デプロメール(フルボキサミン)の副作用として最も報告頻度が高いのは消化器系の症状です。特に吐き気・悪心は11.8%の患者に認められ、すべての副作用の中で最高頻度となっています。
🔸 主要な消化器系副作用の内訳
興味深いことに、承認時の臨床試験では嘔気・悪心を認めた患者の半数は服用の中止や減量を要さず、継続服用により症状が消失したことが明らかになっています。これは医療従事者にとって重要な情報で、軽度の消化器症状であれば経過観察により自然軽快する可能性があることを示しています。
対症療法としては、ドンペリドンやメトクロプラミドなどの制吐剤が有効とされており、実臨床での症状緩和に役立っています。服用時間を食後に変更したり、分割投与することで症状軽減を図ることも推奨されています。
デプロメールの精神神経系副作用は、セロトニン再取り込み阻害作用による直接的な影響と、二次的な神経系への影響の両方が関与しています。
🧠 主要な精神神経系副作用
眠気については、不眠症状を併発している患者では治療効果として活用される場合もあります。しかし、日中の眠気が強い場合は職業運転手や危険作業従事者では特に注意が必要です。
管理上のポイント ✅
錐体外路系の副作用として振戦や顎不随意運動なども報告されており、これらはドパミン系への間接的影響と考えられています。
デプロメールの循環器系への副作用は他のSSRIと比較して比較的軽微とされていますが、一部の患者では注意深い監視が必要な症状が現れることがあります。
💓 循環器系副作用の種類と頻度
起立性低血圧は特に高齢者や既に血圧降下薬を服用している患者で注意が必要です。この副作用はα1受容体への影響によるものと考えられており、立ち上がる際のふらつきや転倒リスクの増加につながる可能性があります。
臨床現場での対応策 🏥
また、QT延長については直接的な報告は少ないものの、他の薬剤との相互作用により間接的に影響を与える可能性があるため、心電図検査の実施も検討すべきです。
デプロメールによる重篤な副作用は頻度は低いものの、発生した場合は迅速な対応が患者の生命予後に直結します。
⚠️ 重篤副作用とその症状
セロトニン症候群(頻度不明)
悪性症候群(頻度不明)
その他の重篤副作用
緊急対応の実践的手順 🚨
特にSIADHでは低ナトリウム血症による意識障害が致命的となる可能性があり、電解質測定は必須です。
デプロメールは複数の薬物代謝酵素に対する阻害作用を有しており、併用薬の血中濃度上昇を通じて副作用リスクが著明に増加することが知られています。
🧬 主要な代謝酵素阻害作用
併用禁忌薬物とそのリスク ❌
注意を要する併用薬 ⚠️
このような相互作用は、単独では問題とならない用量でも併用により重篤な副作用を引き起こす可能性があります。処方時のダブルチェック体制と、薬剤師との密な連携が患者安全において極めて重要となります。
実際の症例では、チザニジンとの併用により重篤な低血圧とふらつきで救急搬送された事例や、ワルファリンとの併用でPT-INRが治療域を大幅に超過した症例が報告されており、日常診療での注意喚起が必要です。