エラスチン サプリ 効果と選び方の医療従事者向けガイド

エラスチンサプリメントの効果について、血管弾力性の維持や肌のハリ改善などの科学的根拠を解説。医療従事者が知っておくべき摂取量や選び方のポイントとは?

エラスチン サプリの効果と作用機序

エラスチンサプリメントの主要な効果
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血管のしなやかさ維持

カツオ由来エラスチンペプチドが血管の弾力性を改善し、動脈硬化予防に寄与します

肌弾力の維持・改善

真皮層でコラーゲン線維を束ねて肌のハリと弾力をサポートします

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靭帯機能の改善

靭帯の引張強度を高め、関節の安定性向上が期待できます

エラスチンの生理学的役割と分布

 

エラスチンは、生体内で弾力性と伸縮性を担う線維状タンパク質であり、靭帯・動脈・肺・皮膚など伸展性に富んだ組織に多く存在しています。特に項靭帯では乾燥重量の74.8%、大動脈では28~32%を占め、皮膚真皮では約0.6%の含有量となっています。エラスチンはコラーゲン線維を束ねる役割を果たし、ゴムやバネのような弾力性や復元力を組織に付与します。
参考)エラスチン超回復力の検証!靭帯・血管・肺機能を高めて修復力を…

加齢に伴いエラスチンの産生能力は低下し、20歳代後半をピークに減少していきます。さらに、エラスチンは一度分解されると体内での再生が極めて困難であり、半減期は70年以上とされています。この特性から、外因性のエラスチン補給が注目されています。
参考)エラスチンペプチド

エラスチン摂取による肌への効果と臨床エビデンス

複数のランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、エラスチンペプチドの経口摂取による肌への効果が実証されています。カツオ由来エラスチンペプチド(VGPG Elastin®)を用いた臨床試験では、摂取群において肌の生物物理学的特性の有意な改善が認められました。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10938029/

ブタ由来エラスチンペプチドを用いた日本人対象の研究では、100mg摂取群および200mg摂取群において、摂取開始8週目に皮膚弾力性が摂取前と比較して有意に上昇しました。特に200mg群では0mg群と比較して有意に高い変化率を示しています。また、エラスチンとコラーゲンの併用摂取試験では、エラスチン100mg+コラーゲン5000mgを8週間摂取した群において、コラーゲン単独群と比較して肌質の有意な改善が確認されました。
参考)ヒトにおけるブタ由来エラスチンペプチド摂取による皮膚弾力性向…

機能性表示食品として認められているボニートエラスチンペプチドは、肌の弾力を維持し、肌のうるおいを守ることで肌の健康維持に役立つことが報告されています。
参考)https://www.dhc.co.jp/sph/goods/goodsdetail.jsp?gCode=70083

エラスチン摂取による血管機能改善効果

エラスチンは血管壁の主要な構成成分であり、血管のしなやかさと弾力性を維持する上で重要な役割を果たしています。エラスチンが減少すると血管は硬化し、血管壁が肥厚することで動脈硬化が進行します。動脈硬化症患者では可溶性エラスチンの濃度が増加しており、これが動脈硬化の指標となることが示されています。
参考)エラスチンは副作用がある?摂取方法や役割・効果がだせる方法も…

カツオ由来エラスチンペプチドの摂取により、加齢とともに低下する血管のしなやかさ(血管を締め付けた後の血管拡張度)が維持されることが報告されています。エラスチンペプチドには血管内皮細胞の機能を支え、老化による機能低下を防ぐ効果があり、血小板凝集抑制作用も確認されています。
参考)エラスチン

動物試験においては、エラスチン投与(6ヶ月間)により、血管の弾性としなやかさが保たれ、総コレステロール・LDLコレステロールの上昇が抑制され、動脈硬化が予防されることが示されています。
参考)肌だけじゃない!髪・爪も生き生き&血管・関節若返り|最高純度…

カツオエラスチンの血管機能への作用機序と臨床データが詳しく解説されています(林兼産業株式会社)

エラスチンサプリの推奨摂取量と安全性

日本健康・栄養食品協会(JHNFA)の規格では、エラスチンペプチドとして1日100mgが摂取目安量とされています。臨床試験においては、75mg~200mg/日の範囲で有効性が確認されており、特に100mg以上の摂取で効果が顕著になる傾向が見られます。
参考)https://www.jhnfa.org/eras-1.html

機能性表示食品として届出されている製品では、カツオ由来エラスチンペプチド75mg/日が採用されているケースが多く、この用量で肌の弾力維持や血管のしなやかさ維持効果が報告されています。多くの研究では100mg~200mg/日の範囲が標準的な摂取量として用いられています。
参考)エラスチンサプリのおすすめ12選!特徴や効果についても徹底解…

安全性に関しては、通常の摂取量範囲では重大な副作用の報告は少なく、一般的に安全性は高いとされています。ただし、個人の体質によっては消化不良、腹部膨満感、下痢などの消化器症状が現れる場合があります。また、サプリメントの過剰摂取は腎臓や肝臓に負担をかける可能性があるため、推奨摂取量を守ることが重要です。
参考)https://www.daikenshop.co.jp/healthblog/elastin-side-effects

魚由来のエラスチンを使用している製品では、魚アレルギーを持つ患者への使用は避けるべきです。​

エラスチンサプリ選択時の品質評価ポイント

高品質なエラスチンサプリメントを選択する際には、複数の重要な評価基準があります。
参考)https://column.esthepro-labo-shop.com/elastinwpremium/

原材料の由来と純度
エラスチンの原料には、カツオやマグロなどの魚由来(海洋性)と、豚や牛由来(動物性)があります。海洋性エラスチンは安全性の観点から注目されており、特にカツオの動脈球から抽出されたエラスチンは高純度で機能性表示食品にも採用されています。エラスチンの純度は、デスモシンおよびイソデスモシンという特有のアミノ酸含有量で評価され、純度2.0%以上が高品質の目安とされます。
参考)エラスチン、エラスチンペプチド(カツオ由来エラスチンペプチド…

製造管理体制
GMP(Good Manufacturing Practice)認証を取得した工場で製造されている製品は、品質管理が適切に行われている証拠となります。原材料の調達から製品出荷まで一貫した管理体制を持つメーカーの製品を選ぶことが推奨されます。​
配合成分の確認
エラスチンの吸収や作用をサポートする成分が適切に配合されているかも重要です。ビタミンCはコラーゲンやエラスチンの生成に不可欠であり、コラーゲンとの併用は相乗効果が期待できます。エラスチンとコラーゲンの理想的な配合比率は1:50とされ、これは皮膚組織の比率に近い値です。
参考)https://mugen.zone/agent/nenza-mansei/

エラスチンの安全性と効果に関する医学的解説(ダイケンバイオメディカル)

エラスチンとコラーゲンの相乗効果と併用の意義

エラスチンとコラーゲンは真皮層において密接に連携して機能しており、併用摂取により相乗効果が得られることが臨床的に実証されています。コラーゲンは真皮の約70%を占め、網目状に張り巡らされて肌のハリを支える剛性(強度)を持つ膠原線維です。一方、エラスチンは真皮の約2%を占めるに過ぎませんが、コラーゲン線維を束ねて弾力性を付与する弾性線維として機能します。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/f163f99e4c0b78a0fea2c7928d761e64656d004a

40~60歳の女性を対象とした臨床試験では、エラスチン100mg+コラーゲン5000mgを併用摂取した群は、コラーゲン5000mg単独摂取群と比較して、肌質改善効果が有意に高いことが示されました。VAS(Visual Analogue Scale)評価では、「たるみ・はり」「キメ」「毛穴」「水分」「油分」などの項目で改善が認められ、特に「ふしぶしの痛み」では9名中9名全員が改善を報告しています。
参考)エラスチンの人体への影響

コラーゲンのみを摂取すると肌が硬くなりがちですが、エラスチンを併用することで柔軟性が保たれます。エラスチンはコラーゲン同士を結びつける働きがあるため、両者を組み合わせることで細胞外マトリックスの構造が最適化されます。
参考)【成分解説】エラスチンとは?効果やお肌にハリを与える働きがあ…

セラミド、ビタミンA(レチノール)、オルニチンなどもエラスチンと相性が良い成分として知られています。セラミドは角層のバリア機能をサポートし、ビタミンAは線維芽細胞のDNAに働きかけてコラーゲンやエラスチンの生成を促進します。
参考)コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸は40代で生成されなくな…

医療従事者が知るべきエラスチンの新知見

最近の研究により、エラスチンには従来知られていた構造的機能以外にも、細胞機能調節作用があることが明らかになっています。エラスチンおよびエラスチンペプチドは、線維芽細胞の増殖、遊走、接着、分化などの細胞機能を調節する働きを持ちます。
参考)生体のしなやかさを維持するタンパク質 エラスチン

靭帯機能への作用
靭帯を損傷させた動物モデルにエラスチンを1日125mg/kg/dで6週間投与した実験では、靭帯の引張強度が有意に増加し、損傷部位が太く硬くなるのを抑制する効果が確認されました。また、靭帯細胞の増殖が促進され、靭帯を硬くするALP(アルカリホスファターゼ)の発現が有意に抑制されることも報告されています。これらの知見は、スポーツ医学や整形外科領域での応用可能性を示唆しています。
参考)ウェルネスデイリーニュース

エラスチン由来ペプチドの生理活性
エラスチンが分解されて生じるエラスチン由来ペプチド(EDPs)には、細胞のイオンチャネルに作用する機能があります。0.1~1μg/mlという微量で、単球、平滑筋細胞、線維芽細胞のカルシウム流入を増加させ、カルシウム流出を抑制することが示されています。これはカルモジュリン依存性のメカニズムによるものと考えられています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC304348/

フレイル・サルコペニアとの関連
高齢者医療の観点から、エラスチンの血管機能維持効果は、フレイル予防の観点でも注目されています。血管の弾力性低下は循環器系の問題だけでなく、全身の臓器機能低下にも関連するため、エラスチン補給による血管機能維持は包括的な健康維持に寄与する可能性があります。
参考)https://geriatrics.umin.jp/research/basic.php

線維芽細胞活性化メカニズム
エラスチンペプチドは、皮膚線維芽細胞におけるエラスチン合成を有意に増加させることが培養実験で確認されています。マクロ分子デキストラン硫酸で細胞環境を調整した生理学的に適切なモデルにおいて、コラーゲンペプチドと組み合わせることで相乗的な効果が得られることが示されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6041269/

エラスチンの靭帯・血管・肺機能への回復効果に関する詳細な研究データ
これらの新知見は、エラスチンサプリメントの適用範囲が美容目的だけでなく、整形外科的リハビリテーション、循環器疾患予防、高齢者医療など、より広い医療領域に拡大する可能性を示しています。​