脈拍数と心拍数の違い|測定方法と臨床的意義

脈拍数と心拍数は通常一致しますが、不整脈では異なる値を示すことがあります。医療従事者として正確な測定とアセスメントを行うためには、両者の違いを理解することが重要ですが、どのような場面で注意が必要でしょうか?

脈拍数と心拍数の違い

脈拍数と心拍数の基本的な違い
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心拍数とは

心臓が1分間に拍動する回数を指し、心電図や心拍計で正確に測定できます

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脈拍数とは

末梢動脈(橈骨動脈など)で触知できる拍動の回数で、触診により測定します

正常時の関係

健康な状態では心拍数と脈拍数はほぼ一致し、同義語として使用されます

脈拍数の定義と測定部位

 

 

脈拍数は、全身の動脈に生じる拍動数を指します。一般的に手首の橈骨動脈で測定されますが、これは橈骨動脈が皮膚に近い部分を走行し、走行部位の個人差が比較的少なく、衣服におおわれることが少ないためです。脈拍は心臓から血液が送られた際に動脈に収縮運動が伝わり生じるもので、心臓の拍動を末梢で感じ取っている状態といえます。karu-keru+2
医療現場では、橈骨動脈以外にも上腕動脈や頸動脈など、全身の表在性動脈で脈拍を測定することができます。測定時には示指・中指・薬指の3本の指を軽く動脈に当て、拍動の回数を数えます。mcsg+2

心拍数の定義と測定方法

心拍数とは、心臓が全身に血液を送り出すために拍動する回数を指します。厳密には胸にセンサーをつけて心電図として記録したり、心臓の音を計測したりしなければ心臓の動きを正確に測ることができないため、特別な機械がないと正確に測ることは難しいとされています。rishou+1
心電図で得られる心臓の収縮回数が心拍数であり、脈拍数(橈骨動脈で触診できる数)とは測定部位が異なります。心拍数は心電図モニターやホルター心電図などの機器を用いて正確に測定でき、医療従事者が循環動態を評価する上で重要な指標となります。expertnurse+1

正常値と測定単位bpm

正常な成人の安静時の脈拍数および心拍数は、1分間に約60~100回とされています。医療従事者が用いる単位として、bpm(beat per minutes)があり、「脈拍80bpm」のように表現します。tyojyu+3
健康診断などでは、安静時心拍数が45~85回/分であれば異常なし、40~44回または86~99回/分の場合は要再検査・生活改善、39回以下または100回以上の場合は要精密検査・要治療とされることが多いです。ただし、年齢とともに最大心拍数は少なくなっていく傾向があり、個人差も存在します。rakuten-insurance+1

通常は一致する脈拍数と心拍数

基本的に心拍と脈拍は同じリズムを刻んでおり、心臓が拍動するとポンプのように血液が送られ、動脈に収縮運動が伝わり脈をうつため、通常であれば心拍数と脈拍数は一致します。centralmedicalclub+1
脈拍数と心拍数は原則として同数値になるため、一般的には同義語として使われています。心臓の拍動が正常に末梢の動脈へ伝わる限り、両者の値に差は生じません。したがって、健康な人においては、簡易的に脈拍測定を行うことで大まかな心拍数を把握できます。karu-keru+2

脈拍数と心拍数が異なる病態の存在

不整脈が発生したときには、心拍数と脈拍数が一致しないことがあります。厳密には脈拍数と心拍数は異なる意味を持ち、特に不整脈の場合にはそれぞれの数値に差が現れます。kango-roo+2
心臓が拍動していても脈拍として伝わらない状況が生じると、心拍数と脈拍数に乖離が生じます。この現象を脈拍欠損といい、期外収縮や心房細動などの不整脈をきたす疾患で認められます。脈拍が何回かに1回途切れてしまうため、心電図上の心拍数よりも触診で得られる脈拍数が少なくなります。kango-roo+1

期外収縮における脈拍数と心拍数の違い

心室性期外収縮を例にとると、刺激伝導系から逸脱して心室から早期収縮を起こすことにより、心臓から十分に血液が送り出せていない状況が生じます。この場合、心臓の収縮は働いているので心拍数はカウントされていますが、脈拍数は拍動を触知することができないため、カウントされません。rishou
期外収縮が起きると、正常で規則正しい脈拍の間に、ときどき早い脈が入り込みます。やや早期に心臓が収縮したために、脈としてふれることができなかった、つまりその1拍分の脈圧が弱かったために脈をふれなかっただけにすぎません。拡張期の時間が短いと心臓に十分な血液が溜まらず、末梢まで血液が届かないため脈拍欠損が生じるのです。heart.superdoctor+2

心房細動における脈拍数と心拍数の違い

心房細動では心室の収縮のリズムが一定でないため、心室の収縮の間が長い時は大きな拍出となり、収縮の間が短い時には小さい拍出となり脈を感知できません。心房細動中は脈拍が毎分120拍から150拍程度の頻脈になることが多く、動悸や心不全の原因になります。yokohama-shiminhosp+1
心房細動では電気信号が乱れて突然そのリズムが狂い、不規則に拍動している状態になります。心電図で確認できる心拍数の方がより正しい値を示しており、末梢で触診する脈拍数との間に乖離が生じます。このため、心房細動患者のバイタルサイン評価では、触診だけでなく心電図モニターでの心拍数確認が重要となります。kango-oshigoto+2

測定方法の違いによる臨床的意義

脈拍数が異常な場合は、ショックまたは脱水症状の兆候である可能性があります。一方、異常な心拍数は、不整脈などの基礎的な心臓疾患がある可能性を示唆する兆候です。医師は脈拍数から血管と心臓血管の健康に関する情報を得て、心拍数は主に心臓の健康に関する重要な情報を提供します。sakraworldhospital
心拍数だけを見るのではなく、心電図の波形の形や脈拍動の強さを確認することで、全身に流れている血液を感じることができます。脈拍数と心拍数のズレに注意し、両者を併せて評価することが臨床上重要です。特に不整脈患者では、モニター上の心拍数と実測の脈拍数の差異に注意する必要があります。mcsg+2

脈拍測定における正確な手順

脈拍測定の基本的な手順として、人差し指・中指・薬指を橈骨動脈に軽く当てます。まず左右の橈骨動脈に同時に触れて、左右差がないか確認します。秒針付き時計等を使用し、原則1分間測定しますが、脈拍欠損・不整脈がみられる場合は60秒間継続して測定する必要があります。knowledge.nurse-senka+1
「15秒間測定値×4」または「30秒間測定値×2」で60秒の脈拍数を算出することもありますが、不整脈がある場合は必ず1分間測定してください。測定時のポイントとして、首を曲げることで鎖骨下動脈が圧迫され、橈骨動脈まで脈が伝わらなくなる可能性があるため、頭部は曲げないようまっすぐに保ちます。運動、食事、入浴などの直後でないか、精神的興奮などはないかを確認し、あった場合は5~10分安静にしてから測定します。shigoto-retriever+2

脈拍数測定から得られる情報

脈拍測定時には、同時に患者の全身状態(意識状態や呼吸、皮膚の温度など)を観察したり、動脈の硬さや蛇行、脈拍の左右差をみていきます。脈拍測定の目的は、心臓を中心とした循環器系の異常を早期に発見するためです。kango-roo+1
60回/分以下の徐脈や100回/分以上の頻脈、脈拍の不整、脈拍の緊張度(強弱)、左右差の有無などを確認します。触診した脈拍数が基準値内かを確認し、異常があれば心電図検査などのさらなる評価が必要となります。脈が飛んでいる感じがする場合や、動悸を感じるときには病院を受診して心電図をとらなければ、正確な情報が得られないことがあります。kango-roo+1

看護記録における記載方法

看護記録に書くときは、「脈拍数◯回/分、心拍数◯回/分。脈拍欠損あり。」のように記載します。規則性・リズム・触れやすさも言葉で表現し、「脈拍不整あり。触診にて1分間に◯回の脈拍欠損を認める。」といった具体的な記載が推奨されます。shigoto-retriever
脈拍数(心拍数)を確認するときは機器のみに頼らず、患者さんに触れて冷汗や冷感の有無を確認することが重要です。特に心房細動のある患者さんについては、脈拍数は触診とモニター上の数字の両方を記録し、その差を明記することで臨床的な意義を正確に伝えることができます。knowledge.nurse-senka+1
<参考リンク>
日本離床研究会による心拍数と脈拍数の違いに関する詳細な解説。
Q&A Vol.46 心拍数と脈拍数の違い - 日本離床研究会
国立循環器病研究センターの不整脈に関する患者向け情報。
不整脈|病気について|循環器病について知る|国立循環器病研究センター
健康長寿ネットによる心拍数と運動強度の関係。
心拍数と運動強度 | 健康長寿ネット

 

 




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