セリンプロテアーゼ一覧:種類と機能、血液凝固因子から消化酵素まで

セリンプロテアーゼには消化、血液凝固、免疫など多様な機能を持つ酵素が含まれます。トリプシン、キモトリプシン、トロンビンなど各酵素の特徴と臨床的意義を解説。医療従事者が知るべきセリンプロテアーゼの分類と阻害剤についても紹介しますが、あなたはどの酵素について理解を深めたいですか?

セリンプロテアーゼ一覧と分類

この記事で分かること
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セリンプロテアーゼの基本構造

触媒三残基(Ser-His-Asp)を持つタンパク質分解酵素の特徴

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主要な酵素の一覧

消化酵素から血液凝固因子まで幅広い種類と機能

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臨床応用と阻害剤

医療現場で使用されるセリンプロテアーゼ阻害薬の種類

セリンプロテアーゼの触媒機構と活性中心

 

セリンプロテアーゼは、触媒残基として求核攻撃を行うセリン残基を持つタンパク質分解酵素です。多くのセリンプロテアーゼは、触媒残基としてセリン(Ser)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)の3残基を有しており、これら3残基はアミノ酸配列上では隣接していませんが、空間的にSer-His-Aspの順に水素結合で結ばれるように配置されています。
参考)セリンプロテアーゼ - Wikipedia

この水素結合ネットワークにより、セリン残基側鎖のγ位の酸素原子の求核性が高められ、基質ペプチドの主鎖のカルボニル炭素に求核攻撃することで加水分解反応が開始されます。触媒反応の初期段階では、セリン残基の求核攻撃により基質ペプチドと共有結合した四面体型中間体複合体が形成され、この際に生じる立体構造変化によって基質ペプチドのカルボニル基の酸素原子が分極し、オキシアニオンホールと呼ばれる特徴的な構造に捉えられます。
参考)https://www.jaea.go.jp/02/press2009/p09073001/yougo.html

セリンプロテアーゼの活性部位は、この正四面体型中間体に親和性を持つため、高い反応効率が得られると考えられています。EC分類では3.4.21.-に属し、全てのプロテアーゼの中でも3分の1以上を占める非常に大きなファミリーを形成しています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2675663/

セリンプロテアーゼの主要な分類体系

セリンプロテアーゼは、アミノ酸配列や立体構造の類似性から大きく2つのグループに分類されます。サブチリシン様セリンプロテアーゼ(subtilisin-like serine protease)には、subtilisin BPN'、thermitase、proteinase K、lantibiotic peptidase、kexin、cucumisinなどが含まれます。一方、キモトリプシン様セリンプロテアーゼ(chymotrypsin-like serine protease)には、trypsin、chymotrypsin、thrombin、Xa因子、elastaseなどが含まれます。
参考)セリンプロテアーゼとは何? わかりやすく解説 Weblio辞…

トリプシン様プロテアーゼは系統発生学的に6つの機能カテゴリーに分類されており