バレリンとデパケンの違いを徹底解説

バレリンとデパケンはどちらもバルプロ酸ナトリウム製剤ですが、剤型や保管性に違いがあります。医療従事者として正しく理解し使い分けていますか?

バレリンとデパケンの違い

📋 この記事のポイント
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両剤の基本的な共通点

バレリンとデパケンは共に有効成分がバルプロ酸ナトリウムであり、てんかん・躁病・片頭痛の治療に使用される

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製造販売元の違い

デパケンは協和キリン(現在は日医工に承継)、バレリンは大日本住友製薬が製造販売している

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吸湿性と保管の注意点

バレリン錠は吸湿性が高く一包化調剤が困難、デパケンR錠は徐放性で防湿効果があり一包化が可能

バレリンとデパケンの基本情報と成分

 

 

バレリンとデパケンは、どちらも有効成分としてバルプロ酸ナトリウムを含む抗てんかん薬です。バルプロ酸ナトリウムは、脳内の神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)の濃度を上昇させることで、てんかん発作を抑制します。さらに、電位依存性ナトリウムチャネルとT型カルシウムチャネルをブロックすることで、神経細胞の過剰な興奮を抑える作用も持っています。cocorone-clinic+4
両剤とも、各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作)およびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療、片頭痛発作の発症抑制に適応があります。通常、てんかんや躁状態の治療では1日400~1,200mg、片頭痛の予防では1日400~800mg(最大1,000mg)を使用します。有効血中濃度は40~120μg/mLとされており、定期的な血中濃度モニタリングが推奨されています。image.packageinsert+3
これらの薬剤は同一成分を含むため、基本的な薬理作用や適応症は共通していますが、製剤としての特性や製造販売元に違いがあります。nihs+1

バレリンの製剤的特徴と注意点

バレリンは大日本住友製薬が製造販売する先発医薬品であり、現在の製品名は「バルプロ酸ナトリウムシロップ"DSP"」として販売されています。バレリン錠100mgと200mgは、水に極めて溶けやすい性質を持つ一方で、吸湿性が非常に高いという特徴があります。38-8931+3
この吸湿性の高さが、実務上の大きな注意点となります。バレリン錠は開封後に湿気を吸収しやすく、一包化調剤すると数ヶ月後に湿気を吸ってボロボロになる可能性があります。そのため、服用直前までPTPシートから取り出さないこと、PTPシートを破損しないよう保存することが重要です。実際の調剤現場では、一包化調剤が必要な患者には、後発医薬品や徐放剤への変更を検討することが推奨されます。note+2
バレリンシロップは無色で甘みがあり、シロップ製剤として小児や嚥下困難な患者に使用されます。錠剤が一包化できない場合の代替手段として、シロップ製剤や細粒を選択することも可能です。vetswan+1

デパケンとデパケンR錠の製剤学的違い

デパケンは協和キリンが製造販売していましたが、2025年6月に日医工に製造販売承認が承継されました。デパケンには普通錠とデパケンR錠(徐放錠)があり、この2つの製剤には重要な違いがあります。mixonline+3
普通錠のデパケンは、最高血中濃度到達時間(Tmax)が空腹時で約0.7時間、食後で約3.5時間と、吸収速度が食事の影響を受けます。また、バルプロ酸ナトリウムの吸湿性により、デパケン錠も一包化調剤は推奨されません。服用回数は1日2~3回となります。image.packageinsert+1
一方、デパケンR錠(徐放錠)は、マトリックスタイプの徐放性製剤として設計されており、約9時間で80%が溶出します。最高血中濃度到達時間は約9.4時間と長く、血中濃度の安定した持続性が得られます。重要な点として、デパケンR錠は防湿効果があるため一包化調剤が可能です。また、食事の影響を受けにくく、安定した吸収が得られる特徴があります。服用回数は1日1~2回で済むため、服薬コンプライアンスの向上も期待できます。yakkyoku-hiyari.jcqhc+4
ただし、デパケンR錠は徐放性製剤のため粉砕使用は不可であり、下痢が持続している場合には十分吸収されない可能性があります。38-8931

バレリンとデパケンの血中濃度推移と薬物動態

バレリン錠とデパケン錠の普通錠は、バイオアベイラビリティー(生物学的利用能)に差はありませんが、吸収速度に違いが見られます。健康成人にバレリン錠200mgを投与した場合、最高血中濃度到達時間(Tmax)は0.7±0.3時間、最高血中濃度(Cmax)は21.6±2.6μg/mL、半減期(t1/2)は13.5±2.0時間と報告されています。image.packageinsert+1
デパケンR錠とセレニカR錠は、どちらも徐放性製剤ですが、溶出速度が異なります。毎日徐放剤を内服した場合、デパケンRでは約9.4時間で最高血中濃度に達するのに対し、セレニカRでは約15.8時間で最高血中濃度に達します。この違いにより、デパケンRは1日1~2回、セレニカRは1日1回の服用となります。cocorone-clinic+1
バルプロ酸の血漿蛋白結合率は90%超と高く、総血清中濃度がおよそ100μg/mL以上では結合が飽和します。また、髄液中濃度の総血中濃度に対する割合は10.3±3.6%と報告されており、中枢への移行性も確認されています。高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離薬物の血中濃度が高くなる可能性があり、投与量の調整が必要です。kegg+2

バレリンとデパケンの使い分けと臨床的選択

実際の臨床現場では、患者の状態や服薬管理の必要性に応じて製剤を選択します。一包化調剤が必要な患者では、防湿効果のあるデパケンR錠を選択することが推奨されます。一方、バレリン錠は一包化ができないため、PTPシートのまま管理できる患者に限定されます。vet.cygni+2
全般てんかんに対しては、バルプロ酸が第一選択薬として推奨されており、部分てんかんに対しても第二選択薬として使用されます。急速な血中濃度上昇が必要な場合や、下痢症状がある患者では、徐放性製剤よりも普通錠やシロップ製剤が適している場合があります。neurology-jp+2
ただし、バルプロ酸は妊娠可能年齢の女性への投与に特に注意が必要です。バルプロ酸服用中の妊娠では、奇形発生率が有意に高く、1000~1500mg/日を超えると催奇形率が高くなることが報告されています。また、新生児のIQ低下も報告されており、妊娠中の使用は原則として避けるべきです。jhsnet+1
製造販売元の違いは、主に供給体制や薬価に影響しますが、臨床効果には直接的な影響はありません。nihs+1

バレリン・デパケンの副作用と安全性管理

バルプロ酸ナトリウム製剤は比較的安全性の高い薬剤とされていますが、重篤な副作用に注意が必要です。最も懸念される副作用は肝機能障害・黄疸であり、特に2歳未満の乳幼児、複数の抗てんかん薬を併用している場合、代謝性疾患を持つ患者でリスクが高くなります。mkclinic+2
初期症状として、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、発熱などが現れることがあり、症状が進行すると皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れます。重篤な肝機能障害を防ぐため、服用開始前や服用中は定期的な肝機能検査が不可欠です。utu-yobo
その他の主な副作用として、傾眠、高アンモニア血症、浮動性めまい、クレアチンホスホキナーゼ増加、貧血などが報告されています。また、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるため、服薬中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作を避けるよう指導する必要があります。image.packageinsert+1
長期使用による骨代謝への影響も報告されており、バルプロ酸を使用している患者では骨密度が低下する可能性があります。特に小児や高齢者では、定期的な骨密度測定も検討すべきです。pmc.ncbi.nlm.nih

医療従事者が知っておくべき実務的ポイント

調剤時には、製剤の特性を理解した上で適切な指導が必要です。デパケンR錠やセレニカR錠の服用後、便中に**白い膜(ゴーストピル)**が排泄されることがありますが、これは薬剤が放出された後の抜け殻であり問題ありません。患者がこれを見て「薬が溶けていない」と誤解することがあるため、事前に説明しておくことが重要です。cocorone-clinic+1
飲み忘れ時の対応として、気づいた時点でできるだけ早く1回分を服用するよう指導します。ただし、1日2回服用中の患者では、次の服用まで6時間以上あけることが推奨されます。発作を起こす恐れがあるため、飲み忘れへの対応は特に重要です。38-8931
バルプロ酸は多くの薬剤と相互作用を起こす可能性があります。特に、他の抗てんかん薬との併用時には血中濃度が変動する可能性があり、定期的な血中濃度測定とモニタリングが必要です。薬物相互作用のチェックは、薬剤師の重要な役割となります。neurology-jp+1
保管方法についても、バレリン錠は吸湿性が高いため、室温での保存であってもPTPシートを破損しないよう注意が必要です。デパケンR錠は防湿効果があるものの、基本的には室温保存が推奨されており、冷蔵庫での保存は結露の可能性があるため避けるべきです。japic+2
参考:日本神経学会による抗てんかん薬の血中濃度測定ガイドライン
抗てんかん薬の血中濃度測定はどのようなときに行うか
バルプロ酸の血中濃度測定のタイミングや解釈について、エビデンスに基づいた情報が記載されています。

 

参考:日本頭痛学会によるバルプロ酸治療ガイドライン
バルプロ酸による片頭痛治療ガイドライン(暫定版)
片頭痛予防におけるバルプロ酸の使用方法、特に妊娠可能年齢の女性への投与に関する重要な注意点が詳述されています。

 

 




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