作を口実に尿酸降下薬を中断させると、尿酸値が再び上昇し発作のリスクをむしろ高めます。
尿酸降下薬を新規開始した後の約2ヶ月間は、尿酸値の変動により発作が起こりやすくなることが知られています。「コルヒチンカバー」と呼ばれる、低用量コルヒチン(1日0.5〜1mg)の予防的投与がこの期間の発作予防に有効で、ガイドラインでも条件付きで推奨されています(CQ6)。
患者への説明で欠かせない3つのポイントを整理します。
- 💬 「尿酸を下げる薬を飲み始めると、最初の数ヶ月は発作が出やすくなることがある」
- 💬 「発作が出ても薬を自己判断で中止しないこと」
- 💬 「発作が出たら痛みを感じた初日に受診すること」
これらが患者指導の軸です。これだけ覚えておけばOKです。
投薬中断は特に問題です。痛風は治療継続率が低いことが知られており、疼痛が治まると自己判断で通院・服薬を中断してしまう患者が少なくありません。中断後に再通院した患者を対象とした調査でも、約5年間にわたって尿酸値を6.0mg/dL未満に維持した後であれば尿酸降下薬を中止できる可能性があることが示されており、長期治療の必要性を丁寧に説明することが重要です。
参考:日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン第3版(MINDSサマリー)
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00476/
急性発作を鎮静化した後の長期目標は、血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することです。この数値は、関節腔内でのMSU結晶の溶解・析出のバランスポイントとして科学的に設定されており、日本・欧州・米国のガイドラインがすべて採用しています。
尿酸降下薬の選択には「尿酸排泄低下型」か「尿酸産生過剰型」かの分類が基本となります。臨床では、まず24時間尿中尿酸排泄量や尿酸クリアランス(CUa)を測定し、産生過剰型には尿酸生成抑制薬(アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタット)を、排泄低下型には尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン・プロベネシド・ドチヌラド等)を選択します。排泄低下型が多いというのが原則です。日本人の痛風患者では尿酸排泄低下型が過半数を占めるとされています。
2020年から使用可能となったドチヌラド(SURI:選択的尿酸再吸収阻害薬)は、従来の尿酸排泄促進薬に比べて尿酸トランスポーターへの選択性が高く、腎結石リスクが低い点が特徴です。尿酸排泄促進薬を選択する際の新たな選択肢として認知されています。
重症例・痛風結節を有する患者では5.0mg/dL以下という、より低い目標値が設定されることがあります。これは関節内に蓄積した結晶を積極的に溶かす目的があるためです。
合併症の有無は薬物療法の閾値にも影響します。具体的には以下のとおりです。
- 🫀 無症候性高尿酸血症(痛風発作・合併症なし):8.0mg/dL以下では生活習慣の改善が優先で、薬物療法の判断は慎重に行います
- 🩺 腎障害(CKD)合併例:尿酸降下薬による腎保護効果が示唆されており、より積極的な薬物治療が検討されます(CQ2)
- ❤️ 高血圧・心不全合併例:現時点では生命予後改善のための尿酸降下薬使用は「積極的には推奨できない」とされています(CQ3・CQ5)
尿酸降下薬は少量から開始し、3〜6ヶ月かけて維持量を決定する点も重要な管理方針です。急激な尿酸低下は前述のとおり発作を誘発するため、月1回程度の尿酸値モニタリングを行いながら漸増します。
参考:日本動脈硬化学会「痛風・高尿酸血症治療のフローチャート2025」
https://www.j-athero.org/chart2025/chart2025_qr13.pdf
痛風関節炎の再発予防において、薬物療法と同等に重要なのが生活指導です。ただし、医療現場で「プリン体制限だけ指導すれば十分」という思い込みは注意が必要で、アルコールやフルクトース(果糖)の管理も不可欠です。
まずプリン体の摂取目安は、1日400mg以下とすることが推奨されています。プリン体が特に多い食品としては、レバー類(100gあたり210〜320mg)・白子(同300mg)・干し椎茸・煮干しなどが代表的です。ただし、体内で産生される内因性プリン体が総産生量の約70〜80%を占めており、食事由来のプリン体は残りの20〜30%に過ぎません。食事制限だけでは限界があります。
アルコールは「低プリン体ビール」であっても要注意です。アルコール自体がプリン体の前駆体であるうえ、アデノシン三リン酸(ATP)分解を促進して尿酸産生を増やし、さらに尿酸の腎排泄を抑制します。「プリン体ゼロ」と表示された製品でも、アルコール摂取そのものが尿酸値を上昇させる点は変わりません。患者への説明が大切です。
閉経後女性への注意は、見逃されがちな重要ポイントです。これは意外ですね。痛風は男性の疾患というイメージが強く、50〜60代の女性患者に対して「まず痛風を疑わない」傾向が医療現場にある可能性が指摘されています。しかし、エストロゲン(女性ホルモン)には腎尿細管からの尿酸排泄を促進する作用があり、閉経後にエストロゲンが減少すると尿酸値が上昇し始めます。日本人女性を対象とした長期追跡研究では、閉経前後で血清尿酸値が平均0.41mg/dL上昇することが示されています。
閉経後女性でNSAIDsを使用する際には、特に骨粗鬆症治療薬との相互作用にも配慮が必要です。また、閉経後女性の痛風はCKDや高血圧の合併が多い傾向もあり、ステロイドや利尿薬の使用が尿酸値に影響していないか確認することが実践的な視点となります。
生活指導は「何を制限するか」だけでなく、「なぜそうするのか」を患者自身が理解してはじめて行動変容につながります。十分な説明と信頼関係の構築が再発予防の根幹です。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品・飲料中のプリン体含有量」
https://www.tufu.or.jp/gout/gout4/447

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