ピルフェニドン効果と作用機序、副作用、治療期間の最新知見

特発性肺線維症治療に使用されるピルフェニドンの効果と作用機序、臨床効果、副作用対策、治療期間について医療従事者向けに詳しく解説します。最適な治療継続のポイントをご存じですか?

ピルフェニドンの効果と作用機序

ピルフェニドンの主要な効果
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抗線維化作用

TGF-βの産生抑制とコラーゲン産生抑制により肺の線維化進行を抑制します

💊
抗炎症作用

炎症性サイトカインの産生抑制と抗炎症性サイトカインの産生亢進により炎症を制御します

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臨床効果

FVC低下率を約50%抑制し、無増悪生存期間を延長させる効果が確認されています

ピルフェニドンの分子レベルでの作用機序

 

 

ピルフェニドンは5-メチル-1-フェニル-2-(1H)-ピリドンという化学構造を持つ低分子化合物であり、複数の分子標的に作用することで抗線維化効果を発揮します。その作用機序は完全には解明されていませんが、主要なメカニズムとして形質転換増殖因子β(TGF-β)の産生抑制と活性化阻害が中心的な役割を果たしています。

 

参考)ピルフェニドン(ピレスパ) href="https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/pirfenidone/" target="_blank">https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/respiratory-medicine/pirfenidone/amp;#8211; 呼吸器治療薬 -…

TGF-βは線維化のプロセスにおいて重要な役割を担う増殖因子であり、ピルフェニドンはこのTGF-βの産生と活性を抑制することで線維芽細胞の増殖や細胞外マトリックスの過剰な蓄積を防ぎます。さらに、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6等)の産生抑制と抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生亢進を示し、Th2型への偏りの改善に寄与します。

 

参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056029.pdf

この薬剤の特徴は単一の標的に作用するのではなく、線維化や炎症に関与する複数の生体物質に対して産生調節作用を有する点にあります。具体的には、線維化形成に関与する増殖因子(TGF-β1、b-FGF、PDGF)の産生抑制作用、線維芽細胞増殖抑制作用、コラーゲン産生抑制作用といった複合的な作用に基づき抗線維化効果を示すと考えられています。

 

参考)抗線維化薬ピルフェニドン(ピレスパhref="https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/" target="_blank">https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/lt;suphref="https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/" target="_blank">https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/gt;href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/" target="_blank">https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/amp;reg;href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/" target="_blank">https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/134/2/134_2_97/_article/-char/ja/lt;/s…

酸化ストレスの軽減作用も報告されており、これらの多面的な作用により肺組織における線維化のプロセスを複数の経路から抑制することが可能となっています。動物実験では各種線維化疾患モデルで各臓器における明らかな線維化の減少と機能低下の抑制が認められており、in vitroでは線維芽細胞の増殖やコラーゲンの合成を阻害し、線維化の細胞組織学的マーカーを低下させることが明らかにされています。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3968083/

ピルフェニドンの臨床効果と評価指標

ピルフェニドンの臨床効果は主に特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした大規模臨床試験で評価されており、肺機能の低下速度の抑制や急性増悪リスクの低減などの効果が報告されています。特に重要な評価項目として、努力肺活量(FVC)の年間低下率の抑制があり、臨床試験ではFVC低下率を約50%抑制する効果が確認されています。

 

参考)ピルフェニドン、特発性肺線維症の肺機能低下の抑制効果が明らか…

CAPACITY試験では、ピルフェニドンが特発性肺線維症患者の肺機能低下を抑制し、適切な治療選択肢であることを示唆するデータが示されました。この試験では、FVCの予測値に対する割合が10パーセントポイント以上絶対的に低下した患者、あるいは死亡した患者の割合がプラセボ群と比較して47.9%相対的に減少しました。

 

参考)特発性肺線維症患者におけるピルフェニドンの第 3 相試験 |…

6分間歩行距離の維持や無増悪生存期間の延長も確認されており、6分間歩行距離の減少が抑制され(P=0.04)、無増悪生存期間が改善した(P<0.001)という結果が報告されています。事前に規定した先行する2つの第3相試験の結果を組み込んだプール解析では、全死因死亡(P=0.01)と特発性肺線維症による死亡(P=0.006)について、ピルフェニドンのほうが良好であることを示す有意差が群間に認められました。​
二次的な効果として、咳嗽などの呼吸器症状の改善や健康関連QOLの維持も報告されています。これらの効果は長期的な治療継続により維持されることが示唆されており、早期からの治療開始が重要とされています。治療開始後6ヶ月から12ヶ月の時点での効果判定が大切で、効果が不十分な際には治療方針の見直しが検討されます。​
実臨床での研究では、3年生存率が73%と高い結果が報告されており、ピルフェニドンは1年間で全死因死亡のリスクを48%減少させ、IPFによる治療中の死亡リスクを1年間で68%減少させました。低用量のピルフェニドン(1200mg/日未満)でも、FVCの年間変化量がコントロール群の-200.7mLに対し、-88.4mLと改善効果が認められ、高用量群(1200mg/日以上)の-94.7mLと同等の効果を示しました。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6251092/

ピルフェニドンの細胞レベルでの効果

ピルフェニドンの作用は細胞レベルで様々な効果をもたらし、肺組織における線維化の進行抑制に寄与します。主要な細胞レベルでの効果として、線維芽細胞の増殖抑制と筋線維芽細胞への分化阻害が挙げられます。線維芽細胞は線維化の中心的な役割を担う細胞であり、この細胞の増殖を抑制することで過剰なコラーゲンの産生を防ぐことができます。​
炎症性細胞の活性化抑制も重要な効果の一つであり、炎症反応の過剰な進行を防ぐことで組織障害を軽減します。上皮細胞のアポトーシス抑制作用により、肺胞上皮細胞の損傷を防ぎ、正常な肺構造の維持につながることが期待されます。

 

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/7/99_1542/_pdf

ピルフェニドンの作用機序を図示した文献によると、肺傷害から線維化に至る複数の点で作用が発揮されます。具体的には、炎症の段階でのサイトカイン産生調節作用、Th1/Th2バランスの修正、増殖因子に対する作用、コラーゲン産生抑制、線維芽細胞増殖抑制といった多段階での効果が示されています。​
細胞レベルでのこれらの多面的な作用が組織レベルでの線維化抑制効果につながっていると考えられており、単一の経路を標的とする薬剤と比較して、より包括的な抗線維化効果を発揮する可能性があります。動物モデルでは、ピルフェニドンが抗炎症、抗線維化、抗酸化活性を示し、TGF-β1、TNF-α、bFGF、IFN-γ、IL-1β、IL-18などのサイトカインや成長因子の調整因子であることが示されています。​

ピルフェニドン治療における独自の予後予測因子

ピルフェニドン治療を受けるIPF患者の予後は様々な因子によって影響を受け、治療効果の個人差を理解する上で重要です。主な予後予測因子として、治療開始時の年齢と肺機能が挙げられ、若年で軽度の肺機能低下を有する患者ほど良好な予後が期待できます。​
治療への早期反応性、特に6ヶ月時点でのFVC変化は予後予測において重要な指標となります。初期の6ヶ月間でFVCの低下が抑制された患者では、長期的な治療効果も良好である傾向が報告されています。併存症の有無と重症度も予後に大きく影響し、肺高血圧症や肺気腫を合併している患者では予後が不良となる可能性があります。​
あまり知られていない予後予測因子として、急性増悪の既往の有無が挙げられます。過去に急性増悪を経験した患者では、その後の予後が不良となるリスクが高く、より慎重な経過観察が必要です。治療アドヒアランスも重要な因子であり、服薬遵守率が高い患者ほど良好な治療効果が得られることが報告されています。​
さらに、喫煙歴も予後に影響を与える因子として注目されています。喫煙はピルフェニドンの代謝を促進し、血中濃度を50%以上低下させる可能性があるため、喫煙者では治療効果が著しく減弱する可能性があります。体重変化も重要な予後指標であり、治療中の有意な体重減少は栄養状態の悪化を示唆し、予後不良と関連する可能性があります。​
ピルフェニドンの血中濃度と効果の関係についても研究が進められており、適切な血中濃度を維持することが治療効果の最大化につながることが示唆されています。光線過敏症や食欲不振、胃不快感といった副作用は血中濃度と関連すると考えられており、血中濃度が高くなる空腹時の服用を避けることが推奨されています。

 

参考)https://wellness.shionogi.co.jp/content/dam/wellness/ja/ipf/prescribe/assets/pdf/PRS-C-0001_V03.pdf

ピルフェニドンの投与方法と用量設定の実際

ピルフェニドンは経口投与で使用される薬剤であり、通常成人には初期用量1回200mgを1日3回(1日600mg)食後に経口投与し、患者の状態を観察しながら1回量を200mgずつ漸増し、1回600mg(1日1800mg)まで増量します。この漸増期間は副作用の発現リスクを軽減するために重要であり、通常2週間かけて段階的に増量することが推奨されています。

 

参考)医療用医薬品 : ピルフェニドン (ピルフェニドン錠200m…

投与方法の詳細として、1週目は1日400mg(200mg×2回)、2週目は1日600mg(200mg×3回)、3週目以降は1日1800mg(600mg×3回)という増量スケジュールが一般的です。増量のペースは個々の患者の状態や忍容性に応じて調整されることがあり、副作用の発現状況によっては増量を遅らせることも検討されます。​
服用時の重要な注意点として、必ず食後に服用することが挙げられます。空腹時の服用は吸収が悪く、副作用のリスクが高まるため避けるべきです。規則正しく服用し、飲み忘れた時は気づいたときにすぐに服用することが推奨されますが、次の服用時間が近い場合は飛ばして次の通常の時間に1回分を服用し、絶対に2回分を一度に服用しないよう注意が必要です。

 

参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00006804.pdf

生活上の注意点として、日光暴露を避けること(光線過敏症のリスクがある)、喫煙を避けること(喫煙は薬物代謝を促進し効果を減弱させる)が重要です。外出する際には、長袖を着る、帽子や日傘を使用する、日焼け止め(SPF50+、PA+++)を使用するなどして、極力紫外線を浴びないように注意する必要があります。

 

参考)ピルフェニドン(ピレスパⓇ)にはどのような副作用がありますか…

長期使用時のモニタリングとして、定期的な肝機能検査(少なくとも月1回)、腎機能の経時的評価、皮膚症状の定期的なチェック、体重変化のモニタリング、呼吸機能検査(FVCなど)の定期的な実施(3-6ヶ月毎)が求められます。​

ピルフェニドンの副作用と注意点

ピルフェニドンの消化器系副作用と対策

ピルフェニドンの使用に伴う最も頻度の高い副作用は消化器系の症状であり、患者のQOLに大きく影響を与える可能性があります。特に悪心や食欲不振は患者の30-40%程度に発現するとされ、治療の継続に影響を与えることがあります。下痢や腹痛などの症状も比較的高頻度に認められ、これらの消化器症状は投与開始後比較的早期に出現することが多く、症状のマネジメントが治療継続の鍵となります。​
国内で実施された臨床試験において、頻度の多いものとして光線過敏症、食欲不振、胃不快感、胸やけ、吐き気、倦怠感、眠気、γ-GTPの上昇などが認められました。消化器系副作用の対策として、食後の確実な服用が最も重要であり、空腹時の服用を避けることで副作用の発現頻度を低減できます。

 

参考)服用中にご注意いただきたいこと|特発性肺線維症(IPF)治療…

制吐薬の併用や分割投与の検討も有効な対策となる場合があり、症状が持続する場合には一時的な減量や休薬を検討することも必要です。長期的な栄養状態の低下や体重減少にも注意が必要であり、定期的な体重測定と栄養評価が大切です。患者への服薬指導では、食事内容の工夫(脂肪分の少ない食事を選ぶなど)や、水分摂取の励行なども有効な助言となります。​

ピルフェニドンの皮膚関連副作用の管理

ピルフェニドンによる皮膚関連の副作用は患者の生活に大きな影響を与える可能性がある重要な問題であり、特に光線過敏症は注意を要する副作用の一つです。光線過敏症の発現頻度は10-20%とされており、適切な日光防御策を講じない限り屋外活動が制限される場合があります。​
光線過敏症以外にも発疹や掻痒感などの皮膚症状が報告されており、患者の約20-30%に何らかの皮膚関連の副作用が認められるとされています。これらの皮膚症状の特徴として、投与開始後数週間以内に発現することが多い、顔面や手背など露出部位に好発する、日光暴露後数時間以内に症状が出現するといった点が挙げられます。​
皮膚症状の管理において、予防的なアプローチが最も重要です。具体的には、長袖を着る、帽子や日傘を使用する、SPF50+、PA+++の日焼け止めを使用するなど、極力紫外線を浴びないように注意する必要があります。長時間の外出を避け、特に紫外線の強い10時から14時の時間帯は屋外活動を控えることが推奨されます。​
症状が発現した場合の対策として、ステロイド外用薬の使用や抗ヒスタミン薬の内服が有効な場合があります。重症化した際は投与中止を検討する必要がありますが、適切な予防策と早期対応により、多くの症例で管理可能とされています。​

ピルフェニドンによる肝機能障害の早期発見と対応

ピルフェニドンによる肝機能障害は比較的高頻度に認められる副作用の一つであり、主にAST、ALT、γ-GTPなどの肝酵素上昇として現れます。重症例では黄疸や肝不全に至る可能性もあるため、定期的なモニタリングが不可欠です。臨床試験では約4-5%の患者で肝酵素上昇が報告されており、投与開始後3-6ヶ月以内に発現することが多いとされています。​
肝機能障害のリスク因子として、高齢(65歳以上)、低体重(特に体重50kg未満)、既存の肝疾患の合併が知られています。重大な副作用として肝臓の障害(頻度不明)、黄疸(0.4%)が報告されており、倦怠感、白目や皮膚が黄色くなる、かゆみなどの症状に注意が必要です。​
肝機能障害の早期発見のため、投与開始前の肝機能検査(AST、ALT、γ-GTPなど)の実施が必須であり、投与開始後は少なくとも月1回の定期的な肝機能検査が推奨されます。基準値上限の3倍以下であることが投与継続の目安とされています。肝酵素値が基準値上限の3倍を超えた場合は、減量または休薬を検討し、肝酵素値が正常化した後に慎重に再開を検討します。​
患者への指導として、倦怠感、食欲不振、黄疸などの症状が現れた場合は速やかに医療機関に連絡するよう説明することが重要です。肝毒性を有する他の薬剤との併用時には特に注意が必要であり、肝機能検査の頻度を増やすなど慎重なモニタリングが必要となります。​

ピルフェニドンのその他の副作用とリスク管理

ピルフェニドンの使用に伴うその他の副作用として、倦怠感や疲労感(15-20%程度に発現)、めまいや頭痛(10-15%程度に発現)、体重減少、睡眠障害(不眠や傾眠)が報告されています。眠気の副作用が出ることがあるため、服用中は自動車の運転やその他危険を伴う機械の操作は避けるべきです。​
重大な副作用として、無顆粒球症、白血球減少、好中球減少(いずれも頻度不明)が報告されており、これらの血液学的異常についても注意が必要です。投与中止に至った主な副作用として、1800mg/日群では特発性肺線維症の急性増悪4例、光線過敏性反応(光線過敏症)3例、発熱2例、1200mg/日群では光線過敏性反応(光線過敏症)2例が報告されています。

 

参考)会員ログイン

長期使用に伴う潜在的なリスクとして、骨代謝への影響(骨折リスクの増加)、心血管系イベントのリスク、腎機能への影響が懸念されています。これらの副作用やデメリットは患者のQOLに大きな影響を与える可能性があるため、十分な説明と継続的なモニタリングが重要です。​
副作用管理において、症状に応じた対症療法の実施、定期的な全身状態の評価、患者教育による早期発見体制の構築が重要です。気になる症状があれば、すぐに医師・薬剤師へ連絡するよう患者に指導することが大切です。​

ピルフェニドンの併用禁忌と薬物相互作用

ピルフェニドンは主にCYP1A2で代謝されるため、CYP1A2に影響を与える薬剤との併用には注意が必要です。強力なCYP1A2阻害薬との併用は避けるべきであり、特にフルボキサミン抗うつ薬)との併用ではピルフェニドンの血中濃度が4倍以上上昇する可能性があります。​
その他の注意すべきCYP1A2阻害薬として、エノキサシン(抗菌薬)、シプロフロキサシン(抗菌薬)があり、シプロフロキサシンとの併用では血中濃度が1.5-2倍上昇する可能性があります。これらの薬剤との併用が必要な状況では、ピルフェニドンの投与量調整や代替薬の検討が必要となります。​
逆に、CYP1A2誘導薬との併用ではピルフェニドンの血中濃度が低下して治療効果が減弱する可能性があります。代表的なCYP1A2誘導薬として、オメプラゾールプロトンポンプ阻害薬)では血中濃度が20-30%低下し、リファンピシン抗結核薬)、喫煙(タバコに含まれる多環芳香族炭化水素)では血中濃度が50%以上低下する可能性があります。​
肝毒性を有する薬剤(アセトアミノフェン高用量、メトトレキサート、イソニアジド、バルプロ酸)との併用では肝機能障害のリスクが増大する可能性があり、肝機能検査の頻度を増やすなど慎重なモニタリングが必要です。光感受性を増強する薬剤(テトラサイクリン抗生物質、フルオロキノロン系抗菌薬、スルホニル尿素系経口血糖降下薬、チアジド利尿薬)との併用では、重度の光線過敏反応のリスクが高まる可能性があります。​

ピルフェニドンの治療期間と効果継続

ピルフェニドンの治療期間設定の考え方

ピルフェニドンによる特発性肺線維症(IPF)の治療は長期的な継続が基本となり、IPFが慢性進行性の疾患であることを考慮すると、治療の中断は病態の悪化につながる可能性があるため原則は継続的な投与が推奨されます。臨床試験では52週間の投与期間で有効性が示されていますが、実臨床では症状の安定や進行抑制が得られている限り長期的な投与が行われることが一般的です。​
特発性肺線維症の診断後の平均生存期間は3〜5年といわれており、急性増悪後の平均生存期間は2カ月以内という予後不良な疾患です。わが国で実施された疫学研究で、IPFの生存期間中央値は35ヵ月と予後不良であり、その死因の多くは急性増悪・疾患進行に伴う呼吸不全とされています。

 

参考)特発性肺線維症

治療期間は個々の患者の病態進行速度や副作用の発現状況によって調整されることがあり、短期(〜52週)は臨床試験での評価期間、中期(1-3年)は実臨床での一般的期間、長期(3年以上)は個別判断で継続されます。2008年10月に世界に先駆けて本邦で承認されたピルフェニドンは、本邦で行われた第Ⅲ相臨床試験において有意な進行抑制効果が示されました。

 

参考)IPFの臨床試験を考える (呼吸と循環 61巻7号)

ピルフェニドンの治療効果評価基準と継続判断

ピルフェニドンの治療効果は定期的に評価され、継続の是非が判断されます。主な評価項目として、努力肺活量(FVC)の経時的変化、呼吸困難感や咳などの自覚症状の変化、画像所見(胸部CT)での線維化病変の進行状況、運動耐容能(6分間歩行距離など)の変化、急性増悪の頻度が挙げられます。​
良好な反応の目安として、FVC低下率が年間150mL未満に抑えられている、画像所見で線維化進行の停滞が認められる、急性増悪の発生頻度が低下しているといった点が考慮されます。一般的にはFVCの低下が年間150mL未満に抑えられている症例では期待される効果が得られていると判断されることが多いです。​
国内臨床試験では、漸増期間4週間と治療期間48週間で設定され、ピルフェニドンが投与された安全性評価対象例43例を対象に術前における評価が行われました。期間中においてもピルフェニドン1800mg/日投与群がプラセボより有意に無増悪生存期間が延長したことが示されています。

 

参考)会員ログイン

治療効果の判定時期として、治療開始後6ヶ月から12ヶ月の時点での評価が重要であり、この時点で効果が不十分な場合には治療方針の見直しが検討されます。長期観察研究では、治療継続により3年生存率が73%と高い結果が報告されており、長期的な効果の持続性が示唆されています。​

ピルフェニドン治療中止後の経過と再開基準

ピルフェニドンの治療中止後の経過については慎重な観察が必要であり、中止理由として副作用の持続や重症化、患者の希望、病態の進行による効果減弱、他の重篤な併存症の出現が考えられます。治療中止後はIPFの進行が加速する可能性があるため、綿密なフォローアップが重要となります。​
経過観察で特に注意するのは、FVCの急激な低下、呼吸困難感の増悪、急性増悪の発症リスク上昇といった点です。中止後の注意点として、FVC変化については3-6ヶ月毎に評価し、急性増悪については〜1年間の観察が推奨されます。中止後に病態の急速な悪化が認められた際には再投与や他の治療法への変更が検討されることがあります。​
再開基準として、副作用が改善し忍容性が確認された場合、病態の進行が認められる場合、患者の希望がある場合などが考慮されます。再開時には初回投与時と同様に漸増期間を設けることが推奨され、副作用の再発リスクを最小限にするための慎重なアプローチが必要です。

 

ピルフェニドン無効例における代替治療戦略

ピルフェニドンが十分な効果を示さない特発性肺線維症(IPF)患者に対してニンテダニブが代替治療薬として考慮されることがあります。ニンテダニブはチロシンキナーゼ阻害薬であり、血小板由来成長因子受容体・血管内皮増殖因子受容体・線維芽細胞増殖因子受容体などを同時に阻害することで抗線維化作用を発揮します。​
作用機序はピルフェニドンとは異なるためピルフェニドン不応例でも効果が期待できる可能性があり、商品名オフェブとして1回150mg、1日2回の投与が行われます。主な副作用として下痢や肝機能障害が知られています。ピルフェニドンからニンテダニブへの切り替えに際しては短期間の休薬期間を設けることが多いですが、個々の患者の状態に応じて判断されます。​
その他の抗線維化作用を期待される薬剤として、ペントキシフィリン(微小循環改善)、N-アセチルシステイン(酸化ストレス軽減)、ラパマイシン(細胞増殖抑制)が研究されています。これらの薬剤は単独使用よりも既存の抗線維化薬との併用で効果が期待されることが多いですが、有効性と安全性については更なる研究が必要とされています。​
非薬物療法の併用も重要であり、酸素療法(低酸素血症の改善)、呼吸リハビリテーション(運動耐容能の維持)、栄養療法(全身状態の改善)などが検討されます。特に進行期のIPF患者では包括的なアプローチが重要であり、多職種による連携したケアが求められます。​
特発性肺線維症患者におけるピルフェニドンの第3相試験結果(NEJM日本語版)
ピルフェニドンの薬理学的特徴と臨床効果の詳細(日本薬理学雑誌)