更年期障害の女性の症状と対策

更年期障害は45歳から55歳頃の女性に現れる、女性ホルモンの減少に伴う様々な不調です。ほてり、発汗、肩こり、イライラなど多様な症状がありますが、適切な治療で改善できます。あなたの症状は更年期障害によるものでしょうか?

更年期障害の女性の症状

更年期障害の主な症状
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血管運動神経系症状

ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、動悸が代表的

😰
精神神経系症状

イライラ、不安感、抑うつ、不眠が特徴的

💪
運動器症状

肩こり・腰痛・関節痛、疲労感が多く見られる

更年期障害は閉経前後の約10年間、一般的には45歳から55歳頃に現れる女性特有の症状です。卵巣機能の低下により女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することで、様々な身体的・精神的症状が引き起こされます。orangepage+3
更年期外来を受診した日本人女性345名の調査では、最も多く訴えられる症状は「顔や上半身がほてる」「汗をかきやすい」「寝つきが悪い・眠りが浅い」「イライラする」「不安感がある」といったものでした。これらの症状は日常生活に支障をきたすレベルまで重症化することがあり、そのような状態を更年期障害と呼びます。halmek+1
国内の調査では、更年期症状を経験している女性のうち「だるい・やる気が出ない」が55.5%、「ほてる・のぼせる」が52.2%、「肩こり・腰痛・背中の痛み」が50.2%、「イライラ」が49.5%と報告されており、症状は200種類以上にも及ぶとされています。jcom+1

更年期障害のホットフラッシュの特徴と原因

 

 

ホットフラッシュは更年期障害の最も代表的な症状で、急激な顔のほてり、のぼせ、大量の発汗を特徴とします。何の前触れもなく突然現れることもあれば、決まったタイミングで繰り返し起こることもあります。hisamitsu+1
この症状の原因は、エストロゲンの減少により脳の視床下部が影響を受け、同じく視床下部がコントロールしている自律神経系の機能が乱れることにあります。視床下部は体温調節を司る中枢でもあるため、その機能障害によりわずかな温度変化に過敏になり、血管の急激な拡張によってホットフラッシュが発生します。jsog+2
ホットフラッシュは実際に汗をかき顔が赤くなることもあり、異常にポカポカとした状態が続きます。ホルモン補充療法はこの血管運動神経系の症状に対して最も高い効果を示すとされています。adachi-hospital+2

更年期障害の精神症状と身体症状の関連性

更年期障害では、イライラ、不安感、抑うつ、意欲低下、不眠といった精神神経系症状が高頻度で出現します。日本女性医学学会の報告によると、更年期女性の症状は大きく3つに分類され、血管運動神経系症状、身体症状、精神症状が相互に関連して現れます。jmwh+1
身体症状としては、めまい、動悸、頭痛、肩こり、腰痛・背中の痛み、関節痛、冷え、しびれ、疲労感が代表的です。特に日本人の更年期女性には肩こりや疲れやすさが多く報告されており、これは国内調査で最も頻度が高い症状となっています。matsushita-ldc+2
2024年の国際研究では、更年期段階が進むと心理的訴えが増加し、うつ・不安・記憶力低下が悪化することが明らかになっています。ただし、回復力(レジリエンス)や自己効力感を高める治療は、更年期段階や年齢に関係なく心理的訴えの改善に有効であることが示されました。frontiersin+1

更年期障害の診断基準と簡略更年期指数SMI

更年期障害の診断は、年齢が更年期にあたり、症状の原因となる他の疾患がないことを確認したうえで行われます。診断には簡略更年期指数(SMI:Simplified Menopausal Index)が広く用いられています。knowledge.nurse-senka+1
SMIは10項目の症状について、「強・中・弱・無」で得点を付け、その合計点により評価します。具体的な項目は以下の通りです:①顔がほてる、②汗をかきやすい、③腰や手足が冷えやすい、④息切れ・動悸がする、⑤寝つきが悪い・眠りが浅い、⑥怒りやすくイライラする、⑦くよくよし憂うつになる、⑧頭痛・めまい・吐き気がある、⑨疲れやすい、⑩肩こり・腰痛・手足の痛みがある。mhlw+1
評価基準は以下のように設定されています:81~100点は各科の精密検査を受け、更年期障害のみである場合は専門医での長期的対応が必要、66~80点は長期間(半年以上)の計画的治療が必要、とされています。どれか一つの症状でも強く出ていれば高得点となり、治療を検討する目安になります。hamayume+1

更年期障害と甲状腺疾患の鑑別診断

更年期障害と甲状腺疾患は症状が非常によく似ているため、鑑別診断が重要です。甲状腺機能亢進症では発汗、動悸、不眠、焦燥感、イライラ、月経不順、易疲労感など、更年期障害と共通する症状が現れます。fuyukilc+2
一方、甲状腺機能低下症では疲労感、皮膚の乾燥、気分の落ち込み、体重増加など、これも更年期障害の症状と類似しています。実際に、更年期世代の女性10人に1人は甲状腺機能低下症の可能性があると報告されています。harpersbazaar+2
鑑別のためには血液検査が必須で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と甲状腺ホルモン(FT4)を測定します。甲状腺機能亢進症ではTSHが低下しFT4が上昇し、甲状腺機能低下症ではTSHが上昇しFT4が低下します。更年期症状がなかなか改善されない場合や、血縁者に甲状腺疾患がある場合には、甲状腺機能検査を受けることが推奨されます。shimoyama-naika+2
2023年の研究では、閉経前後の女性における甲状腺機能異常の頻度が高く、更年期障害と甲状腺疾患が同時に発生することが多いため、正確な診断が重要であることが強調されています。pmc.ncbi.nlm.nih+1

更年期障害における生活習慣の影響

更年期障害の症状は、生活習慣の影響を大きく受けることが知られています。特にストレス、睡眠不足、運動不足は自律神経の乱れを助長し、症状を悪化させる要因となります。todokusuri
精神的ストレスは自律神経に直接影響を与えやすく、更年期女性は仕事、育児、介護などの負担が重なる時期でもあるため、ストレス管理が重要です。ウォーキングなどの適度な運動は自律神経を整える効果があり、普段から運動習慣がない方は症状が出やすいとされています。todokusuri
国際的な研究では、更年期女性の生活の質に影響を与える社会的決定要因として、医療アクセスの改善や症状に対する適切な治療の必要性が指摘されています。日本国内でも、更年期に関する正しい知識の普及と、早期からの健康管理が推奨されています。semanticscholar+1
食事療法も重要な要素で、バランスの取れた栄養摂取、特に骨粗しょう症予防のためのカルシウムとビタミンDの摂取が推奨されます。適切な生活習慣の維持により、更年期障害の症状を軽減し、長期的な健康リスクを低減することが可能です。fuyukilc+1

更年期障害のホルモン補充療法HRTの効果

ホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)は、減少したエストロゲン(卵胞ホルモン)を補充する治療法で、更年期障害の根本的治療として最も期待されています。子宮がある場合には子宮体がん予防のため、黄体ホルモン(プロゲステロン)も併用します。ikebukuro-fujinka+2
HRTの効果は多岐にわたります。最も高い効果を示すのは、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)や発汗などの血管運動系症状の改善です。また、動悸や知覚異常など自律神経系の不調、閉経後骨粗しょう症の予防と改善、萎縮性腟炎や性交痛の改善にも有効です。aska-pharma+2
その他の効果として、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす脂質改善、不眠症状の改善、コラーゲンを増やし肌のハリや潤いを改善する作用も期待されます。2021年の大規模メタ解析では、HRTが椎体骨折、糖尿病、心血管死(エストロゲン単独療法)、大腸がん(エストロゲン・プロゲステロン併用療法)のリスクを減少させることが示されました。pmc.ncbi.nlm.nih+1
HRTの投与法には、飲み薬(経口剤)、貼り薬(貼付剤)、塗り薬(塗布剤)の3タイプがあり、患者の状態に合わせて選択します。経皮吸収型製剤は皮膚から直接吸収されるため、胃腸や肝臓への負担が少ないとされています。ikebukuro-fujinka
HRT開始のタイミングも重要で、60歳未満または閉経後10年以内に開始した場合、症状緩和の利益がリスクを上回ることが複数の研究で確認されています。日本でもHRTは保険適用で、自己負担も少なく受けられる治療です。pmc.ncbi.nlm.nih+4

更年期障害の漢方治療と加味逍遥散の役割

漢方治療は更年期障害に対する有効な選択肢の一つで、特に加味逍遥散(かみしょうようさん)は更年期障害やPMS(月経前症候群)の治療に広く用いられています。加味逍遥散は当帰芍薬散、桂枝茯苓丸とともに「三大婦人薬」の一つに数えられ、更年期障害に使われる漢方薬の中で処方量ナンバーワンとなっています。makita-sanfujinka+2
加味逍遥散の特徴は、使われる生薬の種類が幅広く、効果も多岐にわたることです。精神面では不安、緊張、イライラ、不眠の症状に効果を期待し、身体面では肩こり、めまい、頭痛、のぼせ、発汗などの自律神経症状に作用します。kokoro-kichijoji+1
ある報告によると、加味逍遥散を4週間服用した結果、血管運動神経症状の重症度は約20ポイント低下しましたが、精神神経症状の重症度は約30ポイント以上も低下したとされており、特に精神症状への効果が高いことが示されています。fuyukilc
漢方薬は効果がゆっくりで弱めですが、副作用があまり目立たないのが特徴です。体質虚弱な方はもとより、虚証から中間証、やや実証の人まで幅広く使用できます。HRTが使用できない方やホルモン剤に抵抗がある方にとって、漢方治療は重要な選択肢となります。parksideclinic+3

更年期障害と骨粗しょう症予防の重要性

更年期にエストロゲンが急激に減少すると、骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が急速に低下して骨粗しょう症のリスクが高まります。エストロゲンは破骨細胞の活動を抑制する働きがあるため、その減少により骨が急速にもろくなります。ko-nenkilab+2
実際に、更年期症状で受診した45~60歳の女性のうち40%に骨粗しょう症が発見され、そのほとんどは自覚症状がなかったという報告があります。骨粗しょう症は骨折のリスクを高め、特に大腿骨頸部骨折は寝たきりの原因となるため、早期発見と予防が極めて重要です。shonan-riumachi
予防の基本は食事と運動です。カルシウムとビタミンDの併用摂取が骨折発生率を抑制することが報告されており、乳製品、小魚、海藻、野菜、大豆類をバランスよく摂取することが推奨されます。マグネシウムも骨の健康に重要なミネラルです。minatoshiba-cl+2
運動療法としては、ウォーキングなどの適度な負荷をかける運動と日光浴が効果的です。日光浴により体内でビタミンDが生成され、カルシウムの吸収が促進されます。shonan-riumachi
45歳頃から自身の骨密度を把握し、減少傾向が見られたら早期から適切な予防を行うことが大切です。骨密度検査(DXA法)により腰椎や大腿骨の骨密度を測定し、必要に応じて薬物療法を開始します。HRTは骨粗しょう症の進行を遅らせる効果もあるため、更年期症状と骨粗しょう症の両方に対処できる利点があります。mikuni-seikei+1
<参考リンク>
日本産科婦人科学会による更年期障害の症状分類と診断基準について詳しく解説されています
https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
厚生労働省による更年期症状・障害に関する意識調査とSMIスコアの詳細
https://www.mhlw.go.jp/content/000969136.pdf
日本女性医学学会による更年期女性に認められる症状の包括的情報
https://www.jmwh.jp/n-yokuaru.html
ホルモン補充療法の効果と安全性に関する医学的根拠
https://www.meno-sg.net/hormone/formulation/206/
更年期女性の骨粗しょう症予防の食事療法について
https://www.fuyukilc.or.jp/column/更年期女性の骨粗しょう症予防の食事療法/

 

 




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