健康診断で尿酸値が高いと言われた患者の約6割は、実はプリン体ではなく「腸管の遺伝子異常」が根本原因です。
高尿酸血症は、血清尿酸値が7.0 mg/dL を超えた状態と定義されます。日本人成人男性の約20〜25%、女性の約5%が該当し、推定患者数は1,300万人規模に達すると言われています。
尿酸はプリン体の代謝最終産物です。体内では食事由来と内因性産生の両方からプリン体が供給され、最終的にキサンチンオキシダーゼ(XOR)の作用で尿酸に変換されます。この尿酸のうち約3分の2が腎臓から、残り約3分の1が腸管から排泄される構造になっています。
高尿酸血症の病型は、2018年改定の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」により4分類に整理されました。具体的には「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」「腎外排泄低下型」「混合型」の4つです。
なかでも「尿酸産生過剰型」は、尿酸の産生量が増加した結果、尿中への尿酸排泄量が増加する病型を指します。臨床的には、尿中尿酸排泄量が0.51 mg/kg/時を超えることが判断の目安となります。つまり産生過剰です。
ただし注意が必要なポイントがあります。臨床検査上は「尿酸産生過剰型」と「腎外排泄低下型」は区別がつきません。ABCG2遺伝子多型による腸管からの尿酸排泄低下でも尿中尿酸排泄量が増加するため、見かけ上は産生過剰型と同じ所見を示すからです。
この区別が重要な理由は治療方針に直結するためです。産生過剰型にはXOR阻害薬(尿酸生成抑制薬)、排泄低下型には尿酸排泄促進薬、という選択原則があります。病型診断が不正確だと、適切な薬剤選択ができないリスクがあります。
参考:高尿酸血症の病型分類と診断基準(富士薬品・高尿酸血症特設サイト)
https://kounyousan.jp/shindan/
尿酸産生過剰型の原因として、最もよく知られているのが食事由来のプリン体過剰摂取です。レバー・白子・イワシの干物・エビなどプリン体を多く含む食品を継続的に摂取すると、肝臓でのキサンチン代謝が亢進し、血清尿酸値が上昇します。
ここで見落とされやすいのが、果糖(フルクトース)の問題です。果糖はプリン体をほとんど含まないため「安全な甘味料」と誤解されがちですが、代謝経路がグルコースと大きく異なります。肝臓で果糖が代謝される際、ATP消費が急増してAMPが蓄積し、AMP分解が亢進する結果として尿酸産生が増加します。
つまり果糖は、プリン体を含まないにもかかわらず尿酸を増やす機序を持っています。清涼飲料水・スポーツドリンク・加糖ジュースに多く含まれる果糖ブドウ糖液糖は要注意です。とくに1日1本(350 mL)以上の加糖飲料を毎日飲む習慣がある患者では、食事指導の際にこの点を意識的に確認することが有用です。
飲酒も産生過剰に関与します。アルコールは肝臓でATPを大量消費しながら代謝されるため、AMP分解経路が活性化されて尿酸産生が亢進します。加えて、ビールは醸造過程でプリン体(酵母由来)を直接含むため、二重の意味で尿酸値を押し上げます。飲酒は産生過剰と排泄低下の両面に悪影響を与える、混合型の原因となることも多いです。
| 原因 | 機序 | 代表的な食品・状況 |
|------|------|------|
| 高プリン食 | プリン体→尿酸の直接変換亢進 | レバー、白子、イワシ干物 |
| 果糖過剰摂取 | ATP消費増→AMP分解亢進→尿酸産生増 | 清涼飲料水、果汁飲料 |
| アルコール(特にビール) | ATP消費増 + プリン体直接負荷 | ビール、発泡酒 |
これらの栄養面のリスクを把握したうえで生活指導を行う際、患者向けの資材や食品データベースを活用すると効率的です。日本痛風・尿酸核酸学会が提供する食品別プリン体含量表は、指導現場で使いやすい参考資料になります。
参考:果糖と尿酸産生の機序について(健康院クリニック)
https://www.kenkoin.jp/2025/04/22/2027/
プリン体を多く含む食品を食べていないにもかかわらず、高尿酸血症が改善しない患者がいます。そのような場合、ATP分解亢進が背景にある可能性を考える必要があります。
通常のエネルギー代謝では、ATPは使われても速やかに再合成されるため、AMP→尿酸への経路はほとんど動きません。ところが激しい無酸素運動(短距離ダッシュ・高強度筋トレ・サッカー・テニスなど)では、ATPの再合成が需要に追いつかなくなり、余剰のATPが分解されてAMP→ヒポキサンチン→尿酸の経路が一気に活性化されます。
この機序による尿酸値上昇は運動後一過性に生じますが、繰り返すことで慢性的な産生過剰型の一因になり得ます。適度な有酸素運動は尿酸値コントロールに有用ですが、強度の高い無酸素運動は逆効果です。これは運動習慣のある患者や若年男性の高尿酸血症を診る際、必ず確認したいポイントです。
また意外に見落とされやすいのが、甲状腺機能低下症による産生過剰です。甲状腺ホルモンが不足するとATP代謝が異常をきたし、尿酸産生が亢進することが知られています。2018年のガイドライン(第3版)でも「甲状腺機能低下症」が尿酸産生過剰型の二次性原因として明示されています。
甲状腺機能低下症そのものです。高尿酸血症を繰り返す患者でTSH・FT4のフォローが乏しい場合、一度甲状腺機能を確認することが有益です。
先天性筋原性高尿酸血症も同じくATP産生障害によるAMP分解亢進が原因ですが、これは若年発症の筋疾患として現れることが多く、稀ながら鑑別に挙げるべき疾患です。
参考:激しい運動と尿酸産生亢進の関係(高尿酸血症と運動療法・洪内科クリニック)
https://kohnaika.or.jp/diabetes/高尿酸血症と運動療法(その2)/
二次性の尿酸産生過剰型として、臨床上特に重要なのが造血器疾患を背景とする場合です。急性白血病・悪性リンパ腫・骨髄増殖性疾患・骨髄異形成症候群などでは、異常増殖した細胞が崩壊する際にプリン核酸が大量に放出され、血清尿酸値が急激に上昇します。
そのなかでも緊急対応が必要なのが腫瘍崩壊症候群(TLS:Tumor Lysis Syndrome)です。化学療法開始後12〜72時間以内に腫瘍細胞が急速に崩壊し、尿酸・カリウム・リンが血中に大量放出される状態で、急性腎不全や致死的な不整脈を引き起こします。TLSの死亡率は約40%とされており、予防的介入が不可欠です。
腫瘍崩壊症候群への対応は急務です。高リスク例(急性白血病・悪性リンパ腫など化学療法感受性の高い造血器腫瘍)では、化学療法開始前からラスブリカーゼやアロプリノールによる予防的尿酸管理と十分な輸液が必要になります。
また、遺伝性代謝疾患として重要なのがLesch-Nyhan症候群です。HGPRT(ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)の先天的欠損により、プリン体の再利用回路が機能せず過剰な尿酸が産生され続けます。乳幼児期からの発症で、自傷行為や神経学的症状を伴う場合は本症候群を念頭に置いた鑑別が求められます。
同様にホスホリボシルピロリン酸(PRPP)合成酵素亢進症も遺伝性のプリン核酸合成亢進疾患であり、若年性の高尿酸血症・尿路結石・痛風発作として発症します。
| 疾患カテゴリー | 代表的疾患 | 機序 |
|------|------|------|
| 遺伝性代謝疾患 | Lesch-Nyhan症候群、PRPP合成酵素亢進症 | プリン核酸合成・異化の亢進 |
| 造血器腫瘍 | 急性白血病、悪性リンパ腫 | 細胞崩壊によるプリン核酸放出 |
| 腫瘍崩壊症候群 | 化学療法後のTLS | 急速な腫瘍細胞崩壊 |
| その他 | 乾癬、溶血性貧血、横紋筋融解症 | 細胞回転亢進・組織崩壊 |
尿路結石の既往がある若年患者や、家族歴に痛風発症者が複数いる場合は、こうした遺伝性疾患を除外するための検査(HGPRT活性測定など)を検討する価値があります。
参考:代表的な尿酸産生過剰型二次性高尿酸血症(日本動脈硬化学会)
https://www.j-athero.org/chart2025/chart2025_qr10.pdf
原因不明の尿酸産生過剰型を見たとき、服薬歴の確認は欠かせないステップです。薬剤性の尿酸産生過剰は意外と頻度が高く、原疾患の治療薬が高尿酸血症を引き起こしているケースが一定数あります。
テオフィリンはキサンチン骨格を持つ気管支拡張薬で、プリン体の異化亢進を促すことが知られています。喘息・COPD患者に長期投与される薬剤であるため、これらの患者で尿酸値が高い場合は薬剤性を疑う視点を持つことが大切です。
ミゾリビンとリバビリンはIMPデヒドロゲナーゼ(IMPDH)を阻害することで、プリン代謝を乱し尿酸産生を増加させます。ミゾリビンは腎移植後の免疫抑制薬として使用され、リバビリンはC型肝炎治療薬として用いられることがあります。いずれも長期投与例では尿酸値のモニタリングが必要です。
また、抗腫瘍薬・イノシン製剤なども二次性高尿酸血症の薬剤リストに含まれています。一方、利尿薬(フロセミド・サイアザイド)や少量アスピリンは尿酸「排泄低下型」の薬剤性原因として知られており、産生過剰型とは機序が異なるため混同しないことが重要です。
薬剤性高尿酸血症の対応は「原因薬剤の変更・中止」が基本原則です。ただし原疾患の治療上やむを得ない場合は、病型分類に基づいた尿酸降下薬の追加を検討します。産生過剰機序による薬剤性であればXOR阻害薬が対応しやすい選択肢となります。
気をつけておくことがあります。薬剤変更が難しい状況では、担当科との連携のもとで薬物療法の方針を共有しておくと、患者管理がスムーズになります。
尿酸産生過剰型に対する薬物療法の原則は、XOR(キサンチン酸化還元酵素)阻害薬、すなわち尿酸生成抑制薬の使用です。現在日本で使用可能なXOR阻害薬は3種類です。アロプリノール、フェブキソスタット(フェブリク®)、トピロキソスタット(トピロリック®・ウリアデック®)が该当します。
アロプリノールはジェネリックも豊富で安価であり、腎機能が保たれている場合の選択肢として依然有用ですが、1日2〜3回の服用が必要で、腎機能低下時には減量が必要です。一方フェブキソスタットとトピロキソスタットは1日1回投与が可能で、胆汁排泄経路を持つため中等度腎機能低下患者にも減量不要で使えます。
ただし2022年の追補ガイドラインでは、従来の「病型に応じた薬剤選択」一辺倒の考え方に修正が入りました。腎外排泄低下型でも産生過剰型でも、腎への尿酸負荷が問題になる「腎負荷型」としてXOR阻害薬が広く推奨されるようになったのです。
これはかなり重要な変化です。以前は「産生過剰型→XOR阻害薬」「排泄低下型→排泄促進薬」という単純な二分法でしたが、ABCG2遺伝子多型による腎外排泄低下型は検査で区別できないうえ、尿路結石リスクがある場合には排泄促進薬が使いにくいという実態も背景にあります。
また、複数の合併症を持つ患者では、降圧薬のロサルタンが尿酸排泄促進作用を併せ持つため、高血圧合併例では積極的な選択肢になります。脂質異常症合併例ではフェノフィブラート、糖尿病合併例ではSGLT2阻害薬がそれぞれ尿酸降下作用を有することが知られており、合併症管理と高尿酸血症治療を一体的に考えることも重要な視点です。
全体の治療目標は血清尿酸値を6.0 mg/dL以下に維持することです。痛風結節を有する症例ではさらに厳格に5.0 mg/dL以下が目標とされます。尿酸降下薬は少量から開始して徐々に増量し、急激な尿酸値低下による痛風発作誘発を防ぐことも原則として守る必要があります。
参考:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 2022年追補版(Minds医療情報サービス)
https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf
参考:健康長寿ネット「高尿酸血症」(公益財団法人長寿科学振興財団)
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/shishitsuijoushou/konyosankessho.html

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