緩和医療の費用は、提供される場所や期間によって大きく異なります。緩和ケア病棟では入院日数に応じた定額制が採用されており、30日以内の入院では1日あたり5,135点(51,350円)または4,897点(48,970円)の診療報酬点数が設定されています。医療保険が適用されるため、実際の自己負担は年齢や所得によって1割から3割となります。cuc-hospice+3
在宅緩和ケアでは、訪問診療や訪問看護サービスを組み合わせて利用することが一般的です。訪問診療を月2回、訪問看護を週3回利用した場合の月額費用は約4~5万円程度が目安となります。これらのサービスには医療保険や介護保険が適用され、利用者の状態によってどちらの保険が優先されるかが決まります。tzc-clinic+2
ホスピス型住宅は緩和ケア病棟と在宅ケアの中間的な選択肢で、月額約19.7万円程度の費用がかかります。病院の緩和ケア病棟と同様の苦痛緩和ケアを受けながら、自宅に近い個室で自由度の高い生活ができる点が特徴です。cuc-hospice+1
緩和ケア病棟への入院費用は、医療費本体に加えて食事代や差額ベッド代などの付帯費用で構成されます。医療費は入院期間によって段階的に設定されており、入院30日以内は1日約50,000円(10割負担)、31日以上60日以内は約45,000円、61日以上は約33,000円と日数が経過するにつれて減額されます。seiwa-h+3
医療保険の自己負担割合は年齢と所得によって決定されます。75歳以上の一般・低所得者は1割負担、70歳以上75歳未満の一般・低所得者は2割負担、6歳以上でこれらに該当しない方は3割負担となります。例えば3割負担の患者が30日以内に入院した場合、1日あたりの医療費は約15,000円となります。cccc-sc+2
食事療養費は1食あたり約460円が標準的な自己負担額ですが、所得区分によって減額措置があります。90日以内の入院では1食230円、91日以上では180円に減額される低所得者向けの制度も用意されています。差額ベッド代は医療保険の適用外となり全額自己負担です。平均的な1日あたりの差額ベッド代は個室で約7,837円、2人部屋で約3,119円となっています。hokenmarket+5
在宅緩和ケアの費用は、訪問診療と訪問看護を中心に構成されます。訪問診療にかかる費用には、定期的な訪問費用(訪問診療料)、24時間365日の連絡体制を整えるための管理料(在宅時医学総合管理料)、がん末期患者に対する週4回以上の訪問体制費用(在宅がん医療総合診療料)などが含まれます。これらすべてに医療保険が適用されます。kanwacare+2
訪問看護の費用は、患者の疾患によって医療保険または介護保険のいずれかが適用されます。がん末期患者や厚生労働大臣が定める疾病の場合は医療保険が優先され、その他のケースでは介護保険が適用されることが一般的です。在宅で継続的な医学管理が必要な利用者には特別管理加算(月額5,000円、1割負担で500円)が適用され、終末期にはターミナルケア加算も算定されます。cuc-hospice+2
薬剤費については、基本的に院外処方箋が発行され、薬局で受け取る形態となります。通院が困難な場合は配達可能な薬局もあり、薬の説明や管理指導料などの費用が別途発生します。処方箋の有効期限は発行日を含めて4日間のため、計画的な対応が必要です。その他の費用として、訪問時の交通費(保険適用外)やケアマネージャーへの情報提供費用(居宅療養管理指導料)がかかる場合があります。cuc-hospice+1
高額療養費制度は、1ヵ月の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に超過分の払い戻しを受けられる制度です。対象となるのは保険適用分の医療費のみで、差額ベッド代、入院中の食事代・生活費、自由診療などは対象外となります。自己負担限度額は年齢や所得状況によって5つの区分に分けられています。hokkaido-mc.hosp+1
年収約1160万円以上の区分(ア)では、自己負担限度額は252,600円+(総医療費-842,000円)×0.01となります。年収約770~1160万円の区分(イ)では167,400円+(総医療費-558,000円)×0.01、年収約370~770万円の区分(ウ)では80,100円+(総医療費-267,000円)×0.01です。年収約370万円以下の区分(エ)は57,600円、住民税非課税者の区分(オ)は35,400円が上限となります。hokkaido-mc.hosp
過去12ヶ月以内に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目からは「多数該当」として自己負担限度額がさらに引き下げられます。例えば区分ウの場合、多数該当では44,400円まで減額されます。事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、医療機関での窓口支払い時点から限度額までの支払いで済むため、一時的な経済的負担を軽減できます。kanwacare+1
緩和医療では、診療や治療に関する基本的な医療行為に公的医療保険が適用されます。日本の国民皆保険制度により、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入しており、緩和ケアを受ける際も年齢と所得に応じた自己負担割合で医療サービスを受けられます。通院で緩和ケアを受ける場合は、病院や診療所への診察料・検査料・医療費と調剤薬局への薬代が対象となります。ganjoho+1
入院して緩和ケアを受ける場合、緩和ケア診療費として1日あたり3,900円(負担割合適用前)が算定されますが、これも医療保険の対象です。ただし、食事代と差額ベッド代は医療保険の適用外となり全額自己負担となります。医療費以外にも、治療が必要になった原因や障害の有無、家庭の状況などに応じて医療費負担を軽減する公的制度が用意されています。hoken.kakaku+2
障害者の医療費助成制度や所得税の医療費控除なども活用可能です。がん患者に対しては、自治体によってアピアランスケア支援事業(ウィッグ購入費等助成)や、国民年金保険料の免除制度・猶予制度なども整備されています。これらの公的支援制度を適切に組み合わせることで、緩和医療にかかる経済的負担を大幅に軽減することが可能です。gan-portal.metro.tokyo+1
緩和医療の総費用を正確に見積もるには、医療費本体、食事療養費、差額ベッド代などを個別に計算する必要があります。計算式は「医療費×入院日数×医療保険自己負担率+食事療養費(約460円×3食×入院日数)+差額ベッド代×入院日数」となります。健康保険法に基づき午前0時を境として1日として計算されるため、退院日においても1日分の料金が徴収されます。med.jrc+1
具体例として、年収約400万円の45歳患者(区分ウ、3割負担)が緩和ケア病棟に30日間入院し、差額ベッド代3,300円の個室を利用した場合を考えます。医療費は約15,000円×30日=450,000円となりますが、高額療養費制度により実際の自己負担は80,100円+(総医療費-267,000円)×0.01で計算されます。これに食事代約460円×3食×30日=41,400円、差額ベッド代3,300円×30日=99,000円を加えた金額が総費用となります。medicalplaza+1
在宅緩和ケアの場合も高額療養費制度が適用され、月単位で自己負担限度額が計算されます。当院で支払う費用は保険証に記載されている自己負担限度額までとなり、費用の計算は毎月1日から月末日までのひと月単位で行われます。入院期間が長期化する場合は、入院日数に応じて1日あたりの診療報酬点数が減額されるため、61日以上の入院では30日以内と比較して医療費が約3分の2程度に抑えられます。job.kiracare+2
がん情報サービス - 医療費の負担を軽くする公的制度
緩和医療における公的支援制度の全体像と各制度の詳細について、国立がん研究センターが提供する信頼性の高い情報源です。
緩和ケアにかかる医療費は?
緩和ケアの費用について、治療中の病院、緩和ケア病棟、在宅ケアの3つのケース別に具体的な費用概算を解説しています。