プロバイオティクスとは、適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物のことを指します。代表的なプロバイオティクスには乳酸菌とビフィズス菌があり、これらはヨーグルトや発酵乳製品に広く使用されています。乳酸菌は主に小腸で働き「乳酸」を産生するのに対し、ビフィズス菌は主に大腸で働き「乳酸」と「酢酸」の両方を産生します。大腸内の善玉菌の割合では、約99.9%がビフィズス菌、0.1%が乳酸菌と圧倒的な差があります。wellnesslab-report+6
プロバイオティクスには整腸作用だけでなく、免疫賦活作用、アレルギー症状抑制効果、糖尿病リスク低減効果など、多岐にわたる健康効果が報告されています。米国食品医薬品局(FDA)は2024年3月に、週に2カップ(3回分)以上のヨーグルトを食べる習慣が2型糖尿病のリスクを軽減する可能性があるという健康強調表示を支持すると発表しました。yaegaki+2
プロバイオティクスとして使用される主な細菌属には、Lactobacillus(乳酸桿菌)、Bifidobacterium(ビフィズス菌)、Enterococcus、Lactococcus、Bacillus、Clostridi
などがあります。乳酸菌は現在まで26属、381種が命名・提案されており、菌株によって異なる効果が実証されています。eiken+1
市販されているプロバイオティクスヨーグルトには、特定保健用食品や機能性表示食品として認可されたものが多数存在します。特定保健用食品のヨーグルトには、明治ブルガリアヨーグルト、森永乳業のビヒダス、雪印メグミルクのナチュレ恵、小岩井乳業の生乳100%ヨーグルトなどがあります。これらの製品には関与成分となる菌株や菌数が明記されており、消費者庁のお墨付きを得ています。zendamakinblog+1
明治プロビオヨーグルトシリーズには、R-1(1073R-1乳酸菌使用、免疫力サポート)、LG21(LG21乳酸菌使用、胃の健康サポート、機能性表示食品)、PA-3(PA-3乳酸菌使用、プリン体への可能性に着目)の3つの主要製品があります。これらは明治が保有する約2,500種類以上の乳酸菌ライブラリーから選び抜かれた菌株を使用しています。meiji+1
ビフィズス菌入りヨーグルトとしては、森永乳業のビヒダス(ビフィズス菌BB536株を20億個以上含有)、雪印メグミルクのナチュレ恵(ビフィズス菌SP株とガゼリ菌SP株の2種類を配合)、グリコのBifiXヨーグルト(ビフィズス菌BifiXと食物繊維イヌリンを配合)、小岩井乳業の生乳100%ヨーグルト(ビフィズス菌Bb-12株を100gあたり40億個含有)などがあります。cholife.usagi-blog+2
ダノンビオシリーズには、プレーン・加糖、ジューシーアロエなどの商品があり、プロバイオティクス乳酸菌を使用しています。トモエ乳業の北海道プレーンヨーグルトプロバイオティクス低脂肪、Vマークのバリュープラスプロバイオティクス脂肪ゼロヨーグルトなども、生きたまま腸に届く特性を持つ製品として販売されています。ranking+2
プロバイオティクスヨーグルトに使用される乳酸菌には、属、種、菌株という階層的な分類があり、菌株が異なるだけで体に対する作用が変わります。代表的な乳酸菌属にはLactobacillus属(乳酸桿菌)、Streptococcus属(連鎖球菌)、Leuconostoc属などがあります。probiotics-org+2
Lactobacillus acidophilus(ラクトバチルス・アシドフィルス)は、胃酸に対する耐性が高く、腸内で乳酸を産生することで悪玉菌の増殖を抑制します。Lactobacillus plantarum(ラクトバチルス・プランタラム)は、植物性乳酸菌として知られ、様々な発酵食品から分離されています。Lactobacillus casei(ラクトバチルス・カゼイ)は、チーズやヨーグルトの製造に使用され、整腸作用が認められています。mdpi+3
Streptococcus thermophilus(ストレプトコッカス・サーモフィルス)は、ヨーグルトの旨味に関与する菌株で、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus(ラクトバチルス・デルブリッキ・ブルガリカス)と共にヨーグルトの基本スターター菌として使用されます。これらのヨーグルトスターター菌は、牛乳を発酵させてヨーグルトの特徴的な風味と食感を作り出します。pmc.ncbi.nlm.nih+3
Lactobacillus rhamnosus(ラクトバチルス・ラムノサス)は、特にLGG株が乳酸菌を関与成分とする食品で最初に特定保健用食品となった実績を持ちます。Lactococcus lactis(ラクトコッカス・ラクティス)は、チーズ製造に関与する「酪農乳酸球菌」と称され、乳製品製造に広く用いられています。pmc.ncbi.nlm.nih+2
ビフィズス菌は乳酸菌とは異なる菌種で、Bifidobacterium属に分類されます。ビフィズス菌は大腸に棲息し、乳酸だけでなく短鎖脂肪酸の一つである酢酸を産生することが大きな特徴です。酢酸には強力な殺菌作用があり、腸内で悪玉菌の繁殖を抑制することで、善玉菌が優勢である状態にし、腸内環境を整えます。takuhai.morinagamilk+3
Bifidobacterium animalis subsp. lactis(ビフィドバクテリウム・アニマリス・ラクティス)は、特にBb-12株やB94株が商品化されており、世界的に利用されているプロバイオティクス菌株です。Bifidobacterium longum(ビフィドバクテリウム・ロンガム)は、ヒトの腸内に自然に存在するビフィズス菌の一種で、整腸作用が認められています。lait.dairy-journal+3
Bifidobacterium bifidum(ビフィドバクテリウム・ビフィダム)は、乳児の腸内に多く存在する菌株で、腸内環境の改善に寄与します。森永乳業のビヒダスに使用されているBifidobacterium longum BB536株は、生きたまま腸へ届く特性を持ち、20億個以上の菌数が含まれています。雪印メグミルクのナチュレ恵に使用されているビフィズス菌SP株は、ガセリ菌SP株と共に配合され、腸内で長期間定着する特性が報告されています。pmc.ncbi.nlm.nih+2
グリコのBifiXヨーグルトに使用されているビフィズス菌BifiX株は、食物繊維であるイヌリンと共に配合されることで、腸内での増殖が促進されます。食物繊維は腸内の善玉菌を増やす働きがあるため、ビフィズス菌とダブルで腸内に働きかけるシンビオティクス効果が期待できます。ranking+1
プロバイオティクスヨーグルトの選択には、医学的エビデンスに基づいた判断が重要です。プロバイオティクスは安全である反面、効果がマイルドであり、数週間の継続的な摂取が必要です。そのため、入手のしやすさ、好みに合った味、実績のある菌株という観点から選択することが推奨されます。womenshealthmag+2
菌株ごとに異なる効果が研究で示唆されており、ご自身のニーズを明確にすることが重要です。複数種類のプロバイオティクスをバランスよく摂取することが最良の方法であり、1つのプロバイオティクスを約2~3ヶ月摂取しても明らかな効果が得られない場合は、他のプロバイオティクスに切り替えることが推奨されます。プロバイオティクスの種類も、単一のものよりは混合されているものの方がアレルギーに対する効果が高いことが報告されています。daikenshop+1
2022年に発表された28件の研究をまとめた論文によると、プロバイオティクスを摂取することでアレルギー性鼻炎の症状を抑え、鼻粘膜の炎症の度合を抑え、アレルギー症状による生活の質の低下を改善させることが示されています。腸内細菌叢の異常がアレルギー性疾患の免疫の異常につながっているのではないかと考えられており、プロバイオティクスは全身の炎症を抑え、免疫状態を改善することが報告されています。soujinkai
長年にわたりヨーグルトを週に2回以上摂取している人では、腫瘍組織内にビフィズス菌が検出されるビフィズス菌陽性の大腸がんの発症リスクが20%低いことが、米国の研究で示されています。ヨーグルトを1日80g摂取することで、10年間で2型糖尿病の発症が5.9%減少する可能性があり、糖尿病関連の医療費が0.9%(約520億円)削減できる可能性がシミュレーションで示唆されています。prtimes+2
プロバイオティクスの摂取が治療の効果に影響を及ぼす可能性があるため、病気の症状がある場合はまず医学・薬学的治療を優先する必要があります。医療従事者として患者指導を行う際には、特定保健用食品や機能性表示食品の表示を確認し、科学的根拠に基づいた情報提供を行うことが重要です。zendamakinblog+1
プロバイオティクスと腸内細菌の代謝活動に関する英国医学雑誌の総説
プロバイオティクスが腸内細菌の成長と代謝活動にどのように影響を与え、健康に寄与するかについて詳細に解説されています。
厚生労働省によるプロバイオティクスの基礎情報
プロバイオティクスの定義、安全性、効果に関する医療従事者向けの公式情報が提供されています。
米国FDAによるヨーグルトと糖尿病リスクに関する声明
ヨーグルト摂取と2型糖尿病リスクの低下に関する科学的証拠と、FDAの健康強調表示支持の背景が説明されています。
プロバイオティクスヨーグルトの臨床応用において、医療従事者は患者の健康状態、生活習慣、治療目的に応じた適切な製品選択をサポートする必要があります。整腸作用を目的とする場合は、ビフィズス菌入りヨーグルトが乳酸菌のみのヨーグルトよりも高い整腸作用を示すという調査結果があります。すべてのヨーグルトにビフィズス菌が入っているわけではないため、製品選択の際には成分表示を確認することが重要です。daicho-rekka+3
免疫力サポートを目的とする場合は、明治プロビオヨーグルトR-1に使用されている1073R-1乳酸菌のように、免疫賦活作用が報告されている菌株を含む製品が選択肢となります。胃の健康が気になる患者には、明治プロビオヨーグルトLG21のように、胃の中で働くという特性に注目して選定されたLG21乳酸菌を含む機能性表示食品が推奨されます。insei-takuhai
脂肪制限が必要な患者や体重管理を行っている患者には、脂肪ゼロのビフィズス菌ヨーグルトが選択肢となります。森永乳業のビヒダスプレーンヨーグルト脂肪ゼロは、通常版と比較してカロリーが約20kcal低く46kcalで、タンパク質は0.5g多いという栄養学的特徴があります。グリコのBifixヨーグルトほんのり甘い脂肪ゼロは、ビフィズス菌BifiXと食物繊維イヌリンを配合しており、脂肪ゼロでもほんのり甘みがあるため継続しやすい製品です。cholife.usagi-blog
抗生物質治療中の患者、旅行中、ストレスが多い時期、食生活が乱れている患者には、腸内フローラのバランスの維持を助けるプロバイオティクスヨーグルトの摂取が有用です。プロバイオティクスは腸内フローラの状態を改善し、消化器系や免疫系の状態や気分だけでなく、場合によっては体重にも影響を与えることが報告されています。lpi.oregonstate+1
患者指導において、プロバイオティクスヨーグルトは毎日食べ続けることで効果が期待できる食品であることを説明し、効果を得るには数週間の継続的な摂取が必要であることを伝えることが重要です。プロバイオティクスの効果は個人差があり、体質、健康状態、生活習慣によって異なるため、約2~3ヶ月摂取しても明らかな効果が得られない場合は、異なる菌株を含む製品への切り替えを検討することも推奨されます。daikenshop+1
また、稀に一時的な胃腸症状が現れる可能性があることも説明し、症状が持続する場合は医療機関への相談を促すことが適切です。病気の症状がある患者では、プロバイオティクスの摂取が治療効果に影響を及ぼす可能性があるため、まず医学・薬学的治療を優先し、補助的な食事療法としてプロバイオティクスヨーグルトを位置づける必要があります。womenshealthmag+1
腸内フローラと臨床エビデンスに基づく腸活の実践
医療機関による科学的根拠に基づいた腸内環境改善の実践方法と、プロバイオティクス食品の臨床的活用について解説されています。
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