大腸がんは、早期段階ではほとんど自覚症状が現れません。これが早期発見を難しくする最大の要因となっています。nidc+2
初期の大腸がんは粘膜表面に限局しており、無症状のまま進行することが多いため、定期的な検査が重要です。症状が出始めるのは、がんがある程度の大きさになり、腸管の内腔を狭くしたり、出血を起こしたりする段階になってからです。ohno-naika+3
実際、進行した状態でも症状が全くない方がかなり多く、検診や人間ドックで行われる便潜血検査で陽性となって初めて発見されるケースも少なくありません。したがって、症状の有無に関わらず、定期的な検診を受けることが早期発見には不可欠と言えます。ezoe-clinic+1
大腸がんが進行してくると、以下のような症状が現れるようになります。m-okuda-clinic+2
血便・下血
大腸がんの最も代表的な症状が血便です。がん組織は正常な粘膜と比べてもろく、便が通過する際の摩擦で容易に出血します。血便の色や性状は、がんができた場所によって異なります。左側の大腸がんでは鮮血が混じることが多く、右側の大腸がんでは黒っぽい便になることがあります。senju-ge+3
排便習慣の変化
腫瘍が大きくなり腸管が狭くなることで、様々な排便異常が生じます。具体的には、下痢と便秘を交互に繰り返す、便が細くなる(便柱狭小化)、排便後も便が残っている感じがする(残便感)などの症状です。これらは腸管の閉塞によって引き起こされる症状であり、進行度が高いことを示唆します。ncc+3
腹痛・腹部膨満感
腸管の閉塞が進行すると、腹痛や腹部の張りを感じるようになります。さらに閉塞が強くなると、嘔吐などの症状も出現することがあり、この状態はかなり進行したものと考えられます。腹部を触って硬いしこりとして触れることもあり、これは特に右側大腸がんで見られる特徴的な所見です。nidc+4
貧血症状
慢性的な出血が続くことで、体重減少や貧血症状(めまい、ふらつき、息切れなど)が現れることがあります。特に右側大腸がんでは、目立った血便がないまま慢性的な出血で貧血になり、初めてがんの存在に気づくケースも多く見られます。ohno-naika+3
大腸がんの症状は、がんが発生した部位によって大きく異なります。これは大腸の構造と通過する便の性状が部位によって異なるためです。ezoe-clinic+1
右側大腸がん(盲腸・上行結腸・横行結腸)の症状
右側大腸は管腔が太く、通過する内容物がまだ液状であるため、がんが発生しても症状が現れにくいという特徴があります。血便や腹痛といった一般的に知られている大腸がんの症状は少なく、以下のような症状で発見されることが多いです。nidc+1
・腹部のしこりとして触れる
・慢性的な出血による貧血症状
・原因不明の体重減少
このため、右側大腸がんは進行してから発見されることが多く、注意が必要です。ezoe-clinic+1
左側大腸がん(下行結腸・S状結腸・直腸)の症状
左側大腸では固形化した便が通過するため、がんによって症状が出やすくなります。以下のような症状が特徴的です。m-okuda-clinic+2
・血便(鮮血が混じることが多い)
・便が細くなる
・下痢と便秘の繰り返し
・残便感
・腹痛
特に直腸がんでは、肛門に近いため血便や排便困難などの症状が比較的早期から現れやすい傾向があります。nidc
大腸がんが進行すると、腸閉塞(イレウス)を引き起こすことがあります。これは大腸がんの中でも特に注意が必要な合併症です。nms+1
腸閉塞は、腫瘍が大きくなって腸管の内腔を塞ぎ、便やガスの通過が妨げられる状態です。閉塞性大腸がんは大腸がん症例の7〜29%を占め、日常診療でもよく遭遇する病態とされています。腸閉塞の症状には以下のようなものがあります。asakusa-naika+2
・激しい腹痛
・嘔吐
・腹部の著しい膨満
・排便・排ガスの停止
腸閉塞を起こした場合、緊急の処置が必要となります。初期治療として、経鼻胃管やイレウス管を挿入して腸内の内容物やガスを排出し、腸内圧を下げる保存的減圧治療が行われます。また最近では、大腸ステント治療という負担の少ない治療法も普及しています。これは直径20mmほどの筒状の金属製網を閉塞部分に留置し、閉塞症状を解除する方法です。nms-surgery1+2
保存的治療が困難な場合は、緊急の減圧手術が検討されます。ただし、安全面から大腸がんの根治手術と減圧手術を同時に実施することは少なく、まず減圧を優先してから根治的な治療を行うことが一般的です。asakusa-naika
大腸がんは早期に発見すれば治癒率が高いがんです。ステージⅠ期の5年相対生存率は94.5%と極めて良好ですが、ステージⅣ期になると18.7%まで低下します。このため、症状が出る前の早期発見が極めて重要です。kunitachi-clinic+2
便潜血検査
大腸がん検診で最も広く行われているのが便潜血検査です。大腸がんの表面はもろく出血しやすいという性質があるため、便に微量の血液が混入していないかを調べます。この検査は簡便で侵襲がなく、スクリーニング検査として有効です。ただし、便潜血検査が陰性でも大腸がんが存在する可能性はあるため、陽性の場合は必ず精密検査を受けることが重要です。midtown-meieki+4
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、大腸がんの確定診断に最も重要な検査です。内視鏡を肛門から挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を直接観察します。病変が発見された場合は、その場で組織を採取して病理検査を行い(生検)、がん細胞の有無や性質を詳しく調べることができます。また、早期のがんであれば、検査と同時に内視鏡的に切除することも可能です。kashiwa-naishikyo+3
大腸内視鏡検査は確実性が高く、早期大腸がんの発見と治療、さらには大腸がんの予防にも有効な検査方法です。ksm.tokyo-med+1
画像検査とその他の検査
大腸がんと診断された場合、進行度を正確に把握するために、CT検査、MRI検査、PET-CT検査などの画像検査が行われます。これらの検査により、がんの深達度、リンパ節転移の有無、他臓器への転移の有無などを評価し、正確なステージ判定を行います。ezoe-clinic+2
また、腫瘍マーカー(CEAやCA19-9)の血液検査も補助的な診断として用いられます。ただし、腫瘍マーカーは早期段階で異常値を示すことは少なく、一般的に進行したがんで上昇します。そのため、腫瘍マーカーは主に治療効果の判定や再発の監視に用いられることが多いです。odori-clinic+3
大腸がんの発症には、様々なリスク因子が関与しています。これらを理解し、適切な対策を講じることが予防につながります。
家族歴と遺伝的要因
家族に大腸がん患者がいる場合、大腸がんのリスクが高まることが知られています。両親や兄弟姉妹に大腸がんの患者がいる場合、リスクは一般的な人口に比べて2倍から3倍高まるとされています。特に50歳未満で大腸がんを発症した家族がいる場合、リスクはさらに高くなります。odori-clinic+2
全大腸がんの約5%は遺伝性大腸がんで、特定の遺伝子異常が原因で発生します。代表的なものに家族性大腸腺腫症やリンチ症候群があります。これらの遺伝性大腸がんは若年で発症することが多く、血縁者に高頻度で発症するため、家族歴がある場合は専門医に相談し、遺伝学的評価を受けることが推奨されます。coloproctology+3
家族歴がある場合は、一般の推奨開始年齢よりも早期から、また頻回に大腸内視鏡検査を受けることが重要です。gutclinic-tokyo+1
生活習慣とその他のリスク因子
遺伝的要因以外にも、生活習慣や環境因子が大腸がんの発症に影響します。運動不足、高脂肪食・低繊維食の摂取、肥満、過度の飲酒、喫煙などがリスク因子として知られています。また、加齢も重要なリスク因子で、大腸がんは40歳以降で発症リスクが高まります。coloproctology
これらのリスク因子を理解し、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節度ある飲酒などの健康的な生活習慣を心がけることが、大腸がんの予防につながります。
参考:大腸がんの遺伝性や家族歴に関する詳しい情報
日本大腸肛門病学会 - 遺伝性大腸がん
参考:大腸がんの早期発見と検診に関する情報
国立がん研究センター がん情報サービス - 大腸がん検査
参考:大腸がんの症状と治療に関する専門情報
国立がん研究センター中央病院 - 大腸がんの症状について
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