ミオナールの効果と作用機序

ミオナールは筋肉の緊張を緩和し血流を改善する筋弛緩剤です。肩こり、腰痛、痙性麻痺に対してどのような効果を発揮し、医療現場でどう活用されているのでしょうか?

ミオナールの効果

📋 ミオナールの主な効果
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筋緊張状態の改善

頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症による筋肉の異常な緊張を緩和します

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血流増加作用

血管拡張により筋肉内の血流を改善し、疲労物質を除去します

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痙性麻痺の改善

脳血管障害や脊髄疾患による手足のつっぱり、こわばりを軽減します

ミオナールの作用機序と薬理効果

 

 

ミオナール(一般名:エペリゾン塩酸塩)は、中枢神経系と血管平滑筋の双方に作用する筋緊張改善剤として、医療現場で広く使用されています。本剤は脊髄レベルで脊髄反射を抑制し、主にγ運動ニューロン系に作用することで筋紡錘の感度を緩和し、骨格筋の緊張緩和作用を発揮します。この作用機序により、メフェネシンよりも強力な骨格筋弛緩作用を示すことが確認されています。mhlw+2
ミオナールの特徴的な効果は、筋緊張緩和作用だけでなく、血管拡張による血流増加作用にあります。血管平滑筋に対するカルシウム拮抗作用と筋交感神経抑制作用により血管を拡張し、皮膚・筋血流や脳血流を増加させます。これにより、筋緊張亢進→血流障害→発痛→筋緊張亢進という悪循環を多面的に断ち切ることができるのです。kotobuki-pharm+1
臨床試験データによると、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症による筋緊張状態に対する有効率は52.1%(234/449例)で、やや改善以上を含めると80.4%に達します。また、痙性麻痺例におけるつっぱり、こわばりに対する改善率はそれぞれ42.3%、45.1%と報告されています。mhlw
さらに、動物実験において、ミオナールを脊髄に灌流すると疼痛反射を抑制することが確認されており、脊髄レベルでの鎮痛作用も有することが示されています。この多面的な作用により、肩こり、頸部痛、頭痛、腰痛、手足のつっぱり・こわばりなどの筋緊張症候を効果的に改善します。pins.japic+1

ミオナールの適応疾患と臨床効果

ミオナールの適応疾患は、筋緊張状態の改善と痙性麻痺の2つのカテゴリーに分類されます。筋緊張状態の改善では、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症が対象となり、これらの疾患による肩こり、頸部痛、腰痛などの症状緩和に効果を発揮します。rad-ar+3
腰痛症に対する臨床評価では、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、腰痛症を対象とした試験において、自覚症状(腰痛、腰部運動痛)や他覚症状(腰背筋緊張)にかなりの改善が見られ、全般改善度では著明改善が14%、改善以上が73%、やや改善以上が97%という高い有効率が報告されています。mhlw
頸肩腕症候群に対しては、頸部脊椎症、胸郭出口症候群などを対象とした試験で自覚症状改善率75%、他覚症状改善率89%を示し、最終全般改善度では著明改善14%、改善以上46%、やや改善以上89%という結果が得られています。mhlw
痙性麻痺に関しては、脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、筋萎縮性側索硬化症、脳性小児麻痺、脊髄小脳変性症などが適応となります。これらの疾患による手足のつっぱり、こわばりといった痙性麻痺症状の改善に有用性が認められています。clinicalsup+2
<参考>厚生労働省によるエペリゾン塩酸塩の成分情報資料には、臨床試験データと作用機序の詳細が記載されています
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000530197.pdf

ミオナールの用法用量と服用方法

ミオナールの標準的な用法用量は、通常成人に対して1日量として3錠(エペリゾン塩酸塩として150mg)を3回に分けて食後に経口投与します。錠剤の場合は1回1錠を1日3回、顆粒剤の場合は1回0.5g(エペリゾン塩酸塩として50mg)を1日3回服用するのが基本です。kegg+1
年齢や症状により適宜増減が可能とされていますが、医師の指示に必ず従う必要があります。食後服用が推奨されているのは、消化器症状の発現を軽減するためです。kusurinomadoguchi+2
ミオナールの効果持続時間は比較的短いため、症状を緩和するには継続的な服用が必要です。飲み忘れた場合は、気がついた時にできるだけ早く服用しますが、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばし、次の時間に1回分を服用します。2回分を一度に服用してはいけません。qlife+1
服用期間については、2週間程度服用しても症状が緩和されない場合には服用を中止し、医師や薬剤師に相談することが推奨されています。自己判断での長期服用は避け、医療機関での再評価を受けることが重要です。okusuritsuhan
高齢者では生理機能が低下しているため、減量するなど特に注意が必要です。小児に対する安全性は確立されていないため、小児への投与は推奨されていません。pins.japic+3

ミオナールの副作用と安全性プロファイル

ミオナールの副作用発現頻度は総症例12,315例中416例(3.38%)と比較的低率ですが、重大な副作用として注意が必要なものがあります。最も注意すべき重大な副作用は、ショック・アナフィラキシー様症状で、発赤、瘙痒感、蕁麻疹、顔面等の浮腫、呼吸困難などが出現することがあります。これらの症状が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行う必要があります。h-ohp+1
また、中毒性表皮壊死融解症(TEN)や皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)といった重篤な皮膚障害も報告されており、発熱、紅斑、水疱、瘙痒感、眼充血、口内炎などの症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診する必要があります。h-ohp+1
よくある副作用(0.1~5%未満)としては、眠気、ふらつき、脱力感が挙げられます。これらは中枢性筋弛緩薬に共通した副作用で、ミオナール服用期間中は自動車の運転や危険を伴う機械の操作を避ける必要があります。sincellclinic+3
消化器症状として、悪心・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、下痢、便秘、口渇などが報告されています。肝機能異常(AST、ALT、Al-Pの上昇)も0.1~5%未満の頻度で認められるため、定期的な肝機能検査が推奨されます。h-ohp+1
特に注意が必要なのは、筋緊張性疾患治療剤の急性中毒ではエペリゾン塩酸塩の報告が最も多いことです。大量服用時には心臓毒性(QT延長)を生じることが知られており、血清濃度とQT間隔の相関が報告されています。乳幼児の誤飲による心肺停止例も報告されているため、保管には十分注意が必要です。mhlw
<参考>JAPIC(日本医薬情報センター)のエペリゾン塩酸塩錠の添付文書には、副作用情報と使用上の注意が詳細に記載されています
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00063431.pdf

ミオナールの併用注意と使用上の注意事項

ミオナールには併用禁忌薬はありませんが、併用注意薬としてメトカルバモールが挙げられます。類似薬のトルペリゾン塩酸塩とメトカルバモールの併用で眼の調節障害(ピントが合わず視界がかすむ、まぶしさを感じるなど)が報告されているため、メトカルバモールが配合された市販薬(ドキシン錠など)との併用には注意が必要です。minacolor+3
ミオナールの投与が禁忌となるのは、本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者のみです。しかし、薬物過敏症の既往歴がある患者や肝障害のある患者には慎重投与が必要とされています。肝障害患者では肝機能を悪化させる可能性があるため、特に注意が必要です。okusuritsuhan+1
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すべきとされています。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されているため、授乳中の女性に投与する場合は授乳を避けることが望ましいとされています。pins.japic+1
服用中の重要な基本的注意として、脱力感、ふらつき、眠気等が発現することがあり、その場合には減量または休薬が必要です。本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意することが添付文書に明記されています。m3+2
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導することも重要です。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されています。pins.japic+1
保管に関しては、錠剤のPTP包装は外箱開封後、光を遮り保存すること(変色することがある)、顆粒は開栓後、湿気を避けて保存すること(吸湿しやすい)といった注意が必要です。mhlw

 

 




【指定第2類医薬品】雲仙錠 190錠