トリグリセリドリパーゼ阻害薬の種類と一覧

トリグリセリドリパーゼ阻害薬は脂肪吸収を抑制する新しい治療選択肢として注目されています。オルリスタットやセチリスタットなど、各薬剤の特徴や適応、副作用について詳しく解説します。臨床現場でどのように活用していけば良いのでしょうか?

トリグリセリドリパーゼ阻害薬の種類と一覧

トリグリセリドリパーゼ阻害薬の概要
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作用機序

膵リパーゼを阻害して脂肪の消化・吸収を抑制

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主要薬剤

オルリスタット(アライ)、セチリスタット(オブリーン)

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適応症

肥満症治療および内臓脂肪減少

トリグリセリドリパーゼ阻害薬の作用機序と特徴

トリグリセリドリパーゼ阻害薬は、食事由来の脂肪の消化・吸収過程において重要な役割を果たす膵リパーゼを選択的に阻害する薬剤群です。

 

正常な脂肪消化過程では、食事中のトリグリセリドが膵臓から分泌されるリパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解され、その後腸管から吸収されます。トリグリセリドリパーゼ阻害薬は、この重要な酵素反応を阻害することで、摂取した脂肪の約25~30%を消化・吸収されないまま便として排出させます。

 

これらの薬剤は、従来の中枢作用型肥満治療薬とは異なり、消化管内で局所的に作用するため、全身への影響が比較的少ないという特徴があります。また、体内への吸収も限定的であることから、薬物相互作用のリスクも低く抑えられています。

 

脂質代謝に対する効果として、LDLコレステロールの低下、拡張期血圧の改善、空腹時血糖値の低下なども報告されており、単純な体重減少効果にとどまらない包括的な代謝改善効果が期待されています。

 

オルリスタット(アライ)の薬理作用と適応

オルリスタット(商品名:アライ)は、2024年4月8日に日本で発売された要指導医薬品で、内臓脂肪減少薬として位置づけられています。この薬剤は、膵リパーゼ、胃・舌リパーゼ、カルボキシルエステルリパーゼなど、様々なトリアシルグリセロールリパーゼに対して強力な阻害作用を示します。

 

特に膵リパーゼに対するIC50値は0.81μg/mLと非常に低く、強力かつ選択的な阻害効果を発揮します。この阻害作用により、摂取した脂肪の約25%が未消化のまま排出され、1日あたり約110kcalの摂取カロリー減少効果が期待されます。

 

オルリスタットの適応対象は、18歳以上で腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上、BMI25以上35未満の方に限定されています。重要な点として、以下の肥満関連健康障害を有する方は使用できません。

  • 耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常)
  • 脂質異常症(高脂血症)
  • 高血圧症
  • 尿酸血症(痛風を含む)
  • 冠動脈疾患
  • 脳梗塞または一過性脳虚血発作
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
  • 月経異常または女性不妊
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
  • 運動器疾患
  • 肥満関連腎臓病

購入には薬剤師との対面相談が必要で、3ヶ月以上の生活習慣改善への取り組みや体重・腹囲の記録などの条件を満たす必要があります。

 

セチリスタット(オブリーン)の臨床応用

セチリスタット(商品名:オブリーン)は、オルリスタットと同様にリパーゼ阻害作用を有する肥満症治療薬として開発されました。この薬剤は、2型糖尿病および脂質異常症を共に有し、食事療法・運動療法を行ってもBMIが25kg/m²以上の肥満症患者に適応を有していました。

 

セチリスタットの作用機序は、主に膵臓から分泌されるリパーゼを阻害することにより、脂質の分解を阻害して腸管からの脂質の吸収を抑制するものです。この作用により、トリグリセリドやLDLコレステロールの低下、血圧の低下、インスリン抵抗性改善作用も示すことが確認されています。

 

しかしながら、セチリスタットは2013年に製造販売承認を取得したものの、有効性と保険医療上の必要性が乏しいと判断され、公的薬価を付けることが保留となり、最終的に日本では発売されませんでした。この経緯は、肥満治療薬の開発における医療経済性の重要性を示す事例として注目されています。

 

オブリーンの開発中止は、類似薬であるオルリスタットが「肥満症治療薬」ではなく「肥満治療薬(内臓脂肪減少薬)」として市販薬での販売を目指した背景にもなっています。

 

トリグリセリドリパーゼ阻害薬の副作用と注意点

トリグリセリドリパーゼ阻害薬の副作用は、主にその薬理作用に由来する消化器症状が中心となります。オルリスタットの国内臨床試験では、以下の副作用が高頻度で報告されています。
🔸 消化器系副作用

  • 肛門からの油の漏れ:20.0~34.2%
  • おなら(放屁)をすると便がもれる:21.0~23.3%
  • 便失禁:4.0~6.7%
  • 下痢や脂肪便の発現

これらの副作用は、摂取した脂肪の一部を便に排泄する薬理作用の直接的な結果であり、特に脂質摂取量が多い場合により顕著に現れます。患者には、脂質摂取のバランスを考慮した食生活の改善が必要であることを十分に説明する必要があります。

 

🔸 その他の副作用

「無意識のうちに自分ではコントロールできずに油や便がでる」「おならをすると便や油がもれる」といった副作用は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、患者のQOLを十分に考慮した処方判断が重要です。

 

医療従事者としては、これらの副作用について患者に事前に十分な説明を行い、適切な生活指導を併せて実施することが求められます。

 

脂質異常症治療における位置づけと今後の展望

トリグリセリドリパーゼ阻害薬は、従来の脂質異常症治療薬とは異なるアプローチを提供する治療選択肢として位置づけられます。従来の治療体系では、以下のような薬剤が中心的役割を果たしています。
🔸 従来の脂質異常症治療薬

これらの薬剤が主に血中脂質濃度の改善を目的とするのに対し、トリグリセリドリパーゼ阻害薬は脂肪の吸収そのものを阻害するという根本的に異なるメカニズムを有しています。

 

オルリスタットがLDLコレステロール値を下げる効果を有することから、境界域高LDLコレステロール血症(LDLコレステロールが120~139mg/dL)を伴う肥満患者において、従来の脂質異常症治療薬との併用療法の可能性も検討されています。

 

🔸 将来的な展望

  • ANGPTL3阻害薬(エビキューザ)などの新規脂質降下薬との併用効果の検証
  • 個別化医療に基づく適応患者の選定基準の確立
  • 長期的な心血管イベント抑制効果のエビデンス蓄積
  • より副作用の少ない新規リパーゼ阻害薬の開発

予防医学の観点から、肥満および脂質異常症の早期介入ツールとしてのトリグリセリドリパーゼ阻害薬の役割は今後さらに重要性を増すと考えられます。ただし、その効果は比較的限定的であるため、食事療法・運動療法を基盤とした包括的な生活習慣改善プログラムの一環として位置づけることが重要です。

 

厚生労働省の薬事承認動向や各種ガイドラインの更新を注視しながら、エビデンスに基づいた適切な使用法の確立が求められています。

 

薬事関連情報について詳細を確認したい場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公式サイトで最新の審議結果報告書を参照することをお勧めします。

 

PMDA:医薬品医療機器総合機構

 

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