エルトロンボパグ インタビューフォームの特徴と活用法

医薬品インタビューフォームは医療従事者にとって日常業務に欠かせない医薬品情報源です。エルトロンボパグのインタビューフォームには、どのような有用な情報が記載されているのでしょうか?

エルトロンボパグ インタビューフォームの概要

エルトロンボパグ インタビューフォーム 基本情報
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インタビューフォームとは

添付文書を補完し、医療従事者の日常業務に必要な医薬品の詳細情報を網羅的に集約した学術資料です

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エルトロンボパグの特性

トロンボポエチン受容体作動薬として、慢性特発性血小板減少性紫斑病と再生不良性貧血の治療に使用される経口薬です

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情報の充実度

製剤の安定性、臨床試験データ、薬物動態、副作用の詳細など、添付文書では得られない実務的情報が豊富に掲載されています

医薬品インタビューフォーム(IF)は、1988年に日本病院薬剤師会が策定した医薬品情報の標準フォーマットです。エルトロンボパグ オラミン(商品名:レボレード錠)のインタビューフォームには、添付文書を補完する詳細な医薬品情報が記載されています。本剤は経口造血刺激薬/トロンボポエチン受容体作動薬として、慢性特発性血小板減少性紫斑病および再生不良性貧血の治療に用いられる重要な医薬品です。semanticscholar+1
インタビューフォームは、製薬企業が作成・提供する学術資料として、医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務で必要とする品質管理情報、処方設計情報、調剤情報、適正使用情報、薬学的患者ケア情報などを網羅的に集約しています。エルトロンボパグのインタビューフォームは2024年11月に改訂された最新版が公開されており、電子添文の記載に基づいて作成されています。image.packageinsert+2

エルトロンボパグ インタビューフォームの記載項目

 

エルトロンボパグのインタビューフォームは、日本病院薬剤師会のIF記載要領2018(2019年更新版)に準拠して作成されており、13の主要セクションに分類されています。概要に関する項目では、開発の経緯、製品の治療学的特性、製剤学的特性、適正使用に関する特性、承認条件、RMP(医薬品リスク管理計画)の概要が記載されています。semanticscholar+1
名称・有効成分・製剤に関する項目では、販売名、一般名、構造式、分子式、物理化学的性質、製剤の組成、安定性データなどの基本情報が詳細に記載されています。特に製剤の安定性試験データは、長期保存試験(30℃/65%RH、36ヵ月)、加速試験(40℃/75%RH、6ヵ月)、苛酷試験(温度・光)の結果が示されており、保管条件の設定根拠が明確になっています。image.packageinsert+1
治療に関する項目では、効能又は効果、用法及び用量、臨床成績が詳細に記載されています。エルトロンボパグは慢性特発性血小板減少性紫斑病と再生不良性貧血の2つの適応を持ち、それぞれの用法・用量が異なるため、インタビューフォームには各適応における投与方法、用量調節基準、投与期間などが具体的に示されています。semanticscholar+1

エルトロンボパグの臨床試験データと安全性情報

インタビューフォームには、国内外の臨床試験データが詳細に掲載されています。慢性特発性血小板減少性紫斑病患者を対象とした国内使用成績調査では、2019例の安全性解析対象症例において副作用発現割合が24.62%(497例)であり、主な副作用は肝機能異常(4.31%)、頭痛(1.98%)、肝障害(1.73%)、血小板数増加(1.49%)、深部静脈血栓症(1.44%)でした。shinryo-to-shinyaku
重点調査項目に設定された血栓塞栓症の副作用発現割合は4.36%(88例)であり、重篤な血栓塞栓症として深部静脈血栓症および肺塞栓症が各0.94%、脳梗塞が0.89%に発現しました。有効性については、血小板数の中央値が投与開始時の1.70×10⁴/mm³から投与4週で5.40×10⁴/mm³に達し、投与中はその効果が持続することが確認されています。shinryo-to-shinyaku
安全性に関する情報として、重大な副作用には肝機能障害、血栓塞栓症、出血、骨髄線維化が挙げられており、投与中は定期的な血液検査および肝機能検査の実施が必要です。インタビューフォームには、副作用の種類別発現状況一覧が別紙として添付されており、各臨床試験における副作用の詳細なデータが確認できます。carenet+2

エルトロンボパグの薬物動態と相互作用情報

インタビューフォームの薬物動態に関する項目では、血中濃度の推移、吸収・分布・代謝・排泄に関する詳細なデータが記載されています。エルトロンボパグは食事の影響を受けやすく、食事とともに服用すると血中濃度が低下するため、食事の前後2時間を避けて空腹時に服用する必要があります。image.packageinsert+1
薬物相互作用に関しては、制酸剤、乳製品、多価陽イオン(鉄、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、セレン、亜鉛等)含有製剤等と同時服用すると錯体(キレート)を形成し、本剤の吸収が妨げられることが明記されています。したがって、本剤服用の前4時間および後2時間はこれらの摂取を避ける必要があります。semanticscholar+1
また、ロスバスタチンとエルトロンボパグを併用した時、ロスバスタチンのAUCが約1.6倍上昇したとの報告があり、エルトロンボパグがOATP1B1およびBCRPの機能を阻害する可能性が示唆されています。このような薬物相互作用情報は、併用薬を検討する際に重要な参考情報となります。pins.japic+4

エルトロンボパグの特定背景患者への使用情報

インタビューフォームには、特定の背景を有する患者に対する使用情報が詳細に記載されています。小児(15歳未満)および成人患者での副作用発現割合は、それぞれ22.73%(5/22例)および24.67%(490/1986例)であり、両者で大きな違いは認められませんでした。高齢者(65歳以上)および非高齢者(65歳未満)での副作用発現割合も、それぞれ25.02%(260/1039例)および24.25%(235/969例)と同程度でした。shinryo-to-shinyaku
腎機能障害患者における副作用発現割合は25.10%(62/247例)、腎機能障害なしの患者では24.47%(431/1761例)であり、大きな違いはありませんでした。ただし、腎機能障害のある患者では貧血(2.83% vs 0.68%)、肺塞栓症および発疹(2.02% vs 0.85%)の発現割合がやや高い傾向が認められました。shinryo-to-shinyaku
肝機能障害患者における副作用発現割合は26.49%(107/404例)、肝機能障害なしの患者では24.13%(387/1604例)でした。肝機能障害のある患者では、肝機能異常(5.20% vs 4.11%)および肝障害(2.72% vs 1.50%)の発現割合が高い傾向が認められ、肝機能検査の重要性が示されています。shinryo-to-shinyaku

エルトロンボパグ インタビューフォームの活用法と入手方法

インタビューフォームは、医療従事者が日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用されています。添付文書に記載された情報を裏付ける詳細な情報が必要な場合、インタビューフォームを参照することで、製剤の安定性データ、臨床試験の詳細な結果、特定背景患者における使用経験など、実務的な情報を入手できます。pins.japic+1
最新のインタビューフォームは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医療用医薬品情報検索ページで公開されています。電子媒体のインタビューフォームが基本となっており、製薬企業のウェブサイトでも閲覧可能です。ノバルティス ファーマ株式会社の医療関係者向けホームページでは、レボレード®の製品基本情報として、電子添文、インタビューフォーム、製剤写真、適正使用ガイド、製造販売後調査集計などが提供されています。pro.novartis+2
インタビューフォームの利用にあたっては、最新の添付文書を確認することが重要です。添付文書の主要な改訂があった場合、改訂の根拠データを追加したインタビューフォームが速やかに提供されるため、常に最新版を参照する必要があります。また、インタビューフォームに記載されていない情報や不足している情報については、製薬企業のMR(医薬情報担当者)等へのインタビューにより、利用者自らが内容を充実させることが推奨されています。pins.japic+1
PMDA 医療用医薬品情報検索ページ
添付文書やインタビューフォームの最新情報を確認できる公的データベースです。エルトロンボパグを含むすべての医療用医薬品の情報を検索できます。

 

ノバルティス ファーマ レボレード®製品基本情報
レボレード®(エルトロンボパグ)の電子添文、インタビューフォーム、適正使用ガイドなどの製品情報が入手できる製造販売元の公式ページです。