コニール(一般名:ベニジピン塩酸塩)は、膜電位依存性カルシウムチャネルのジヒドロピリジン(DHP)結合部位に特異的に結合し、細胞内へのカルシウム流入を減少させることで冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させます。この薬剤の最大の特徴は、L型、N型、T型のすべてのカルシウムチャネルを遮断できる唯一のカルシウム拮抗薬である点です。
参考)医療用医薬品 : コニール (コニール錠2 他)
ベニジピンは血管平滑筋の細胞膜に対する親和性が極めて高く、薬物血中濃度と相関することなく降圧作用が長時間持続する特性を持っています。DHP結合部位への結合性が強く、解離速度も非常に遅いため、作用の持続性を示します。この薬理学的特性により、血中濃度が低下しても薬効が維持されるため、1日1回の投与で24時間にわたる安定した降圧効果が得られます。
参考)https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=2171021F1024
コニールの詳細な薬理作用についてはKEGGデータベースで確認できます
コニールは高血圧自然発症ラットやDOCA-食塩高血圧ラット、腎性高血圧イヌに経口投与した際、作用の発現が緩徐で持続性の降圧作用が認められました。重要な点として、長期間投与においても耐性が生じないことが確認されています。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00005939.pdf
本態性高血圧症患者に1日1回経口投与した場合、血圧の日内変動に影響を及ぼさずに24時間にわたり安定した降圧効果を示すことが臨床試験で実証されました。高血圧症に対しては1日1回2〜4mgを朝食後に投与し、効果不十分な場合は1日1回8mgまで増量可能です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00055414.pdf
興味深いことに、正常血圧の狭心症患者20例に対する検討では、24時間血圧および昼間帯血圧の平均が投与前後でほぼ正常血圧の範囲内の変動にとどまり、過度の血圧低下を示さなかったことが報告されています。この血圧上昇は4mmHg程度で、狭心症状態の改善による身体活動能力の向上が一部関与したと推測されています。
参考)コニール
コニールは降圧作用に加えて、顕著な腎保護作用を示すことが複数の研究で確認されています。ベニジピン塩酸塩は腎性高血圧自然発症ラットに連続経口投与したとき、降圧作用を示すとともに腎機能を改善しました。本態性高血圧症患者に投与した場合、腎血流量の有意な増加が認められています。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056841.pdf
この腎保護作用のメカニズムには複数の経路が関与していると考えられています。L型カルシウムチャネルの遮断による腎血管拡張作用に加えて、N型カルシウムチャネル遮断による交感神経系の抑制が腎保護に寄与している可能性があります。さらに、T型カルシウムチャネル遮断作用により、糸球体内圧の調整や尿細管機能の改善が期待されます。
参考)薬のアレコレ その1 Ca拮抗剤 タグ一覧 NaNページ目|…
高血圧を伴った慢性腎不全患者においても、コニールは腎機能の改善効果を示すことが報告されており、腎実質性高血圧症も適応症として承認されています。
コニールは狭心症に対しても有効性が確認されており、実験的狭心症モデル(ラット)およびイヌ冠動脈結紮再灌流による心機能の低下、虚血性心電図変化を有意に改善しました。
労作性狭心症患者に対しても有効性が認められています。
狭心症の治療では、高血圧症とは異なり1日2回(1回4mg)を朝・夕食後に投与する用法が推奨されています。この用法設定の理由について、臨床試験で1日1回投与と1日2回投与を検討した結果、両方で効果が示されましたが、1日2回投与の方が有意差はないものの、自覚症状改善度、全般改善度、有用度が高く、安全性には差がないことが示されたためです。
脳血管性疾患への効果が良好であったことから、神経内科や脳外科を中心に使用されていた歴史もあります。冠攣縮性狭心症という心臓の血管が痙攣するタイプの狭心症にもベニジピンが推奨されています。
参考)カルシウム拮抗薬とは
コニールの効果を最大限に引き出すためには、適切な投与方法と患者管理が重要です。カルシウム拮抗剤の投与を急に中止すると症状が悪化した症例が報告されているため、休薬を要する場合は徐々に減量し、観察を十分に行う必要があります。患者には医師の指示なしに服薬を中止しないように注意することが大切です。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00055356.pdf
コニール錠4mgは分割しやすいSnap-Tap錠として設計されており、PTP状態のままで錠剤の表裏の向きに関係なく分割できるよう製剤設計されています。ただし、錠剤半切機には適用できないことがあり、均等に二分割できない場合があるため注意が必要です。
降圧作用に基づくめまいなどがあらわれることがあるため、高所作業や自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際には注意が必要です。また、過度の血圧低下を起こし、一過性の意識消失などがあらわれるおそれがあるため、そのような場合には減量または休薬するなど適切な処置を行います。
コニールを安全かつ効果的に使用するためには、薬物相互作用を理解することが不可欠です。グレープフルーツジュースとの併用は、肝臓における本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させるため、血圧が過度に低下することがあり注意が必要です。
降圧作用を有する薬剤との併用では、降圧作用が増強されるため血圧が過度に低下することがあります。
ジゴキシンとの併用では、カルシウム拮抗剤がジゴキシンの尿細管分泌を阻害し、血中ジゴキシン濃度を上昇させるため、ジギタリス中毒があらわれるおそれがあります。
参考)医療用医薬品 : コニール (相互作用情報)
シメチジンとの併用では、肝ミクロソームにおけるカルシウム拮抗剤の代謝酵素を阻害する一方で胃酸を低下させ、薬物の吸収を増加させるため、血圧が過度に低下するおそれがあります。
リファンピシンとの併用では、肝の薬物代謝酵素を誘導し、カルシウム拮抗剤の代謝を促進して血中濃度を低下させるため、降圧作用が減弱されるおそれがあります。
イトラコナゾールとの併用も、肝臓における本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、血圧が過度に低下することがあります。これらの相互作用を理解し、併用する際には適切なモニタリングと用量調整が求められます。
参考)https://www.qlife.jp/meds/rx8740/interact/
コニールの詳細な相互作用情報はこちらで確認できます
コニールの副作用として、主に肝機能異常、動悸、顔面紅潮、ほてり、血圧低下、頭痛、頭重、めまい、ふらつき、立ちくらみ、便秘などが報告されています。重大な副作用としては、肝機能障害(0.1%未満)や黄疸(頻度不明)があらわれることがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う必要があります。
参考)コニール錠4の効果・効能・副作用
循環器系の副作用としては、0.1〜5%未満の頻度で動悸、顔面紅潮、ほてり、血圧低下が報告されており、0.1%未満の頻度で胸部重圧感、徐脈、頻脈、頻度不明で期外収縮が報告されています。精神神経系では、0.1〜5%未満の頻度で頭痛、頭重、めまい、ふらつき、立ちくらみが、0.1%未満の頻度で眠気、しびれ感が報告されています。
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬にやや特有の副作用として、歯肉肥厚の報告があります(発現頻度不明)。発現機序は明らかではありませんが、カルシウム拮抗薬がコラーゲン分解の抑制に関与するためという説があり、副作用発現時の対処としては原因薬剤の中止あるいは変更が第一とされています。
浮腫(顔・下腿・手)やCK上昇も0.1〜5%未満の頻度で報告されており、その他にも耳鳴、手指の発赤・熱感、肩こり、咳嗽、頻尿、倦怠感、女性化乳房、結膜充血、霧視、発汗などが報告されています。過敏症としては発疹、そう痒感、光線過敏症があり、他のジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬を服用して光線過敏症が発現した場合、同じ系統のカルシウム拮抗薬間で交叉反応を示す可能性が示唆されているため、コニールの投与は避けた方がよいと考えられます。
コニールを特殊患者に投与する際には、患者の背景因子を考慮した適切な管理が必要です。
腎機能障害のある患者に投与する場合、特に用量を調節する必要はありませんが、透析による除去に関するデータはありません。ただし、コニールの蛋白結合率は98.46〜98.93%と高く、透析により除去されにくいと考えられます。
CAPD(持続的外来腹膜透析)施行中の患者では、透析排液が白濁することが報告されているため、腹膜炎等との鑑別に留意する必要があります。
妊娠・授乳に関しては、授乳婦に投与する場合、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討する必要があります。動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されており、分娩後14日目の授乳ラットに投与したところ、乳汁中濃度は母体血漿中濃度と同様に推移し、投与後1時間で最高値を示しました。
高齢者に対しては、一般に過度の降圧は好ましくないとされており、低用量から開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与することが推奨されます。
コニールは他のカルシウム拮抗薬と比較して、いくつかの独自の特徴を持っています。最も重要な特徴は、L型、N型、T型すべてのカルシウムチャネルを遮断できる唯一のカルシウム拮抗薬である点です。多くのカルシウム拮抗薬がL型のみ、またはL型とN型の組み合わせを遮断するのに対し、コニールの3種類すべてのチャネル遮断作用は臓器保護作用において優位性をもたらす可能性があります。
参考)http://www.eonet.ne.jp/~jyunkankiyakuzai/handout/3.pdf
半減期は1〜2時間と比較的短いものの、血管平滑筋細胞膜への高い親和性により、1日1回投与で24時間の降圧効果が維持されます。ただし、臨床現場では半減期が短いイメージから、高血圧症に対しても1日2回に分割服用が行われることがあります。
ニフェジピンCRやアムロジピンと比較すると、コニールは脳血管性疾患への効果が良好であったことから、神経内科や脳外科を中心に使用されていた歴史があります。また、腎保護作用や腎血流量増加作用が他のカルシウム拮抗薬と比較して顕著である点も特徴的です。
薬物動態の面では、最高血中濃度到達時間(tmax)は約1時間と比較的速く、2mg投与時のCmaxは0.55±0.41ng/mL、4mg投与時は2.25±0.84ng/mL、8mg投与時は3.89±1.65ng/mLと用量依存的に増加します。
コニールの臨床的有用性は多くの臨床試験で実証されています。本態性高血圧症に対する臨床試験では、1日1回投与で血圧の日内変動に影響を及ぼさずに24時間にわたり安定した降圧効果を示しました。狭心症に対する臨床試験では、自覚症状改善度、全般改善度、有用度が評価され、1日2回投与の有効性が確認されています。
腎保護作用に関しては、高血圧を伴った慢性腎不全患者において腎機能改善効果が報告されており、腎実質性高血圧症も適応症として承認されています。本態性高血圧症患者に投与した際の腎血流量の有意な増加も確認されています。
最近の研究では、カルシウムチャネルの構造解析により、ベニジピンがCaV1.2チャネルのS6^II^、S6^III^、S6^IV^ヘリックスで構成されるポケットに結合し、広範な疎水性相互作用を形成することが明らかにされています。この構造生物学的知見は、ベニジピンの強力な結合親和性と長時間作用の分子機構を裏付けています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10981686/
また、ベニジピンのミネラルコルチコイド受容体拮抗作用による臓器保護作用と利尿作用の機序解析も進められており、腎保護作用の多面的なメカニズムが解明されつつあります。これらの最新知見は、コニールの臨床応用の幅を広げる可能性を示唆しています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/c29afab705c17f57d75a6f3b6645ad9234bbab82

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