間葉系幹細胞と造血幹細胞の違い

間葉系幹細胞と造血幹細胞は、どちらも骨髄に存在する幹細胞ですが、分化能力や役割、再生医療における応用方法が異なります。それぞれの特性と臨床応用について、詳しく理解していますか?

間葉系幹細胞と造血幹細胞の違い

間葉系幹細胞と造血幹細胞の主な違い
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起源と存在場所

両者とも骨髄に存在するが、由来する胚葉層と主な分布が異なる

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分化能力

間葉系幹細胞は骨・軟骨・脂肪へ、造血幹細胞は全ての血液細胞へ分化する

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臨床応用

造血幹細胞は血液疾患の治療に、間葉系幹細胞は組織再生や免疫調節に利用される

間葉系幹細胞の特性と分化能力

 

 

間葉系幹細胞(MSC)は、中胚葉由来の幹細胞であり、骨髄、脂肪組織、臍帯、胎盤などから採取できる体性幹細胞です。MSCは骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞といった中胚葉系の細胞への多分化能を有しており、培養皿に付着する性質とコロニー形成能を持つことが特徴です。近年の研究では、MSCが中胚葉系だけでなく神経細胞などの外胚葉系細胞や内胚葉系の内臓組織にも分化する能力を持つことが明らかになっています。edhacare+4
MSCの自己複製能は、ES細胞やiPS細胞ほど強力ではありませんが、通常の組織幹細胞と比較すると非常に高い増殖能を示します。この細胞は1960年代に骨髄から初めて発見され、2000年代には脂肪組織からも発見されており、再生医療における重要な細胞源として注目されています。MSCは受精卵を犠牲にする必要がなく、遺伝子操作も不要なため、ES細胞やiPS細胞と比較して倫理的・安全性の問題が少ないという利点があります。cpc-corp

造血幹細胞の自己複製と血液細胞産生

造血幹細胞(HSC)は、白血球、赤血球、血小板などすべての血液細胞に分化する能力を持つ多能性幹細胞です。HSCは主に骨髄に存在しますが、末梢血や臍帯血からも採取することができます。ヒトの造血は妊娠25日ごろより卵黄嚢で始まり、妊娠3~6カ月では肝臓が主要な造血の場となり、妊娠後期には骨髄へ移動して出生以降の造血が骨髄で行われるようになります。kango-roo+2
造血幹細胞は細胞分裂の際に、自己複製して造血幹細胞を作るか、造血幹細胞より少し分化した多能性前駆細胞を作るかを選択します。この多能性前駆細胞が分化し、赤血球や白血球、血小板を作り出すことで、我々の体を構成する血液細胞が維持されます。HSCは高い自己複製能力を持ち、対称性分裂と非対称性分裂を介して自己複製と分化を繰り返すことで造血システムの恒常性を維持しています。jstct+3

間葉系幹細胞と造血幹細胞の骨髄ニッチ相互作用

骨髄において、間葉系幹細胞と造血幹細胞は独特な相互作用を形成しています。骨髄の「造血幹細胞ニッチ」を構成する間葉系幹細胞は、その分布と発現タンパク質によりNG2陽性細胞とレプチン受容体陽性細胞に大別されます。これらの細胞は各々がCXCL12、SCF(幹細胞因子)といったサイトカインを産生し、異なる微小環境を形成することで造血幹細胞の維持に貢献しています。med.keio+1
間葉系幹細胞は、造血幹細胞を支える役割を持ち、骨髄環境の構成要素として機能します。一方、造血幹細胞は血液細胞の生成に特化しており、両者は骨髄内で異なる機能を担っています。間葉系幹細胞がNestin陽性の性質を示し、HSCと相互作用することで独特なHSCニッチを形成していることが研究により明らかにされています。この相互作用は、造血幹細胞の効率的な増幅法の開発やひいては再生医療の発展に貢献すると期待されています。stemcells+3

間葉系幹細胞の免疫調節機能と臨床応用

間葉系幹細胞の最も重要な特性の一つは、強力な免疫調節作用です。MSCはT細胞、B細胞、NK細胞のような免疫細胞の増殖を抑制する効果が報告されており、抗炎症性サイトカインを傍分泌することで制御性T細胞を刺激し、炎症性サイトカインの生産を抑制します。具体的には、TNF-α、INF-γ、IL-17などの炎症性サイトカインを抑制し、特にTNF-αはプロスタグランジン-E2の生成を促進することで免疫抑制効果を増加させています。amclinic+1
MSCの臨床応用は多岐にわたり、組織再生、自己免疫疾患治療、移植片対宿主病(GVHD)の予防と治療などに利用されています。2020年現在、法制度に基づき厚生労働大臣に届出された再生医療のうち、間葉系幹細胞を用いた再生医療は200件以上に達しており、変形性関節症、脳梗塞後遺症、肝障害、アトピー性皮膚炎などの疾患に対して局所注射や点滴による全身投与が行われています。また、MSCは腫瘍に集積する性質があることから、がんの遺伝子治療薬の運び屋として利用する研究も進められています。semanticscholar+3

造血幹細胞移植の治療と応用範囲

造血幹細胞移植は、白血病、多発性骨髄腫、再生不良性貧血などの血液疾患に対する重要な治療法です。移植には自家造血幹細胞移植(自家移植)と同種造血幹細胞移植(同種移植)があり、多発性骨髄腫では自家移植が中心となっています。自家移植では、あらかじめ患者自身の末梢血から造血幹細胞を採取・凍結保存し、大量化学療法で骨髄腫細胞を最小限にした後、凍結しておいた造血幹細胞を輸注することで血液をつくる機能を回復させます。cancernet+1
造血幹細胞の採取方法には、全身麻酔下で骨髄に針を刺して採取する「骨髄移植」、G-CSFという薬剤を投与して末梢血から採取する方法、臍帯血から採取する方法があります。移植前処置として大量化学療法や全身放射線治療が行われ、移植から約1~数カ月で移植した造血幹細胞からつくられた血液に置き換わります。一般的に自家移植が受けられるのは65歳以下で重篤な感染症がなく、心臓、肺、肝臓、腎臓の機能が十分に保たれている患者です。ganjoho+2
造血幹細胞と間葉系幹細胞の基礎研究について詳しく解説された学術論文
造血幹細胞ニッチにおける間葉系幹細胞の役割を解明した九州大学の研究成果

 

 




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